(『歌舞伎美人』より)
舞踊劇「三社祭」をよくぞ、ここまで仕上げてきた! と泣きそうなほど感動した團子ちゃんの雄姿。
美少年・染五郎とも息がぴったりで、目の保養になるわ~。
次代を担うトップを走る十六歳と十七歳。
もう一方の「伊達競曲輪鞘当(だてくらべ くるわのさやあて)」も、今や歌舞伎界若手ナンバーワンの
イケメン・隼人君と上品な美しさの歌昇君という美青年コンビ。
世の中では「ルッキズム」という言葉で容姿を云々することが避けられがちですが、歌舞伎の世界には関係なし。
美しいお役はどこまでも美しく、が当然のお約束ですもの。
この二つは第三部のまさに最後の最後、美味しいデザートのような短い舞台で、真打(?)幸四郎の
「義賢最期」の辛いラストを中和して気分良くお客さまにお帰りいただく狙いかのような構成です。
「義賢最期」は、ちょっと仕掛けが見え過ぎちゃったかな。
この豪快な立ち回りや場面が連続する演目を間近で観たくて、久しぶりに最前列(現在は2列目)中央
の席を確保したのがやや裏目に出た感あり……。
でも、初役なのにお父さん・幸四郎は頑張った。
危険な場面が沢山あるため、回りでまさに支える役者さんたちは顔が真っ赤でした。
観劇したのは、まだ幕が開いて四日目だったためか、こなれてない。
主役の幸四郎に絶対怪我をさせられない! と守ろうとする皆さんの気迫を感じました。
仁左衛門直伝のこの重いお役を今後、誰が勤めるのかと考えると筆頭は海老蔵だったのですが、
今は幸四郎がどんどん難役に挑み、新境地を開拓して頼もしい!
おそらく息子の美少年もどこかで見ていて、いずれ自分もと思ったことでしょう。
未だ席数と時間を制限し、場内では飲食禁止、売店は完全に閉じて自動販売機さえ使えない歌舞伎座では
幕間(休憩)にやることがありません。
だからこそ、舞台一本で勝負、勝負!
役者の意気込み、心意気が客に伝わる舞台が増えているのは喜ばしい。
新作や創作でなくても新味のある素晴らしい舞台を期待して、来月も出かける私です~。