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八月花形歌舞伎・第三部@歌舞伎座

2021-08-31 | 歌舞伎

(『歌舞伎美人』より)

 

舞踊劇「三社祭」をよくぞ、ここまで仕上げてきた! と泣きそうなほど感動した團子ちゃんの雄姿。

美少年・染五郎とも息がぴったりで、目の保養になるわ~。

次代を担うトップを走る十六歳と十七歳。

 

もう一方の「伊達競曲輪鞘当(だてくらべ くるわのさやあて)」も、今や歌舞伎界若手ナンバーワンの

イケメン・隼人君と上品な美しさの歌昇君という美青年コンビ。

 

世の中では「ルッキズム」という言葉で容姿を云々することが避けられがちですが、歌舞伎の世界には関係なし。

美しいお役はどこまでも美しく、が当然のお約束ですもの。

 

この二つは第三部のまさに最後の最後、美味しいデザートのような短い舞台で、真打(?)幸四郎の

「義賢最期」の辛いラストを中和して気分良くお客さまにお帰りいただく狙いかのような構成です。

 

「義賢最期」は、ちょっと仕掛けが見え過ぎちゃったかな。

この豪快な立ち回りや場面が連続する演目を間近で観たくて、久しぶりに最前列(現在は2列目)中央

の席を確保したのがやや裏目に出た感あり……。

 

でも、初役なのにお父さん・幸四郎は頑張った。

危険な場面が沢山あるため、回りでまさに支える役者さんたちは顔が真っ赤でした。

観劇したのは、まだ幕が開いて四日目だったためか、こなれてない。

主役の幸四郎に絶対怪我をさせられない! と守ろうとする皆さんの気迫を感じました。

 

仁左衛門直伝のこの重いお役を今後、誰が勤めるのかと考えると筆頭は海老蔵だったのですが、

今は幸四郎がどんどん難役に挑み、新境地を開拓して頼もしい!

おそらく息子の美少年もどこかで見ていて、いずれ自分もと思ったことでしょう。

 

未だ席数と時間を制限し、場内では飲食禁止、売店は完全に閉じて自動販売機さえ使えない歌舞伎座では

幕間(休憩)にやることがありません。

だからこそ、舞台一本で勝負、勝負!

 

役者の意気込み、心意気が客に伝わる舞台が増えているのは喜ばしい。

新作や創作でなくても新味のある素晴らしい舞台を期待して、来月も出かける私です~。

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八月花形歌舞伎・第一部@歌舞伎座

2021-08-30 | 歌舞伎

お帰りなさい! 休演していた猿之助は20日からご登場。

初日から連日代演を勤めてきた巳之助君、お疲れさまでした。

 

「加賀見山再岩藤(かがみやま ごにちのいわふじ)は、主役が一人六役で勤める大変な演目です。

別名「岩藤の骨寄せ」と言われ、真っ暗な中で不気味に光るバラバラの骸骨が元の形に少しずつ戻っていく

という夏限定のような怪奇譚なので、頻繁に演じる機会も見る機会もないものを初役、しかも

初日の幕が開く数日前に言われて、三分の二を立派にやり遂げた巳之助君は劇評でも絶賛されてました。

 

私は月末のチケットを取っていたため、猿之助版でしたが、巳之助君のを見たかった気もしたりして……。

 

猿之助復帰後は、元々のお役で舞台に立つ巳之助君は大役を勤めて一皮剥けたかのような

堂々たる奴・又助でした。

 

切腹の場面では気合いが入ってましたね~。

あら、これなら「いがみの権太」や早野勘平なども行けるのでは?!

 

とは言え、戻ってきた猿之助も岩藤を熱演。

早変わりは仕掛けを知ってる人が見たら、そこまで不思議ではありませんが、

納涼歌舞伎は初めての客も多いので、さぞや驚かれたことでしょう。

さっきまで、そこにいたのに何故違う人物として衣装まで変えて登場できるの? と。

 

いわゆる「ケレン」を得意とする家にふさわしく、「三代猿之助四十八撰の内」と銘打ってありました。

四十八撰!! 

成田屋の「歌舞伎十八番」だって全ては上演していないらしいのに、すごいわぁ。

 

「岩藤」のような常識で考えるとあり得ない荒唐無稽なお話をしっかり魅せる舞台にするには、

役者たちの確かな力に裏打ちされたリアリティーが求められます。

今回、脇を固める雀右衛門や門之助をはじめとする面々に品性が感じられるのが心地良い。

お家騒動が発端になっている、という時代物的な香りが漂っていました。

こういうストーリーで騒々しいだけでは、歌舞伎にならないので。

 

猿之助主演で久々に良い舞台だと満足しました。

先日、テレビをつけたら鶴瓶師匠が猿之助に「あんた、よ~出てるね、あれ何? 詫びろ詫びろって、あかんて」

と結構、厳しい言葉を吐いている場面が飛び込んできました。

対する猿之助は神妙に「お恥ずかしいです」と。

 

テレビに出るのも歌舞伎に客を引っ張ってくる手段としては結構ですが、固定したイメージが

付きすぎるといわゆる「芸が荒れる」状態になる恐れがあります。

才人ですから、十分自覚されてるでしょう。

 

今月はまさに歌舞伎役者としての面目躍如でしたね~。

 

28日千穐楽。

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