■特集ドラマ『途中下車』(2014)
原作:北村森『途中下車』
脚本:喜安浩平
出演:北村一輝、原田知世、松田知己、野際陽子、六角精児、池津祥子、野間口徹、木内みどり、村松利史 ほか
まだまだココロの病気の中では知られていない「パニック障害」。
「過呼吸」とか、「うつ」とかと混同されたり、それらも症状に含まれるケースもあるから余計に説明しづらくて、伝わらない。
それをこうして書籍や、ドラマを通じて知る人が増えて、理解してくれたら嬉しいかぎり。
▼story(ネタバレ注意
次期編集長と期待される灰島(40)(やっぱり編集者なのね・・・)は、
スケジュール帳に隙間を作りたくないほど忙しいほうがテンションが上がる
各地のホテルを覆面調査する企画が当たり、ヨーロッパ特集もようやく企画が通って1カ月の滞在となるはずだった・・・
ある時、新幹線がトンネルに入って、灰島は急な発作にみまわれる。
(息が出来ない、胸の圧迫感、鼓動が極度に早まり、手足が冷えて、痺れる、気が遠くなる、など、ひと言で言えば「死ぬかも」という恐怖感
その後、地下鉄での通勤もムリ、飛行機もムリ、狭くて暗い会議室もムリ、美容院でタオルをかけられても発作が出る(パニ障あるある
病院で「パニック症」と診断され、1ヶ月後、退職願を出した。
妻・紗江は司書(パートかもね)、一人息子・樹(イツキ)には病気のことを隠して、
「もっと自由に制約のない仕事がしたいから辞めた」と言って、自宅でできる仕事を探すがなかなか見合ったものがない。
こっそり飲んでいたクスリでようやく病名を聞き出した紗江は、カウンセリングを薦める。
カウンセラー・沢渡「タフだと思っている人でもかかる。今は100人に1人、予備軍は何百万人もいる病気」
「なぜ会社に理由を言わなかったのですか?」と問われた灰島は、
「“あいつ、ついに壊れた”と言われるのが嫌だった。ヒマな部署に回されるのは目に見えている」
家に帰り、紗江に「カウンセリングなんて、ダラダラ話してるだけで時間のムダだった」と話すと、
「じゃ、やめれば? あなたが“相談してほしい”て言う時は、“yes”って言って欲しい時。
弱味を見せたくないんでしょ? ほんっとにちっちゃいね、あなたって」
沢渡「あなたは、ペンのキャップをくわえると、自分の限界以上の仕事ができていた。
今度は、そのスイッチが思わぬタイミングで“発作”として出て、OFFにするのが難しい状態。まずはリラックス」
灰島は、サエがやっている「おはなし会」にこっそり行き、『はだかの王さま』を読んでいるのを聞いて、自分のことだと思う。
イライラをイツキにぶつけ、サエ「こんな時だけ父親ぶらないでよ! 私たちのことなんてどーでもいーんでしょ」
カウンセラーに「孤立感」を話すと、
沢渡「この病気の人は孤独を感じている人が多いです」
ずっと家にいる父親を見て、イツキ「僕、どうすればいいの?」サエ「フツーにしてようか、今まで通り」
(これが一番イイんだよね
灰島「どうせ、オレなんか家にいても邪魔なだけだろ?」
サエ「じゃあ、イツキと一緒にいなよ。今、一緒にいないともったいないよ。大きくなるのなんかあっという間なんだから」
家のローンも抱えているため、サエは夫の分まで働こうと、スーパーなどのパートを増やし、
カレンダーにギッシリ予定が組まれていることに気づく灰島。
頼まれた買い物も、レジの列がちょっと長いだけで発作が出て、自分の無力さ、変化に戸惑い号泣する。
乗り物が大好きなイツキと電車に乗った時も発作が出て、イツキはチュッパチャップスを渡して
「これ何味か当てて?」という遊びをすると、いくらか気が紛れて、海まで遠出する
灰島「パパにはスイッチがあって、それがいつ入るか分からないんだ」と話すと、
イツキもまた給食に出るみそ汁が大嫌いでサボったことを明かす。
灰島「パパも嫌いなものたくさんあったよ」
沢渡「(認知行動療法は1駅ずつ試すのが普通で、急な遠出をした灰島を叱るが)
息子さんと一緒に乗りたいって気持ちがスイッチを止めたのかもしれませんね」
そんな時、サエが急性腸炎で入院してしまう。なんにも分かってくれない夫に対して号泣するサエ。
見舞いに来てくれたパートの同僚から、サエにも見栄っ張りなところがあると指摘されてハッとする。
「辛い時は、そう言ったほうがイイんだから」
灰島「立山でライチョウを探そう!」
イツキ「それ、幼稚園の時も言ってた。行かなかったけど。大丈夫? 乗り物いっぱいだよ。
トロリーバス、ケーブルカー、トンネルもたくさんあるよ」
1泊2日の旅行をカウンセラーにも許しを得て挑戦する灰島。
灰島「イツキともっとそばにいて、どんどん付き合ってみたい。そうゆうことだろ、君の言いたいのは」
サエ「絶対ムリだけはしないで」
ダムで出会った老夫婦も、夫は30年勤めた会社を辞めて、半年間無職。それから夫婦でジョギングを始めたのだという
灰島「ごめん、オレのせいだよな。君が病気になったのは。『はだかの王さま』ってオレのことだろ? 分かっていても認める勇気がなくて」
サエ「でも、アレって王さまのせいだけじゃないから。周りがダメにしたの。諦めて、見て見ぬフリして、
どうせ何も変わらないって、そうやって病気になるまで放っておいたの。
正直言うと、仕事を増やしたのは、あなたといると、自分まで苦しくなりそうだったから。だからお互い様でした」
灰島「病気になって分かった。ほんとはパパ、小さい人間だったんだなって。弱いんだパパは。
パパがここまで来られたのはイツキのお陰だから。イツキはパパのお守りなんだ」
サエ「すぐには変われないもんね、人は」
灰島「オレさ、こうなって良かったと思って」
サエ「でも、最後に自分を大事にしてあげられるのは、自分だからね。ムリはしない。あなたもね」
灰島「乗っていかないか?(地下鉄に)」
手をつなぐって大事/涙
サエ「言ってよ、途中でダメになったら、そしたら一緒に降りましょう」
灰島「そん時は、また歩こうか」
****************************
ここから社会復帰した人のストーリーも知りたいなあ。
カウンセリングは心療内科とは別に保険対象外だから30分で5000円などとお金がかかるし、
本当は「退職」などの大きな決断は避けるべきなんだけど、当人は限界状態で、予備知識もないから、そうもいかない。
自立支援、ソーシャルワーカーなど、これが連続ドラマなら、もう少し具体的な突っ込んだところまで知ってもらえたかも。
どのみち、どんな病も、同じ状況になってみないと分からないもの。
同じ病でも、夫婦や、独身、男女の場合など様々な立場で微妙に違うから、それぞれの立場に立って想像してみることが必要。
1人だけで乗り切ろうと思わずに、早めに周囲にヘルプ信号を出して、
あらゆる人、福祉サービス、周囲に頼ってもイイんだ。
まずは、今まで人一倍頑張り続けて、走り続けてきた自分をゆっくりと休ませてあげること。
「誰かのためにならなきゃ生きている意味がない」とか「働かざる者食うべからず」とか
自分を責めたり、追い詰める代わりに、「ゆっくりと自分と向き合う時間が持てた」ことに感謝すること。
自分で自分を肯定すること。
誰からも褒めてもらえなくても、これまで頑張ってきた自分に「お疲れさま」「今日も1日生き延びられた」ことだけでも奇跡
無意識にムリしてきたことに1つずつ気づいて、立ち止まって、「それが自分にとって本当に必要か」を考えてみる。
そして、時間をかけて本来の「等身大の自分」を見つけること。
これって、病に関わらず、ヒトがこの世を生きている意味だと思うんだ。
だから、周囲は静かにその過程を見守って、アドバイスはせず、「早く治ってね」とプレッシャーをかけず、
本人が話したい時だけ聞き役に徹し「傾聴」「共感」「肯定」、長い目で寄り添っていて欲しいんだ。
灰島さんの日常に、パニ障になりやすい人の傾向がちょこちょこ見られたな
・人の仕事まで引き受ける(そのほうがラクだから
・洗濯物もキッチリと畳まないと気が済まない(几帳面さ
・リラックスするにも「目的」をキチンと作ってこなさないとヤル気が出ない などなど
原作:北村森『途中下車』
脚本:喜安浩平
出演:北村一輝、原田知世、松田知己、野際陽子、六角精児、池津祥子、野間口徹、木内みどり、村松利史 ほか
まだまだココロの病気の中では知られていない「パニック障害」。
「過呼吸」とか、「うつ」とかと混同されたり、それらも症状に含まれるケースもあるから余計に説明しづらくて、伝わらない。
それをこうして書籍や、ドラマを通じて知る人が増えて、理解してくれたら嬉しいかぎり。
▼story(ネタバレ注意
次期編集長と期待される灰島(40)(やっぱり編集者なのね・・・)は、
スケジュール帳に隙間を作りたくないほど忙しいほうがテンションが上がる
各地のホテルを覆面調査する企画が当たり、ヨーロッパ特集もようやく企画が通って1カ月の滞在となるはずだった・・・
ある時、新幹線がトンネルに入って、灰島は急な発作にみまわれる。
(息が出来ない、胸の圧迫感、鼓動が極度に早まり、手足が冷えて、痺れる、気が遠くなる、など、ひと言で言えば「死ぬかも」という恐怖感
その後、地下鉄での通勤もムリ、飛行機もムリ、狭くて暗い会議室もムリ、美容院でタオルをかけられても発作が出る(パニ障あるある
病院で「パニック症」と診断され、1ヶ月後、退職願を出した。
妻・紗江は司書(パートかもね)、一人息子・樹(イツキ)には病気のことを隠して、
「もっと自由に制約のない仕事がしたいから辞めた」と言って、自宅でできる仕事を探すがなかなか見合ったものがない。
こっそり飲んでいたクスリでようやく病名を聞き出した紗江は、カウンセリングを薦める。
カウンセラー・沢渡「タフだと思っている人でもかかる。今は100人に1人、予備軍は何百万人もいる病気」
「なぜ会社に理由を言わなかったのですか?」と問われた灰島は、
「“あいつ、ついに壊れた”と言われるのが嫌だった。ヒマな部署に回されるのは目に見えている」
家に帰り、紗江に「カウンセリングなんて、ダラダラ話してるだけで時間のムダだった」と話すと、
「じゃ、やめれば? あなたが“相談してほしい”て言う時は、“yes”って言って欲しい時。
弱味を見せたくないんでしょ? ほんっとにちっちゃいね、あなたって」
沢渡「あなたは、ペンのキャップをくわえると、自分の限界以上の仕事ができていた。
今度は、そのスイッチが思わぬタイミングで“発作”として出て、OFFにするのが難しい状態。まずはリラックス」
灰島は、サエがやっている「おはなし会」にこっそり行き、『はだかの王さま』を読んでいるのを聞いて、自分のことだと思う。
イライラをイツキにぶつけ、サエ「こんな時だけ父親ぶらないでよ! 私たちのことなんてどーでもいーんでしょ」
カウンセラーに「孤立感」を話すと、
沢渡「この病気の人は孤独を感じている人が多いです」
ずっと家にいる父親を見て、イツキ「僕、どうすればいいの?」サエ「フツーにしてようか、今まで通り」
(これが一番イイんだよね
灰島「どうせ、オレなんか家にいても邪魔なだけだろ?」
サエ「じゃあ、イツキと一緒にいなよ。今、一緒にいないともったいないよ。大きくなるのなんかあっという間なんだから」
家のローンも抱えているため、サエは夫の分まで働こうと、スーパーなどのパートを増やし、
カレンダーにギッシリ予定が組まれていることに気づく灰島。
頼まれた買い物も、レジの列がちょっと長いだけで発作が出て、自分の無力さ、変化に戸惑い号泣する。
乗り物が大好きなイツキと電車に乗った時も発作が出て、イツキはチュッパチャップスを渡して
「これ何味か当てて?」という遊びをすると、いくらか気が紛れて、海まで遠出する
灰島「パパにはスイッチがあって、それがいつ入るか分からないんだ」と話すと、
イツキもまた給食に出るみそ汁が大嫌いでサボったことを明かす。
灰島「パパも嫌いなものたくさんあったよ」
沢渡「(認知行動療法は1駅ずつ試すのが普通で、急な遠出をした灰島を叱るが)
息子さんと一緒に乗りたいって気持ちがスイッチを止めたのかもしれませんね」
そんな時、サエが急性腸炎で入院してしまう。なんにも分かってくれない夫に対して号泣するサエ。
見舞いに来てくれたパートの同僚から、サエにも見栄っ張りなところがあると指摘されてハッとする。
「辛い時は、そう言ったほうがイイんだから」
灰島「立山でライチョウを探そう!」
イツキ「それ、幼稚園の時も言ってた。行かなかったけど。大丈夫? 乗り物いっぱいだよ。
トロリーバス、ケーブルカー、トンネルもたくさんあるよ」
1泊2日の旅行をカウンセラーにも許しを得て挑戦する灰島。
灰島「イツキともっとそばにいて、どんどん付き合ってみたい。そうゆうことだろ、君の言いたいのは」
サエ「絶対ムリだけはしないで」
ダムで出会った老夫婦も、夫は30年勤めた会社を辞めて、半年間無職。それから夫婦でジョギングを始めたのだという
灰島「ごめん、オレのせいだよな。君が病気になったのは。『はだかの王さま』ってオレのことだろ? 分かっていても認める勇気がなくて」
サエ「でも、アレって王さまのせいだけじゃないから。周りがダメにしたの。諦めて、見て見ぬフリして、
どうせ何も変わらないって、そうやって病気になるまで放っておいたの。
正直言うと、仕事を増やしたのは、あなたといると、自分まで苦しくなりそうだったから。だからお互い様でした」
灰島「病気になって分かった。ほんとはパパ、小さい人間だったんだなって。弱いんだパパは。
パパがここまで来られたのはイツキのお陰だから。イツキはパパのお守りなんだ」
サエ「すぐには変われないもんね、人は」
灰島「オレさ、こうなって良かったと思って」
サエ「でも、最後に自分を大事にしてあげられるのは、自分だからね。ムリはしない。あなたもね」
灰島「乗っていかないか?(地下鉄に)」
手をつなぐって大事/涙
サエ「言ってよ、途中でダメになったら、そしたら一緒に降りましょう」
灰島「そん時は、また歩こうか」
****************************
ここから社会復帰した人のストーリーも知りたいなあ。
カウンセリングは心療内科とは別に保険対象外だから30分で5000円などとお金がかかるし、
本当は「退職」などの大きな決断は避けるべきなんだけど、当人は限界状態で、予備知識もないから、そうもいかない。
自立支援、ソーシャルワーカーなど、これが連続ドラマなら、もう少し具体的な突っ込んだところまで知ってもらえたかも。
どのみち、どんな病も、同じ状況になってみないと分からないもの。
同じ病でも、夫婦や、独身、男女の場合など様々な立場で微妙に違うから、それぞれの立場に立って想像してみることが必要。
1人だけで乗り切ろうと思わずに、早めに周囲にヘルプ信号を出して、
あらゆる人、福祉サービス、周囲に頼ってもイイんだ。
まずは、今まで人一倍頑張り続けて、走り続けてきた自分をゆっくりと休ませてあげること。
「誰かのためにならなきゃ生きている意味がない」とか「働かざる者食うべからず」とか
自分を責めたり、追い詰める代わりに、「ゆっくりと自分と向き合う時間が持てた」ことに感謝すること。
自分で自分を肯定すること。
誰からも褒めてもらえなくても、これまで頑張ってきた自分に「お疲れさま」「今日も1日生き延びられた」ことだけでも奇跡
無意識にムリしてきたことに1つずつ気づいて、立ち止まって、「それが自分にとって本当に必要か」を考えてみる。
そして、時間をかけて本来の「等身大の自分」を見つけること。
これって、病に関わらず、ヒトがこの世を生きている意味だと思うんだ。
だから、周囲は静かにその過程を見守って、アドバイスはせず、「早く治ってね」とプレッシャーをかけず、
本人が話したい時だけ聞き役に徹し「傾聴」「共感」「肯定」、長い目で寄り添っていて欲しいんだ。
灰島さんの日常に、パニ障になりやすい人の傾向がちょこちょこ見られたな
・人の仕事まで引き受ける(そのほうがラクだから
・洗濯物もキッチリと畳まないと気が済まない(几帳面さ
・リラックスするにも「目的」をキチンと作ってこなさないとヤル気が出ない などなど