金谷武洋の『日本語に主語はいらない』

英文法の安易な移植により生まれた日本語文法の「主語」信仰を論破する

主語を抹殺した男

2007-01-10 09:54:28 | 管理人のつぶやき
2006年12月8日に講談社より『主語を抹殺した男』が出版されました。
http://www.amazon.co.jp/主語を抹殺した男-評伝三上章-金谷-武洋/dp/4062137801/sr=1-1/qid=1168390411/ref=sr_1_1/250-6215831-6077018?ie=UTF8&s=books
今までに出版されている『日本語に主語はいらない』『日本語文法の謎を解く』『英語にも主語はなかった』とは異なり、これは不遇の文法学者 三上章の評伝です。

三上章は東京大学工学部卒業後、数学教師として生計を立てるのですが、一生日本語文法を追い続けた人でもあります。
しかし、国語学者ではなく数学教師という肩書きで日本語文法を語っても、当時の日本の学界や教育界は三上章の言うことに耳を貸しませんでした。唯一の理解者が金田一春彦氏ですが、事実上、学界からは無視され続け、失意のうちに亡くなりました。

この本の著者であるたきさん(金谷武洋氏)は、三上章の生涯に光を差したいとの思いで、この著書を記しました。

こちらをお読みの皆様、是非、お手にとってご一読ください。
後悔はさせません。

ブログ管理人  チエ蔵

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追記:

私ほど活字(コミック、雑誌を含む)が好きな人間は数少ないと自負しているものですが、
そんな私は学校の「文法」に違和感をずっと持ち続けました。

どう回答すれば正答が得られるのかは分かっていたので、傍目には文法は得意に見えたかもしれません。
でも、ロジカルとは思えない文法のありように、国語教師に質問をなげかけましたが、これはと思える回答が得られたことはありませんでした。
とってつけたような「私は」と「私が」の違いについての解説はなにかすっきりせず、
幸田露伴などのいくつもの所謂「主語」が出て来る文章を(読点だけで、句点が殆どない)、だから日本語は曖昧だと片付けてしまう。
思春期の難しい時期だったこともあって、自国の文法が、自国の国語の教師によってですら、上手く説明できないことに対して、怒りさえ感じておりました。

理系の進路を選び、そんなことがあったことはそのまま忘れて、月日は流れて行きましたが、そんな時にであったのが、たきさんの『日本語に主語はいらない』 です。その中で、たきさんは三上章の主張についても、丁寧に解説しています。

そして、今回の著作「主語を抹殺した男』は、その三上章の生涯をたどるものです。

もしも、三上章の論文が認められていたら「文法」はもっとロジカルになっていて、私の高校の国語の先生の解説も、もっと違うものになっていたかもしれません。
きっと今でも学校では同じ文法を教えているのでしょう。失望を禁じ得ません。せめて「このような文法もある」と紹介だけでもしれくれればいいのですが。

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
中国新聞の記事をブログで公開しました (ヨシヲです)
2007-02-20 00:01:56
金谷様

こんにちは
ヨシヲです

 金谷さんの仰ったように昨日(平成19年2月18日)の中国新聞朝刊に『主語を抹殺した男』が紹介されました、東京大学教授佐藤良明さんの書評付でした。私のブログでも公開しています。私が言うのもなんですがさすがいい書評を書いていらっしゃいました。
地元の本屋でもおそらく紹介するものと思われます、その時はまたお知らせします。
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中国新聞 (たき)
2007-02-21 08:01:43
ヨシヲさん

佐藤さんは以前、「英語にも主語はなかった」の書評も書いてくれました。何よりも広島を中心とした中国地方に三上章のファンが増えてほしいですね。まさに「郷土の傑人」ですから。中国新聞が評伝を取り上げてくれて、本当に嬉しいです。ヨシヲさんのご声援に、深く感謝します。
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聞いた事があるような (かもめ)
2007-06-12 13:37:40
高校の古典の時間に 先生から 日本語には主語が無いという考え方もある。と 聞いたような気がします。(大昔です)
当時 英語はムカデのように窮屈(ムカデは如何思っているかは分かりませんが)な言葉だなと 思っていました。(英語は授業で接していただけですが)日本語って 犬が彼方此方の電信柱にオシッコを引っ掛けて歩いている様な言葉に 思えました。
そういうことを 図書館で借りた著書で 思い出しました。

これから
このブログを ぼちぼち 拝見させていただこうと 思っています。
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ムカデと犬 (たき)
2007-06-14 04:34:09
かもめさん。書き込み、ありがとうございます。

ムカデの「窮屈」に賛成です。いちいち主語や目的語を言わないと正しい文にならないというのはいかにも窮屈です。日本語なら「会った」でいいところを「I met him」などと言うわけですから。

日本語を「犬のおしっこひっかけ」と捉えられたのは、これまたお見事です。これと同じことを私は『英語にも主語はなかった』で「虫の散歩」と言いました。視点がどんどん動いていくのですからね。今後ともよろしくお願い致します。

ところで来る7月8日に広島で文法講演をします。ご興味がありましたら案内をお送りしますのでメールアドレスをご教示下さい。
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お褒めの言葉ありがとうございます (かもめ)
2007-06-15 15:37:45
本人は いたって真面目に考えて物を言っても「ふざけている」と 言われる事が多いので 嬉しいです。
ところで 広島は 遠いので(乗り物が苦手なので)伺えません。メールアドレスも 息子が置いていったパソコンを 分からないまま めくら滅法に使っているので 書けません。
広島と言えば 「原爆記念碑の言葉には主語が無い」と 非難されていたけど 三上章の本を読んで 「これが真っ当な由緒正しい日本語だと思った」と 誰かが何かに書いているのを 昔読んだ事がありますが。
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