メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

1992 US OPEN

2004-01-23 15:33:21 | テニス
 

1992年を締めくくるUS OPENが8/31から開幕し、相変わらずその経過模様のニュースすらないまま、
クウォーターファイナルまで空白状態で、やっと金、土、日、月の早朝5:30~8:30という時間帯。
衛星生中継でウィンブルドン以来ごぶさたしていたプレイヤーらの元気に頑張っている姿が観れることになった。
日本勢の活躍は以前に戻って、また問題外だった。

さて。準々決勝に残った顔ぶれを知って驚いたのは女子。
グラフ、ナブラチロワは、それぞれ好調なサンチェス、マヌエラ・マレーバに敗れるし、
サバティーニも早々に、苦手とするメアリー・ジョー・フェルナンデスの積極的かつ攻撃的なゲーム運びに敗れた。

そこで残ったのはサンチェス×マレーバ
これは一方的なサンチェスのゲームに終わり、せっかく妹に勝ってまでベスト4まで初進出したマレーバは、
いいところもないままストレート負け。

一方、我がテニス界のアイドル、モニカ・セレシュ×メアリー・ジョー・フェルナンデスのゲームも、
いつもながらファンの期待に見事に応えて、いつもの1時間かかるかかからないかのイージーな運びでなかったにも関わらず、
セレスの強さで押し切った感じ。

というわけで、女子決勝のカードは、モニカ・セレシュ×サンチェス。
セレスを敗っての優勝経験があるだけに、た易い相手じゃないけど、ビッグトーナメントは慣れてるセレス。
信じているから2連覇がんばって


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男子で、ただ1つ残念なのは、早くも準々であたってしまったアガシ×クーリエ
あーまたあの妙なプレースタイルでとんでもないスーパーショットを打ってくるクーリエが
またまたアガシの前途の開きかけた目前に立ちはだかった!

途中、珍しくプッツン切れて、イスに向かって投げつけたラケットが客席のほうへ飛んだのを警告されて
すっかり血がのぼっちゃったアガシだけど、それから粘って(テレビでは思い切りカットされてたけど)、
タイブレイクまでもちこんで、第2セットは見事に挽回したのに、とってもミステリアスなことに(ここも全カット)、
第3セット6-1で落として、第4セットも・・・。

ああ、せっかくランキングも10位まできたのに、現在のトップにはそんなに厚い壁があるのかしら?


他のメンバーは、なかなかいい顔合わせ。
チャンが、なんとランキングを一気に15位から4位まで急上昇させる躍進ぶりで、
もう一人の急成長プレイヤーのフェレーラっていう南アフリカ?出身者とセミファイナルを争った。

けど、時間切れで、一体どっちが勝ったのやら・・・。
結果は月曜のファイナルで知るしか方法はない


もう一方の試合がすごかったらしい(あー頭にくる)。エドバーグ×レンドル
顔を合わせれば、いつもすごいゲームを魅せてくれるこの2人。

今回は2人とも、それぞれの奥さまを観戦に連れて来て、1、2セットはエドバーグ、
2、3セットはレンドルが死闘を見せて奪い取り、ファイナルセットは、タイブレイクだったそうな。

(エドバーグの結婚式の写真を見ると、今でもほろ苦い思いがよぎるなぁ・・・
 エドバーグの写真、記事は別にまとめてアップする予定ですv

タイブレイクでは、どちらかといえばレンドルに分がありそう気がするけど、
昨年の優勝者の名誉をかけて、エドバーグがもぎとったらしい。


ああ、レンドル、レンドル。
かつて、鉄人か、コンピュータのようなそのシャープで、信じられないほど正確で、
クールな試合の数々でNo.1をずっとキープしていたのに。
時代の波にのまれるには、まだ早すぎるよ。

30歳過ぎてテニスを続けるのは、トッププレイヤーならなおさら死ぬほどの苦しみだろうけれども、
ベッカーさえ追いつかなくなってきている今の混沌とした男子テニス界で
消えていてほしくないプレイヤーなんだよなあ。


で、かつての苦手意識も見事克服したエドバーグ、そしてクーリエ、あとはチャン×フェレイラの勝者、
そして、最近ちょっと影を潜めていたピート・サンプラス。

トップ10内の選手が顔をそろえて、久々に見応えある面白いゲームが期待できそうな男子シングルス。
なんといっても、騒がしいN.Y.フラッシングメドウでのUS OPEN。
アメリカ勢がこんなに残っているっていうのも久しぶりみたい。

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WOMEN'S FINAL モニカ・セレシュ×アランチャ・サンチェス・ビカリオ

最近、ブラウンに染めて真っ赤なヘアゴムでアップにした髪をまとめているセレス。
外見も対照的だが、シャープ&パワフルなセレスのプレースタイルが都会的と言えるなら、
動きの速さ+ド根性が持ち味のサンチェスのプレーには、
どこかアンツーカーコートの赤く情熱的な土臭さが感じられて、
同じくベースラインプレーヤーながら、まったく似てない雰囲気のこの2人の対戦となった。

前大会のカナディアンオープンでは、ファイナルセットの末、セレスの連勝記録を華々しくストップさせて、
US OPENは今回初めてファイナルまで勝ちあがり、スペイン選手として初制覇を賭けて闘っているサンチェス。
だが、結果は、やはりファンの期待にいつでも100%か、それ以上に応えてくれる、わが可憐な戦士モニカの一方的な勝利、
2連覇達成に終わった。

6-3、6-3のストレートながら、第2セットは4-1までリードしたセレスに
開き直ってかブレイク、キープと5-3まで盛り返したサンチェスのあがきには
たくさんの見どころと、ゲーム展開の面白味があった。

しかし、セレスは今、18歳!
プロ転向当時のポニーテールの少女から、ヘアスタイルも変わったけれども
大きな大会に出場するごとに、なにかしら戦闘に必要な武器を身につけて、
ますます確固たる自信をみなぎらせる彼女の急成長ぶりには、
ファンでさえ追いつくのがやっとという感じ。


でも、彼女が人を惹きつける理由は、単に10代の世界No.1プレイヤーとしての強さだけではなく、
本当にサービス精神旺盛で、窮地に追い込まれた時に観客やファンをいかに味方につけるかによって、
心強く、有利にゲーム運びができるかを直感的に知っているからではないだろうか。

優勝スピーチは、残念ながらなかったが、
1時間30分の試合の後でも、ファンサービスはいつも通り怠らず、
自分のラケットまであげてしまうほど。

山のように差し出されるサイン帳にも、1つでも多く書こうとしているし、
しつこいほどのカメラフラッシュの応酬にも気前のいいキュートな笑顔で何度も応えようとしていた

出場した11大会のうち、6つは優勝、今大会も、サーヴィスの確率は88%、ブレイク率66%と驚異的強さと安定力で
一体、この少女がどこまではるかに高く、遠くへ跳躍していくのか全く想像もつかない。

ヤングクイーンとしての魅力も十分備えているモニカ・セレシュ。
これからもファンとしてもっともっと熱い眼で追っていきたい。

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一方、男子は、すごい歴史的試合が行われたようだ。
ちょうど女子シングルス決勝の前に、なんと11:00amから開始して、5時間20分という、
US OPEN、そして4大大会通じても最長記録のロングマッチが行われたのだ。

カードはエドベリ×チャン

この2人を見れば、チャンが最年少で初めて全仏を制した時の顔合わせを思い出さずにはいられないが、
もつれればもつれるほど、その粘り強さで食らいついてくるチャンを相手に、
エドベリは絶不調の中、前試合のレンドルとのこれまたすごいゲームが凄くて、
7-6、5-7、6-7、7-5、4-6

これまた信じられないことに、この試合でダブルフォルトの数が18本という失態を絡めながらも、
ディフェンディングチャンピオンの意地と、もう全米にも、チャンに対してもほとんど苦手意識を克服した自信が
エドベリを決勝戦へと引きずり上げた。

すり鉢状のフラッシングメドウ・ナショナル・テニスコートでの熱射の下、もっとタフになるであるファイナルを
どう切り込んでいくのか、その辺も大きな見どころとなりそう。


そのエドベリの相手に選ばれるのは、現在のアメリカンテニスを担っている一角、クーリエ×サンプラスの勝者。
過去の成績は5勝1敗と、なんとサンプラスのほうが断然分がイイ。
中継によって、最初の立ち上がりしか観れなかったけど、それだけでもクーリエがなんとなく相性の悪い選手として
サンプラスに苦手意識を持っていることが伝わってくる。

ほんとにフシギだよね。
力の差はほとんどないのに、アガシはなぜかクーリエに勝てないし、そのクーリエはなぜだかサンプラスが苦手。
ああ、本当にミステリアスで面白いスポーツだなあ、テニスって。

解説者に言わせると、この2人の対戦は、サンプラスの気まぐれ的テニスにかかっているという。本当にそうかもしれない。
のっけから195km/hの超超高速サーヴを打ち込むかと思えば、なんでもないショットをミスってゲームを落としたりして、
その割にあっけらかんとしている、全くきゅうり(当時のあだ名)プレイヤー。

でも、彼みたいなプレイヤーが、トップを維持しているのが、世界のテニス界の面白いところでもある。
その大切なMEN'S FINALは、なんと日本時間では、明日、月曜の早朝。
ああ、なんの因果か、上のクーリエ×サンプラス戦だって、今ごろにはもうナイトセッションで結果が出ているだろうに。

こんなに多くの歴史的ゲームをつまんだ程度にしか観れないなんて!
このスーパーサタデーの観客は、なんて最高にラッキーなのかしら!?
最初に5時間に渡るエドベリ×チャンのゲームから、女子シングルス決勝を観戦後、
まだクーリエ×サンプラスの準決勝の模様が生で観戦できるなんて

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MEN'S FINAL ステファン・エドバーグ×ピート・サンプラス

クーリエ×サンプラスの試合は予想に反して6-2、6-2のスコアで、圧倒的、アレレ?って感じでピートが勝ったという。
ああ、やはり苦手意識は存在する!

そして、今年はディフェンディングチャンピオンと一昨年のチャンピオンとの対戦となり、
これは過去のデータにも3回しかないという珍しいものとなった。

対戦記録は2:2のタイ。でも最も最近ではシンシナティでのサンプラスの1勝があり、
ホームグラウンドでアメリカンテニスを復活させる威信も賭けて、
かつてデビスカップでの痛い負け試合より安定した力をつけて、
また、豊かな才能にひとまわり柔軟なゲーム運びを身につけたサンプラス。


最初は互いに1セットずつ取り合い、問題は第3セットだった。
互いのサーヴィスキープからタイブレイクへ。

昨日のエドベリの18本ダブルフォルトが、ピートに感染したのか、
第1セット66%、第2セット50%弱というファーストサーヴの入りの悪さがネックとなり、
結局7-5で大事なセットを落とし、それがズルズル尾を引いた感じ。

これまでも、この2人はファイナルセットまでもつれこんだ事はないという記録に忠実に従って、
第4セットは、一方的なエドベリの試合で、見事、それまで繰り返したチャン、レンドル、クライチェクらとの
死闘に死闘を重ねて、あがきにあがいた末、やっと手にした重いトロフィー。

US OPEN2連覇

そして、なんといってもこの決勝で、どちらが勝っても世界ATPランキングにて、
クーリエをしのいでNo.1になるというワケで、サンプラスはUSカップと同時に
初めて世界の頂点を極めるチャンスをいったんお預けとなり、
エドベリは、今年の4月以来、この4大大会を飾るUS OPENでNo.1の座に再び返り咲くこととなった。


エドベリは26歳。
レンドルの全盛期もやはり、同じくらいの歳から29、30歳ぐらいまで。
年齢的にも、テニスプレイヤーとして分岐的に立った今、この一瞬一瞬が彼の生涯を通じて
一番美しく、激しい炎をあげて燃えさかっているといえる

できることなら、この瞬間で時間を止めてしまうことができたなら、とファンならずとも願わずにはいられない。

というのも、今回の優勝は、あまりにも多くのビッグプレイヤーらのもがきにもがいた涙の上に成り立っているから。
他の大会でも同じことは言えるけれども、今回はとくに、ほとんどが3~4時間超えのハードな試合で
ベッカー、チャンほか力の差が僅差という若手の熾烈な闘いもある一方で、
コナーズ、マック、レンドルらが引退すらにおわせながら、最後の炎を燃え尽くそうとしている選手たちの長い影が見えた気がした。

とにかく、またもう一度もぎとったNo.1の座を、前のように1~2週間で手放すことなく、
ポイント数もかなり接近しているからこそ、どこまでキープする力を持てるかに注目して、
技術力、精神力、肉体すべて充実期を迎えた、わが貴公子になお一層期待したい。

***************

ああ、神さま。
私たちは、ほんの些細なことでも、ハードな1日を過ごすことが可能なのに、
それすら奪ってしまおうとなさるのでしょうか!?

今大会のフィナーレを飾るMEN'S FINALがどうして月曜の朝なんかに放送したりしたんだろう!?
どうして新聞は、まだみんながゲームを観てもいないうちに、いち早く勝敗結果を一面にデカデカと載せたりするのか

テレビでさえ、まだ試合そのもののOA前に、ニュースの中の短いスポーツコーナー、
それも野球と相撲の後で、スコアだけを放言してしまうようなことを、
日本中のテニスファンに対して、どうして、そんな真似ができるのやら/涙


あと1駅で見ずに済んだものを、どうして私の前の乗客は、スポーツ新聞を暇つぶしに読んでいて、
よりによって私の目に入る位置で、優勝者名だけ見せなくたっていいものを

勝敗の分かっているスポーツを観るほどつまらないことはないのに。
面白い試合を1セット丸々カットして放送されるほうがまだマシだ。
この因果な情報社会の中で、あらゆる情報網を避けて、1日、1時間、いや1分でも過ごすことはできないものか。

おかげで、このMEN'S FINAL、宿敵クーリエ×アガシとの対戦よりは、2人ともそれほどファンでゃないから、
とくにどちらかを精力的に応援していたワケじゃなかったからっていうのはあったけど、
とにかくショービジネスを見ているようだった。

結果を知っている上での興奮であって、どちらに軍配が上がるか分からないっていう、
あの心臓も凍りそうな緊張感のカケラも感じることなく、4大大会の最後のお祭りUS OPENが幕を閉じた。

テニス雑誌社以外の朝刊新聞社、時間を争うだけのメディアに災いあれ。



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