1972年初版 1981年 第16刷 新川和江/編訳
山下一徳/カバー図案 武部本一郎/カバー絵・口絵・挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
これまでオルコットも含めて、どんなに貧しくても最後は報われて幸福になる
ハッピーエンドが多かったから、急な悲劇に悲しくなった
孫娘を幸せにしたいと言いつつ、ギャンブルで全部すってしまうって
賭け事の依存性がコワイ
れっきとした病なんだな
もとはそれなりに身分のある祖父には、ほんとうの経済力はなかったのかも
一緒に旅に出ても、ずっと孫娘に頼りきりだったし
それでも、スピ的に見たら、最初から寿命は決めていて
それぞれに学びとなるような経験をして満足だったとも言える
原作はこの7倍の分量だそう
悲しい終わり方でなかったら読みたいところ
【内容抜粋メモ】
登場人物
ネル
トレント ネルの祖父 骨董店店主
キット 骨董店を手伝う少年
キルプ 金貸し
ブラス弁護士
ミセス・ジャーレイ 蝋人形を見せて旅する女性
●トレント骨董店
ロンドンの裏町にある骨董店を営むトレント老人
孫娘のネルは美しく、素直な少女
ネルのために財産をつくろうとして始めた賭け事にハマって大きな借金をつくり
金貸しのキルプが取り立てに来て、家、店の品、家具もすべて差し押さえる
夜、通いの店員キットの家に泣きながらネルが来る
キルプはキットがトレントが賭け事をしていることを話したとウソをついたため
怒ったトレントはキットを逆恨みしている
キルプはブラス弁護士とともに家のモノを馬車につめこむ
熱を出して寝込んだトレント
熱病が感染らないよう、小僧にタバコをふかせる
キルプ:ネルは大きくなったら、わしのお嫁さんになってもらう
キットは夜中、2階の屋根までのぼり、ネルと話す
自分の家も貧しくて、母との2人暮らしだけれども
ネルと祖父と一緒に暮らそうと言ってくれるが
祖父の誤解がとけずに断るネル
家に買い手がついて、早く立ち退くようせっつくキルプ
ネルは祖父とともに家を出て、旅に出ようと誘う
朝早く2人は家を出て、キットの家とは反対方向に歩きだす
2人がいないことに気づいたキルプは、どこまで行っても探し出すと誓う
ネルが大事にしていた小鳥が殺されそうになるのを助けて
自宅で飼うことにするキット
●旅
町を抜けて野原に着き、ひと休みして、カゴに入れてきたパンと焼肉を食べる
安い宿屋に泊り、翌日も早朝から歩きだす
牛乳を分けてもらおうとしても、どの家も貧しくて気が引ける
ある大家族が2人を快く迎え入れてくれて、泊まっていけと誘うが祖父は断る
馬車が来て、家族から頼まれたからと言って乗せてくれる
●人形つかい
人形芝居をして旅回りしているショートとコドリン
墓で人形のつくろいをしていて、ネルは手伝ってあげると
この村の宿屋で芝居をやるからと誘ってくれる
コドリン:
2人はロンドン中のお尋ね者かもしれない
探している人に渡せば、たんまりお礼がもらえるだろう
翌日、人形つかいは競馬場で芝居を演るからと2人を誘う
コドリンたちは2人を警察に引き渡すつもりかもしれないと感づいて
芝居をしている最中に逃げだす
●村の校長先生
村の校長先生に助けられて、野菜のごった煮をごちそうになり、ひと晩泊る
ネルは一人暮らしの校長先生のために洗濯などしてあげる
校長先生にとてもなついていた男の子が病気になり
ついにダメかもしれないと知らせが来て、駆けつける
少年の祖母:
あなたが勉強しろとおっしゃって、あの子は勉強ばかりして
とうとう病気になってしまいました!
あの孫を楽しみに、この年まで野良仕事に精を出してきましたのに
ネルの励ましを聞いて、喜び、少年は亡くなる
ネル:私は体を大事にして、おじいさまに孝行を尽くそう
●ろう人形
また2人で歩いていると、次の村までは遠いからと馬車に乗せてくれる貴婦人ミセス・ジャーレイ
2台の馬車はベッドや台所まで設備している(今のキャンピングカーみたいな感じなのかな/驚
ミセス・ジャーレイは、世界中から集めた蝋人形をぎっしり詰めて各地で公開している
美しいネルに説明させて、給料を払うから、一緒に馬車で暮らそうと誘ってくれる
町に着くと、ネルに新しいドレスなどを買ってくれる
その町でキルプを見かけてゾッとするネル
キットは小鳥にエサを買うために、馬車の馬の番をする
紳士ガーランドが気前良く銀貨をくれて、来週の月曜日も頼むと言う
キットが約束を守ると、気に入って、家で働いてくれと頼む
●ガーランド氏
紳士はキットに年600ポンドの給料を約束する
キットがネルを心配しているのを見て、探し出してあげたいものだと思う
ガーランド氏の知人がネルとトレントを探していると知りビックリする
知人はネルの顔を知らないため、手がかりがつかめた時はキットに来て欲しいと頼む
休みの日にネルは祖父と野原に散歩に行き、嵐に遭う
『勇敢なる兵士』という酒場に雨宿りに入ると
奥でトランプばくちをしていて、祖父の悪いクセがよみがえり
たちまちなけなしの金をすって、ネルに無心する(!
宿屋も兼ねていて、そこで泊るために、ネルは祖父のためにとっておいた金貨を渡す
トレント:
そんな大金を持っていたら、なぜ出してくれないのだ
そしたら今ごろ、5倍くらいになって戻ったものを
祖父はネルが寝たのを見て、宿のおつりを盗み、また賭け事を始める(!
それも全部すってしまい、賭け事の男たちは、蝋人形の夫人から拝借して
後で黙って返せば分からないと誘惑する
ネルは祖父がミセス・ジャーレイの金庫から盗む前に馬車を降りて出ようと言う
出稼ぎに行く男たちに交じって川を渡り、見知らぬ町に着く
祖父が空腹だと言うので、恥ずかしいのをガマンして
お恵みくださいと言って回るうちに病気になるネル
以前、世話になった校長先生と再会し、近くの宿屋に泊めてもらう
この先の村の教会に附属した小学校の校長になり
牧師さんは2つの家を貸してくれ、ネルと祖父はそこで暮らす
ガーランドは新聞でキルプが溺死したニュースを読む
トレントの弟で、富豪の紳士が行方を探していて
キルプは彼から金をせびろうとして、警察に追われ、テムズ川に落ちて死んだ
ネルのいる村に住む親切なバッチェラーはガーランドの弟で
ネルの話をガーランドに手紙で書いてしらせる
トレントの弟、ガーランド、キットは早速、馬車で村に向かう
初雪が降る深夜に着くと、ネルはおとといの晩亡くなったという
安らかなほほ笑みをたたえて、美しくも気高い死に顔
●天国への旅
トレントは悲しみのあまり、ネルの死を受け入れられず
雨の日も風の日もネルを探して歩きまわる
とうとうネルのお墓を見つけると、家でリュックサックに荷物をつめて戻る
トレント:
さあ、昔のように手を引いて連れて行っておくれ
のどかに広がる牧場が私らのねぐらになる
小鳥のように幸せになるんだって言ってたね
トレントはネルの墓石の前で冷たくなっているのを発見される
その顔には幸せそうなほほ笑みが浮かんでいた
トレントの弟:
兄は今ごろ、優しいネルに手を引かれて旅をしていることでしょう
2人を苦しめるものはもう何ひとつないのです
■解説
チャールズ・ディケンズ
1812年 イギリス生まれ
父は海軍の会計書記で、大勢の子どもを抱えて生活は苦しく
チャールズが9歳の時、借金が払えず監獄に入れられた
チャールズは学校を辞めて靴墨工場の小僧となり
『ロビンソン・クルーソー』を書いたデフォーのような小説を書きたいと夢見た
その頃の思い出は『デビッド・カッパーフィールド』に描かれている
15歳で法律事務所の見習い書記になり、新聞記者を経て
23歳から小説を書いて、たちまち有名になった
ディケンズの傑作の1つの本書『骨董店』のほか
『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』など
58歳で死去
山下一徳/カバー図案 武部本一郎/カバー絵・口絵・挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
これまでオルコットも含めて、どんなに貧しくても最後は報われて幸福になる
ハッピーエンドが多かったから、急な悲劇に悲しくなった
孫娘を幸せにしたいと言いつつ、ギャンブルで全部すってしまうって
賭け事の依存性がコワイ
れっきとした病なんだな
もとはそれなりに身分のある祖父には、ほんとうの経済力はなかったのかも
一緒に旅に出ても、ずっと孫娘に頼りきりだったし
それでも、スピ的に見たら、最初から寿命は決めていて
それぞれに学びとなるような経験をして満足だったとも言える
原作はこの7倍の分量だそう
悲しい終わり方でなかったら読みたいところ
【内容抜粋メモ】
登場人物
ネル
トレント ネルの祖父 骨董店店主
キット 骨董店を手伝う少年
キルプ 金貸し
ブラス弁護士
ミセス・ジャーレイ 蝋人形を見せて旅する女性
●トレント骨董店
ロンドンの裏町にある骨董店を営むトレント老人
孫娘のネルは美しく、素直な少女
ネルのために財産をつくろうとして始めた賭け事にハマって大きな借金をつくり
金貸しのキルプが取り立てに来て、家、店の品、家具もすべて差し押さえる
夜、通いの店員キットの家に泣きながらネルが来る
キルプはキットがトレントが賭け事をしていることを話したとウソをついたため
怒ったトレントはキットを逆恨みしている
キルプはブラス弁護士とともに家のモノを馬車につめこむ
熱を出して寝込んだトレント
熱病が感染らないよう、小僧にタバコをふかせる
キルプ:ネルは大きくなったら、わしのお嫁さんになってもらう
キットは夜中、2階の屋根までのぼり、ネルと話す
自分の家も貧しくて、母との2人暮らしだけれども
ネルと祖父と一緒に暮らそうと言ってくれるが
祖父の誤解がとけずに断るネル
家に買い手がついて、早く立ち退くようせっつくキルプ
ネルは祖父とともに家を出て、旅に出ようと誘う
朝早く2人は家を出て、キットの家とは反対方向に歩きだす
2人がいないことに気づいたキルプは、どこまで行っても探し出すと誓う
ネルが大事にしていた小鳥が殺されそうになるのを助けて
自宅で飼うことにするキット
●旅
町を抜けて野原に着き、ひと休みして、カゴに入れてきたパンと焼肉を食べる
安い宿屋に泊り、翌日も早朝から歩きだす
牛乳を分けてもらおうとしても、どの家も貧しくて気が引ける
ある大家族が2人を快く迎え入れてくれて、泊まっていけと誘うが祖父は断る
馬車が来て、家族から頼まれたからと言って乗せてくれる
●人形つかい
人形芝居をして旅回りしているショートとコドリン
墓で人形のつくろいをしていて、ネルは手伝ってあげると
この村の宿屋で芝居をやるからと誘ってくれる
コドリン:
2人はロンドン中のお尋ね者かもしれない
探している人に渡せば、たんまりお礼がもらえるだろう
翌日、人形つかいは競馬場で芝居を演るからと2人を誘う
コドリンたちは2人を警察に引き渡すつもりかもしれないと感づいて
芝居をしている最中に逃げだす
●村の校長先生
村の校長先生に助けられて、野菜のごった煮をごちそうになり、ひと晩泊る
ネルは一人暮らしの校長先生のために洗濯などしてあげる
校長先生にとてもなついていた男の子が病気になり
ついにダメかもしれないと知らせが来て、駆けつける
少年の祖母:
あなたが勉強しろとおっしゃって、あの子は勉強ばかりして
とうとう病気になってしまいました!
あの孫を楽しみに、この年まで野良仕事に精を出してきましたのに
ネルの励ましを聞いて、喜び、少年は亡くなる
ネル:私は体を大事にして、おじいさまに孝行を尽くそう
●ろう人形
また2人で歩いていると、次の村までは遠いからと馬車に乗せてくれる貴婦人ミセス・ジャーレイ
2台の馬車はベッドや台所まで設備している(今のキャンピングカーみたいな感じなのかな/驚
ミセス・ジャーレイは、世界中から集めた蝋人形をぎっしり詰めて各地で公開している
美しいネルに説明させて、給料を払うから、一緒に馬車で暮らそうと誘ってくれる
町に着くと、ネルに新しいドレスなどを買ってくれる
その町でキルプを見かけてゾッとするネル
キットは小鳥にエサを買うために、馬車の馬の番をする
紳士ガーランドが気前良く銀貨をくれて、来週の月曜日も頼むと言う
キットが約束を守ると、気に入って、家で働いてくれと頼む
●ガーランド氏
紳士はキットに年600ポンドの給料を約束する
キットがネルを心配しているのを見て、探し出してあげたいものだと思う
ガーランド氏の知人がネルとトレントを探していると知りビックリする
知人はネルの顔を知らないため、手がかりがつかめた時はキットに来て欲しいと頼む
休みの日にネルは祖父と野原に散歩に行き、嵐に遭う
『勇敢なる兵士』という酒場に雨宿りに入ると
奥でトランプばくちをしていて、祖父の悪いクセがよみがえり
たちまちなけなしの金をすって、ネルに無心する(!
宿屋も兼ねていて、そこで泊るために、ネルは祖父のためにとっておいた金貨を渡す
トレント:
そんな大金を持っていたら、なぜ出してくれないのだ
そしたら今ごろ、5倍くらいになって戻ったものを
祖父はネルが寝たのを見て、宿のおつりを盗み、また賭け事を始める(!
それも全部すってしまい、賭け事の男たちは、蝋人形の夫人から拝借して
後で黙って返せば分からないと誘惑する
ネルは祖父がミセス・ジャーレイの金庫から盗む前に馬車を降りて出ようと言う
出稼ぎに行く男たちに交じって川を渡り、見知らぬ町に着く
祖父が空腹だと言うので、恥ずかしいのをガマンして
お恵みくださいと言って回るうちに病気になるネル
以前、世話になった校長先生と再会し、近くの宿屋に泊めてもらう
この先の村の教会に附属した小学校の校長になり
牧師さんは2つの家を貸してくれ、ネルと祖父はそこで暮らす
ガーランドは新聞でキルプが溺死したニュースを読む
トレントの弟で、富豪の紳士が行方を探していて
キルプは彼から金をせびろうとして、警察に追われ、テムズ川に落ちて死んだ
ネルのいる村に住む親切なバッチェラーはガーランドの弟で
ネルの話をガーランドに手紙で書いてしらせる
トレントの弟、ガーランド、キットは早速、馬車で村に向かう
初雪が降る深夜に着くと、ネルはおとといの晩亡くなったという
安らかなほほ笑みをたたえて、美しくも気高い死に顔
●天国への旅
トレントは悲しみのあまり、ネルの死を受け入れられず
雨の日も風の日もネルを探して歩きまわる
とうとうネルのお墓を見つけると、家でリュックサックに荷物をつめて戻る
トレント:
さあ、昔のように手を引いて連れて行っておくれ
のどかに広がる牧場が私らのねぐらになる
小鳥のように幸せになるんだって言ってたね
トレントはネルの墓石の前で冷たくなっているのを発見される
その顔には幸せそうなほほ笑みが浮かんでいた
トレントの弟:
兄は今ごろ、優しいネルに手を引かれて旅をしていることでしょう
2人を苦しめるものはもう何ひとつないのです
■解説
チャールズ・ディケンズ
1812年 イギリス生まれ
父は海軍の会計書記で、大勢の子どもを抱えて生活は苦しく
チャールズが9歳の時、借金が払えず監獄に入れられた
チャールズは学校を辞めて靴墨工場の小僧となり
『ロビンソン・クルーソー』を書いたデフォーのような小説を書きたいと夢見た
その頃の思い出は『デビッド・カッパーフィールド』に描かれている
15歳で法律事務所の見習い書記になり、新聞記者を経て
23歳から小説を書いて、たちまち有名になった
ディケンズの傑作の1つの本書『骨董店』のほか
『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』など
58歳で死去