里山の野草と花木 宮城県北トレッキング

宮城県北部の山野を歩き回り、季節ごとの草花や果実を撮影し、その特徴や自生地の環境等について記録する。

ドクウツギ 荒地の猛毒植物

2017-06-22 | 日記
栗原市栗駒町沼倉地区の林道を上りきると、なだらかに起伏する荒地に出ました。
地図で確認すると畑地記号が記されていますから、かつては牧草地だったものと思われます。
いまは赤土や安山岩質の岩礫が露出した荒地になっていますから、有機質を含んだ表土は
流出してしまったものと推測されます。

荒地の先の、岩礫が積み重なったかのような段丘を上ると、台地状の高みに出ました。
そこで特徴的な葉の低木を見つけました。細長い枝にたくさんの葉が対生していて、
葉身は長卵形で、先端は長く尾状に伸びています。これはドクウツギですね。
周辺をざっと探すと、20株ほどが群生していました。
海岸道路を踏査すると、日当たりの良い法面に1株2株と生えていることはありますが、
こんなに群生しているのは、県内では初めて見ました。




                            二枚とも2017.6.17撮影

最初に見つけた株には実は生っていませんでしたが、探し廻ると幾つかの株に、淡紅色の果実が、
ブドウのようにたくさん生っていました。今は淡い色合いが可愛いくらいですが、真夏になると
真紅に変り、さらに熟すと黒紫色になり、まがまがしい猛毒植物の様相を呈してきます。
ただ見た目と違って、黒紫色に熟すと果肉部分の毒性が下がるようで、野鳥や小動物が食べて
種子を散布するのだそうです。もっとも種子をかじったらイチコロですけど、彼らは実を丸呑み
して種子を排泄するようです。
ドクウツギはトリカブト、ドクゼリと並ぶ日本三大有毒植物の1つに挙げられていて、全木が有毒
ですが、特に未熟な果実には有毒成分が多く含まれていて、「猛毒」と言われています。

果実や種子には速効性のあるコリアミルチン、ツチンが含まれています。毒性を利用して、ネズミ
取りやウジ殺しに使われた時代もありました。果実は甘みがあり、低木である事から子供のままごと
遊びにつかわれ、誤食事故が起きたこともあったようです。
摂取経過は、嘔吐、痙攣、硬直、呼吸麻痺で、重篤の場合は死に至ります。


                                2017.6.17撮影

ドクウツギ科ドクウツギ属の落葉広葉樹で、樹高1.5mほどの低木。日本三大有毒植物の一つ。
北海道~近畿以北の本州に分布し、日当たりの良い道路法面や草地、川原や岩礫地などに自生する。
幹は赤褐色、粒状の灰色の皮目があり、毒々しい。枝には4稜がある。
葉は対生。1本の枝に15~18対の葉がつき羽状複葉のように見える。
葉身は長卵形で長さ6~8cm、先端は長く尾状に伸びて尖る。基部は円形、葉柄はほとんどない。
基部から伸びる3本の脈が目立つ。葉縁は全縁で波打つ。
質はやや厚くなめし皮状で、葉表には光沢がある。雌雄同株。
花期4~5月で、葉腋から雌雄別々の総状花序を出す。雄花序は長さ2~5cm。
雌花序は長さ6~15cm。花弁は長さ1mmほど、開花時は萼より小さい。雄花は萼片長さ3.5㎜、
雄しべ10個、葯は黄色。雌花は萼片長さ2mmほど、心皮5個が離生する。
果実は直径8~10mmの液果状の痩果、多肉質に肥大した花弁に包まれ、5分果。
初め淡紅色、徐々に真紅に変り、熟すと黒紫色になる。
中の分果(痩果)は長さ4~5mm、褐色で、表面に隆条がある。






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