森の詞

元ゲームシナリオライター篠森京夜の小説、企画書、制作日記、コラム等

猫を殺しました

2008年08月07日 | Weblog





 8月4日。
 私は3匹の子猫を殺しました。

 私は不動産会社に勤めています。
 貸家や月極ガレージの管理を担当しています。
 同日午前、とある月極ガレージの隣にお住まいの方から苦情の電話がありました。
 おたくの駐車場に猫が捨てられている。車に轢かれでもしたら気持ち悪いから何とかしてくれ、と。

 すぐに現場に向かったところ、ガレージの隅のほうに段ボール箱が置かれ、中にツナの缶詰めとトマトらしきものの残骸がありました。
 猫の姿はありませんが、鳴き声は聞こえます。
 少し探して、車の下に一匹見つけました。
 おいで、と呼んでみると、素直に出てきます。手で触れても、身体を持ち上げても抵抗しない。その様子を見ていたのか、何処からともなく2匹の子猫が出てきて、私の足に擦り寄ってきました。

 明らかに。
 人に飼われていた猫の反応です。

 どうしたものかと思案していると、苦情の電話をしてきた隣家の方が出てこられました。
 段ボール箱の中にある餌は、「通りすがりの女性や子供達が勝手に入れていった」のだそうです。そして、「気持ち悪いから保健所にでも持っていってくれ」と。
 まるで「生ゴミを捨てろ」と言うかのような口調で。

 ガレージの管理を任されている立場上、無視することはできません。
 私も妻も動物を飼った経験はなく、いきなり3匹の猫を飼うのは負担が大き過ぎる上、健康に育てられるとは限りません。
 1匹だけなら何とかできるかもしれませんが、後の2匹を見殺しにするとなれば、3匹も2匹も同じこと。
 何処かの公園にでも放すべきか、とも考えました。しかし、それでは子猫たちを捨てた愚かな飼い主と何も変わらない。

 保健所に連れて行ったところ、京都市では捨て犬の里親探しはするものの、捨て猫は即殺処分するのだそうです。
 また、猫は放し飼いにされることが多く、稀に飼い猫を野良猫と勘違いして処分してしまうこともあり、飼い主との間でトラブルが起きる可能性もあるとのこと。
 そのため、書類上は私が子猫たちの“所有者”となり、飼育放棄をする旨の書類にサインしないと引き取れないということでした。
 そして書類にサインした時点で、万が一本当の飼い主が現れた場合、私は窃盗犯になるのだそうです。
 もしそんなことを言われたら、他人のガレージに勝手に入ったということで不法侵入で訴えないといけませんね、と話したところ「保健所では民事に介入できませんので、そちらの責任でお願いします」と冷たくあしらわれました。
 別に本気で保健所の支援を期待したわけではありませんが。
 
 この子たちを捨てた、飼い主も。
 苦情の電話をしてきた方も。
 保健所の職員も。
 勿論、殺されることがわかっていて保健所に連れて行った、この私も。

 皆、この子たちを殺したに等しい。

 優しかったのは、餌を持ってきた女性と子供達くらいでしょうか?
 まあ無責任という点では同じですが。

 自分だって毎日のように、誰かが殺した動物の肉を食べていること。
 蚊を潰しているのと何も違いはないということ。
 頭ではわかっているのですが。

 辛い、ですね。

2003年8月7日

2008年08月07日 | あるシナリオライターの日常

 午前6時40分、起床。海藤からメール。

 午前8時~正午就業。
 午後1時30分、帰宅。

 雑用。
 【紅~くれない~】過去編プロット構築。

 『はじめの一歩』第22巻を観賞。

 午後9時から仮眠。
 午後11時、再起動。