今月は、「七世松本幸四郎襲名百年」記念公演が日生劇場で上演されました。
この大好きな劇場で、今年も無事、歌舞伎納めができたことを神様に感謝します。
千秋楽に最高のお席で海老様を観る幸せ。
ご一緒した先生も良い席に感激され、お礼にと高級幕の内弁当をご馳走になり、至福の時でした。
夜の部の「口上」によると、
3人の曾おじいさんの七世幸四郎(彫像)は、弁慶役者ながら身長は150センチだったそうです。
小柄でも舞台に上がると大きく見えるのは、私も実感したことがあるので、きっと素晴らしい役者だったのでしょう。
演目の内、「碁盤忠信」は初めて。
それもそのはず、何しろ100年ぶりの復活上演!
七世幸四郎の襲名披露公演で披露され狂言だそうです。
幸四郎家の染ちゃん演じる忠信は、とても生き生きと魅力的でした。
やっぱり、姿が抜群ねぇ~。
でも一体、海老様はいつ出てくるのよ! とやきもきしていると、最後の最後でご登場。
ひぇぇ~、ものすごい隈取りで、顔の大きさが染ちゃんの1.5倍はある!
「歌舞伎顔って、ホントにあるのね」としみじみ思った次第です。
二人が闘っていると、突然、雷鳴が響き渡り、
「曾孫二人の争いを曾爺さんが止めている」と矛をおさめるのもご愛嬌。
途中で、少し早めの節分が行われ、私たち観客は「皆々様は来年一年、これでご息災」と
ありがたーいお墨付きを染ちゃんからいただきました。
さまざまな趣向満載の華やかな舞台で、祝祭ムードに満ちています。
重苦しい「勧進帳」より、こちらを楽日に選んで正解でした。
「茨木」は途中、松緑の踊りが長く、またもや眠気が……。
私って、なんで、こんなに舞踊が苦手なんでしょ。隣を気にして、必死で眠気を払いましたけど。
ただ、最後の松緑の飛び六方は圧巻! 眠気も吹っ飛びました。
片腕を切り落とされた鬼が、それを取り返しに来るというストーリーで、
思惑どおり、海老様@渡辺綱をだまして、自分の腕を持って引っ込む場面がすごい。
左手はずっと懐に入れて、「片腕」状態にしているので、ものすごくバランスをとるのが難しいはずなのに、
花道で、片足だけでスックと立って回ったり、どの所作もピタリと決まってました。
さすが、踊りのお家元ですね~。
松緑は上背があり、引っ込む姿は大きく、六方を見たっ! という満足感もあります。
結局、今回の公演では、3人とも六方をやったわけです。
染ちゃん@忠信も豪快に引っ込みましたし、海老様@弁慶の飛び六方は、いつもどおりの力強さ。
役柄と役者の個性とで、微妙に違う六方。
今回もまさに三者三様で、本当に良いしめくくりができました。
来年も歌舞伎を観ることができるよう、仕事するわよー!