先日の夜NHK「プロフェショナル 仕事の流儀」俳優の渡辺謙を見た。歌もナマの英語の舞台も初体験でありながら、ブロードウェイミュージカル「王様と私」へ挑戦する約半年間のニューヨークでの姿を密着取材。改めて渡辺謙という俳優のプロ魂を知った。アパートでの1人暮らしの様子も披露し、壁には覚えなくてはならない単語を書いた紙がたくさん張ってあり、ベッドの中では歌やせりふを口ずさむ毎日。奥様の女優南果歩さんも「まるで受験生!」と、おっしゃっていました。さらに食事はほとんど自炊で、寝る前にはお米をとぎ、お結び持参で稽古場に向かう。何もかもがスーパーマンです。
そんな彼の部屋には生け花が欠かせなくて、部屋の目立つところに必ず飾ってある。花を生け替えるのは一週間ごとで、つぼみが膨らんで花が咲いて散っていく様子が時間の流れを教えてくれ、生活のリズムが作れるという。余談ですが、私はこの話を聴いた時に、共感し鉛筆を思い出しました。子どもたちにシャープペンシルではなくて鉛筆を使うように言っています。理由は削って使いそしてちびる。また削って使う。まさに時の流れを教えてくれ、さらにもののあわれを感じ取れるからです。
さらに番組の中での彼の言葉に次々と胸打たれました。
「とりあえず安全なところで自分のこう安全でひっかかりやすいところにやっていくというよりかは、精一杯手を伸ばして足を伸ばして、自分の体のどこまでそういうものをひっかけてしかも上まであがっていけるかということをトライしないと、僕はいけないと思うんだよね。まあ言ってみれば崖をよじ登るみたいに。そうやってあがいているのが全てだと思っているので。」
初めての通し稽古の際に「お芝居は今までやってきたことをすべて捨てることから始まる。キャリアを捨てないと新しいものは生まれない。」
「最後にプロフェショナルとは?」の問いに「あきらめないこと!」
ギリギリを強いられる現場であがき続けてさらなる高みへと成長し続ける俳優「渡辺謙」をこれからも注目したい。そしてそういう強い気持ちを持って生きている彼だからこそ、過去2度の難病である白血病との闘いに克てたのだと思った。