メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『二人で歩いた幾春秋』 (1962)

2019-07-30 15:01:58 | 映画
原作:河野道工
監督:木下恵介

出演:
野中義男 佐田啓二
野中とら江 高峰秀子
野中利幸 山本豊三

義男の父 小川虎之助
義男の母 岸輝子

望月:野々村潔
望月の妻:菅井きん

千代:久我美子
石川美代子 倍賞千恵子

浮田:高木信夫
寺下:浜田寅彦

飲み屋のおかみ:三崎千恵子
所長:土紀洋児
所員:左右田一平、新島勉
床屋のおやじ:坂本武
新入生の母:水島光代
町の人:青山万里子
身延線の車掌:田中勝二
由比の宿の女中:大橋八千代
ほか

“夫婦の心の結びつきを力強いモノクロの映像で表出させた感動年代記”

“同監督作品『喜びも悲しみも幾歳月』で夫婦を演じた高峰秀子と佐田啓二の名コンビが再び夫婦役で共演。
 息子の成長を喜び、幸せを願う親の気持ちが静かに伝わってくる。”


【内容抜粋メモ】






昭和21年
イモなどを農家からもらう野中とら江
道中、夫・義男が復員 息子・利幸も一緒






出演者順に役名と役者名が表れる
主題歌が流れ、走り抱き合う2人

♪よく今日まで頑張り通してきたもんだ~

ヨシオ:東京は焼け野原だし、疎開していてよかった
戦死と思ったと泣くトラエ 親子3人で手をつないで帰る


昭和22年



スコップで土を掘るヨ
家賃の話をされ、給料日だから払えると言う

帰宅してトラエに給料を渡す
ヨ:家賃が上がってもなんでも物価高だから驚かない

その都度、俳句が出て来る




雨の中も働きづくめのヨ
仕事帰りに飲み屋に入る
双子をもつおかみはおしめを洗いながら酒を出す




母:たよりだもんね、この1人が
父:焼酎が飲みたい
母は来年のお祭りにすればというが、トが買いに出る




昭和23年 冬
雪をかいているヨら
工夫仲間らが飲んで歌う
急に泣き出すタケ

上司らが入って来る

タケ:
係長さん 今日かぎり辞めさせてもらいます
オレの仕事にいちいち難癖つけやがって!




ヨ:所長さんから、小遣い室に入らないかと言われた 1700円 大変な仕事だぞ
引っ越すと聞いて喜ぶトラエ


昭和27年 夏
マージャンのために小遣いくれ ビールくれと来る若い工夫
ト:掃除も出来やしない

家の中でマージャンしている工夫
ト:トシユキもじき高校で金が欲しい
2人で花火を見ていると工夫からうどんを作ってと頼まれる

豪雨で崩れた所があると駆けつける工夫ら
部屋で勉強しているトシユキはイライラして母にあたる




また歌が流れる
あの道 この道 峠道 それでも負けずに越えてゆく


夜中に戻るヨ

ヨ:
戦争さえなきゃ 息子も東京に住めたのに
こいつはオレと違って勉強が好きらしい オレより偉くなるよ
江ノ島に行ったことなど思い出す夫婦

工夫の母親が駆け込んできて、息子が倒れたから医者を呼んでくれという


昭和28年
♪2人で誓ったまことの愛は冬の星

ト:
焼酎なんか飲んでると望月さんみたいになっちゃうわ
倒れた時に死んでくれたほうが良かったって

ヨのもとに千代が訪ねてくる
望月をリヤカーに引いて花見に連れていくヨ
墓参りに行く途中(久我さん、品のある風情だなあ






ヨ:
オレが兵隊に行く時、あの人は16だった
日に一遍は声をかけたいと思っていた
兵隊に行く時は手紙を渡した それきりだ
あの人は金持ちのところに嫁いだが、亭主は戦死して、今はそれほどはぶりはよくない
戦後、花火が盛んになって大変なもんだ

モ:この花をあと何度見られるかね


また花火の日
トシユキがモの息子がお宮でケンカして交番に連れて行かれたという

チヨに詫びに行くヨ
アカチンつけたら治ったと家に快くあげる






チヨ:
こんな狭い町 みんないろいろ言ってるでしょ?
娘は養子をもらった
昔、あなたから手紙をもらいましたね とからかう

恥ずかしくて逃げるように行ってしまうヨ
頭を叩いて、スキップするように走る姿は可愛い


またずぶ濡れで土を掘るヨ
初恋の人がお菓子を持ってきたとからかうトラエ
バスに泥水をはねられたのを見た
甲府の帰りにバスに乗っていてすまないと思った

仕事をしているとチヨが帰るところ



チヨ:あなたのこといつまでも忘れません
ヨ:どうぞお元気で お幸せに

チヨ:
「ボクは元気に兵隊に行って来ます さようなら」でしたわね
私も「お嫁に行きます さよなら」でしたわ ではごきげんよう


ヤケになって土を掘るヨ
今の舗装道路もこうした重労働の末なんだな

結婚18年目の俳句

学校でキャッチボールをしているトシユキ
槍投げで息子が怪我をした 幸い足の傷で済んだ

家でヨもトも寝ていてガックリするトラエ



ヨ:
こいつだけが楽しみで生きてるんだ
子どものことじゃ夢中だよ こんな貧乏暮らしでよく育ったよ
工夫の息子じゃイヤなこともあるだろう
学校帰りに横を黙って通りぬけていく お前だって


泣くヨとトラエ
(仕事で差別っていうのも変わらない


昭和29年
トシユキの高校入学式を網の外から見る夫婦





トラエ:頭いいんですよ 私に似たんですよ 父ちゃんがよく働いてくれて
ヨ:これ脱いだら困っちまう お前こそデパートに行こうか
トラエ:自分のものなんか欲しいと思わないもんね

息子:父ちゃん、母ちゃんもおいでよ 大勢いてなりなんて分かりゃしないよ(泣ける
一番後ろに座る夫婦






OKAJIMAデパートでノートを買うトシユキ
隣りの母親は息子に「時間がないからどれでも好きなの買いなさい」と言っていて
トラエは見栄を張ろうとするが断る息子




この頃にはもう食品サンプルがあったんだ/驚
ハヤシライスが100円て!






望月が亡くなり、また花見をしようと約束したヨはガックリと座り込む
妻:今日、花見に連れて行くって日にこんなことになるなんて




ヨの親はどっちが先に行くかと話してるのが可笑しい
トラエ:おじいちゃん、父ちゃんを止めて!

所長に謝るヨ



所長:
作業員のくせに 望月が脳溢血で倒れたのは会社のせいじゃない
役所に住まわせてもらって有り難いと思え!

また飲み屋に入る父を見るトシユキ
家で酔い潰れてるヨ

祖父:下げたくない頭も下げなきゃならねんだろう



ヨ:
お前は係長に言ったことが間違ってると思うか?
望月さん一家のために息子さんを使ってくれと頼んだだけだ

トラエ:息子によりけりです これだけの一家を抱えてるんですから
ヨ:オレが工夫になった時「この仕事は辛いから」と肩を叩いてくれたのが望月さんだったんだ


ケンカ別れして由比行きの電車に乗るヨ



由比の宿に入るヨ すぐ裏が海
翌日、チヨが来る
言いたいことも言えずホームでチヨは見送る




昭和31年
リヤカーを引く夫婦
トシユキを大学にあげるために酒をひかえてくれというトラエ



トラエ:
あんなに行きたがってるんだもん 私も食べるもの減らしたっていいよ
父を思って大学のことを口にしなくなった

トシユキがバイトして父に買った傘を干す


昭和32年
トシユキが京都の大学に受かり、駅まで送りにリヤカーを引いている
近所の人たちに自慢していく夫婦
駅で子どもを見送り、泣くトラエ
(子離れは早いよね




ト:
夜汽車は寝られないだろうね
月々5000円送るの大変だもの 頑張ろうね、父ちゃん

雨の中帰ってきて酒がないと怒るヨ
ヨ:お前が嫌がると思ってトラエと呼んだことはないんだ っていうのが口癖

トが風邪で寝こみ、酒などいらないというヨ
ヨ:お前に寝込まれると困るからな
なんだかんだでいいコンビネーションだなあ


昭和33年
バスからトラエがおりて トシユキから手紙が来て、怒らないでくれという
親が困ってるの知ってるもの 入学試験落ちたなんて言えないわよ
入学したって言って、1年勉強してたって頭がいいじゃない
頑張れって電報打ってやろうよ




昭和35年
修学旅行生に平安神宮の説明をしているトシユキ これもバイト?
荷物運びの仕事もしている




夜 橋の上を石川美代子と歩く
倍賞千恵子さんキレイ! 京都弁がまたステキ




ミヨコ:明日も会えるの?
ト:3年になってもほとんど学校へも行けなかったよ

ミヨコ:でも親にしたらやめたら惜しいと思うのでは?

ト:
これからもバイトに追われて単位も取れやしない
ボクのオヤジは道路工夫だよ おふくろは役所の小遣いだ 呆れたろ?
今度は4年で卒業出来ない 「迎え頼む 母」今日の電報は辛いよ

電車でトラエが上京 見送りに来たトシユキに喜ぶ母
そこからまたバスに乗る
トラエ:2年見ないんだもん 元気で安心したよ

橋の上に来て月を見、長屋のような部屋に案内する



「戸が壊れるますがな!」といきなり大家に怒鳴られる
お風呂屋は遠い

ト:怒ったろ?
トラエ:だから母ちゃんが来たんだよ とにかく一緒に帰ろう

ト:帰ってもいいの?
トラエ:お前の苦労が分かった なにも言う気がなくなった 辛かったろうね 悪かったよ
泣き出すトシユキ

トラエの代わりに上司にお茶を出すヨ
望月の妻がビールを持ってきてくれて2人で飲む

ヨ:
花火こうは危ないから気をつけてくださいよ
いっちゃんはまだ行方知れず?


ミヨコに土産を渡すトシユキ
ト:これからおふくろと帰るんだよ
会社に行くのに道を外れるミヨコ






ミヨコ:うちもやっぱりお別れのような気がする
ト:ボクも道路工夫にふさわしい仕事を探すよ

ミヨコ:
親のことを聞いた時ビックリした でもムリして大学行かなくても
うちは高校までで喜んでる 男も同じじゃないかしら
別れたくはないけど、何年もたって
どうしても野中さんなしで生きていけなかったら山の中でも行く
お元気でね いってらっしゃい


花火工場で爆発が起きる
みんな駆けつける 消防車が向かう
望月の母娘も巻き込まれたと知る


息子が帰省し、興奮しているヨを止めるトラエ



トラエ:
知らなかったんですよ、大変だったのが
5000円の仕送りじゃムリ 2000円の部屋代で
あんな大家さんがうるさくて、窓から空も見えない部屋で

ヨ:
学問が嫌いじゃないなら、もう一度大学へ行け! 頼む
金が足りないのは分かってる 5年になってもいい バイトはするな
祖父母も内職してくれてる ここで頑張るのが工夫 飼い殺しだ

トシユキをぶったのはトラエのほう 母もトシユキも泣く

ヨ:
オレはつくづく息子が可愛い
工場で黒こげになった望月さんの奥さんの体に息子がすがりついて泣いていたよ

トシユキ:オレ、もう一度やってみるよ

また電車を見送るトラエ




チヨ:望月さんの遺族金が必要ないからあげるといっている
ヨ:これは奥さんに預かっていただくのが一番です

チヨ:
ご夫婦が羨ましい
あなたがたは小学校の時から一緒の組だった
この歳になっても妬けますからお邪魔しました

ヨ:いいじゃないか仲良くしようと バカバカしい、こんなごつい手と
2人で手を見る




昭和37年
無事、卒業式を迎えたトシユキ
これだけの人数 エキストラ? それとも本当の卒業式で撮影?



ちゃんとスーツを着てるヨ 夫婦で涙を拭う
♪蛍の光 の途中で抜ける




トラエ:胸が苦しくなっちゃった

ヨ:
まったく恐ろしいような気がするよ
あんなにたくさんの卒業生が世に出ると思うと
いい会社ほど競争が激しいし 何人幸せになれるのか

トラエ:ちょいちょい東京へも行けるし いいね よく頑張ったね
ヨ:お前も今日からお茶が飲めるな
トラエ:まだまだこれから トシユキが困ったら助けてあげなきゃ

親とミヨコも連れて、バイトの頃の寺の説明を聞かせるトシユキ




小津安二郎の『大学は出たけれど』って映画もあるしね
道路工夫がなぜそんなに差別・冷遇されているのか

現代の私たちは、工事をしている作業員を
それほど可哀相だとかショックを受けたりするだろうか?

二枚目の佐田啓二さんが、顔を真っ黒にして汗を拭う役をしている
大女優・高峰秀子さんとの息の合った夫婦役が見どころ



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