テレホン法話の別原稿

真言宗豊山派テレホン法話 電話【03-3946-1166】ですが、「声が小さい」とのご意見を頂戴し、事務局に伝えたところ、早速、音を大きくしてもらえました。パチパチ！



さて、こちらは今回見送られた録音の原稿です。個人的には、こっちの方が好きだったのですが、コロナ禍ということで、今、発信されているものが採用されたのでしょう。

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【テレホン法話　3分（900文字）】


私は地元千葉県の柏マジッククラブという会に入っており、あちこちでショーをしています。これは以前、柏市内の幼稚園に訪問した時の話です。

一緒に行ったマジッククラブ会長が、ショーの始まりにステージの上から園児たちに元気よく「おはよう！」と声を掛けました。
当時60代後半の会長は

「みんな、世の中で一番大切なものは何か分かるかな？」

と聞きました。キョトンとしている園児たちに「そうだね。世の中で一番大切なものは健康だね」とニコニコしながら続けます。
私は、舞台の袖から「いや会長！それ、幼稚園児には難しすぎますよ！」と思わず突っ込みました。
子ども達にとっての大切なものは、ほとんどがミニカーやロボット、ぬいぐるみやお洋服だからです。

あれから20年。今は、私にも健康の大切さは身に染みて分かります。
しかし、仏教を開かれたお釈迦さまや真言宗の宗祖弘法大師空海上人、いわゆるお大師さまは、

「良いかね。いつも健康に気を付けなさいよ」

とはとりたてて言っていません。なぜならば仏教では、さらに大切なものがあると説くからです。
それは「穏やかな心」です。
例え、どんなに健康な身体を持とうと、心が穏やかでなければ意味が無いのです。

現在、新型コロナウィルスで不安な日々を過ごされている方が大勢いらっしゃいます。
そしてそのほとんどの方は、物で満たされ健康な身体を持ちながら、心がざわついているのではないでしょうか。
結果として、周りにたいして攻撃的になったり疑心暗鬼になったりし、自ら不幸の部屋の扉に手をかけているのかもしれません。

「みんな、世の中で一番大切なものは何か分かるかな？」

という、あの時のマジッククラブ会長の声が脳裏によみがえります。今なら、あの頃の子どもたちと共にこう答えたいです。

「はい、それは穏やかな心です」

と。こんなときだからこそ、そのことを胸に刻み、お釈迦さまやお大師様がたどり着いた、安らかな心の境地をイメージして、毎日を穏やかに過ごしていきましょう。



今月は増田俊康でした。
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写真～
サルスベリ（百日紅）の花があちこちで満開。円東寺にはピンクとマジェンタ色のものがあります