いつだってワークライフバランス

「仕事と生活の調和」を意味する
ワークライフバランス。
より良いあり方を考えるブログです。

霊験亀山鉾@国立劇場

2017-10-31 | 歌舞伎

振り返ると、10月は4回も歌舞伎を見てしまいました。

 

歌舞伎座の昼夜、新橋演舞場の「ワンピース」、そして、国立劇場では悪の華を咲かせる仁左衛門の魅力全開の舞台。

見過ぎだぁ~と思っても、全て違う内容なのでどれも見逃せない……。

 

私は初日が開いて間もなく観劇しましたが、天覧歌舞伎になったと先日、ニュースで知りました。

天皇陛下が身を乗り出して、ご覧になっていたとのこと。

さすがだわぁ~、仁左さま♪

 

最終的に死ぬものの、次々と殺人を犯す仁左衛門@藤田水右衛門。

二役で、これまた悪党の八郎兵衛も務めるので、仁左さまのための舞台といっても過言でない。

二役で背中合わせになった宣伝ポスターの恐ろしいことと言ったら!!

これ見るだけでカッコよさに瞬殺。

 

この通し狂言は国立劇場で平成14年以来の再演とあり、初めて歌舞伎を見たのがちょうどミレニアムだったので、

歌舞伎歴2年目頃に私、運良く見てるんです~。

 

ただ、私の記憶では東日本大震災のときもかかっていたような?

国立劇場は地震の影響はなかったと思うのですが、中止になったのではないでしょうか。

確か、チケット代の払い戻しがありました。

記憶がどんどんいい加減になるので、こうしてブログに記録しておくのも何かの助けになるでしょう。

 

曖昧な記憶ながら、最初に見たときの強烈な印象は今も強く残っています。

これほどまでに極悪非道な所業に走る男が、なぜこれほどカッコいいのかと少し怖くなったほど。

 

今回も黒い衣装に身を包んだ水右衛門のときは、本当に血も涙もない冷徹さで震え上がるほどでした。

子供が見たら泣くわ。

でも、町人役になると裾をからげたりするため、細いおみ足が何とも痛々しく感じたのは私だけかしら。

 

細くてもヨボヨボしたところなど全くなく、颯爽と立ち回りもやるのですが、「仁左さま、大丈夫か?」と

少しハラハラしてしまいました。

 

大御所の舞台は、今後いつまでも見られるわけではありません。

今回も本水を使った大立ち回りがありました。

歌舞伎俳優ってつくづく肉体労働者なのよね。

 

いつまでもお元気で、正統派二枚目、しかも惡の華全開のニヒルなお姿を舞台で拝見させてくださいっ!

 

10月27日千穐楽。

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芸術祭十月大歌舞伎・昼の部@歌舞伎座

2017-10-30 | 歌舞伎

新作歌舞伎は、「仮名手本忠臣蔵」のオープニングのような厳かな幕開け。

黄金色の豪華な衣装に身を包んだ登場人物が雛段に並び、人形のように目を閉じて微動だにしません。

それが次々に目覚めていくところから始まり、見る者の期待感を高めます。

 

日印友好交流年記念のこの演目は、菊之助がずっと温めてきたものだそうです。

インドの神話的世界を描いた外題は「極付印度伝」。

会報誌で予告記事を見たときは全く予想できない舞台でしたが、通しになっていて分かりやすく、大変楽しめました。

 

新作なのに菊五郎はじめ、大御所役者もしっかり台詞が入っていたことから、皆さんの意気込みが伝わってくる高い完成度。

 

NHKのニュースではインド人のお客さんが満面の笑みで「古代インドの話だけど、初めて見てとても面白かった」

とインタビューに応じていました。

こういうご感想、聞いているだけで幸せな気分になりますね~。

 

ストーリーの軸になる醜い権力闘争は世界中どこの国でもある諍いで、現代社会にも通じて意外に風刺的。

もともと歌舞伎は権力に対して、庶民の反骨精神をオブラートに包んでうまく舞台にのせたりしてきたわけですから。

 

江戸時代みたいに歌舞伎を禁止して、千両役者を追放したりするような国になってはいけません。

自由にものを言い、笑い飛ばす懐の広さを皆が持つと、その他の多少の不自由は我慢できるというものです。

 

菊ちゃんにしても猿之助にしても新作やスーパー歌舞伎とはいえ、非常に練り上げた舞台に仕上げて素晴らしい!

最近、人間国宝の吉右衛門の「歌舞伎を単なる見世物にしたくない」という談話を読みましたが、彼らの果敢な挑戦には

吉さまも頼もしく感じていらっしゃるのではないでしょうか。

何といっても、菊ちゃんの義理のお父様ですしねっ♪

 

何かさー、海老さま、「花咲か爺さん」や「桃太郎」をやってる場合じゃないよ……と、先日たまたまテレビで目にした

お笑い芸人を歌舞伎の舞台に立たせた番組に激しく落胆した私。

 

観客の間口を広げるために新しいことをやるなら、歌舞伎でしか表現できないことを取り入れて、

歌舞伎を見たことない人の度胆を抜いてほしい。

それには技を磨くしかありません。まさしく挑戦。

 

媚びや易きに流れては、結局自分たちの首を絞めることになるのでは?

吉さまの危惧する「見世物」になって、以前からの歌舞伎ファンは離れ、新規客も開拓できない。

 

贔屓の引き倒しになりたくないので、斬新な「マハーバーラタ戦記」を見た帰りに、余計なことまで考えてしまいました。

 

25日千穐楽(とっくに終わったけど、いつかまた見たい~♪)。

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草月いけばな展「花創」@日本橋高島屋

2017-10-29 | お茶ときどきお花

出品した方からご招待状をいただいたので、雨の中、行ってきました。

 

写真は毎回、高島屋正面玄関に展示される大作(デパートのお客様はどなたでもご覧になれます)。

いつものことながら、巨大すぎて全体像がフレームに収まりきれない規模でした。

 

毎回、押し合いへし合いの大混雑で、同行者から「土曜日だから?」と聞かれましたが、実は平日もほぼ同じ。

二日間ずつ3期に分けて展示されるため、展示入れ替えがあるたびに見に来る人もいらっしゃるそうで。

すごいなぁ~、それって気力・体力・お金・時間のすべてが揃わないと、なかなかそんな気にならない……。

 

でも最近、気のせいか、生け花やお茶のイベントが非常に多く、そのどれもがいつも大盛況。

これって、とても素敵なことではないでしょうか。

 

花展の前に、銀座三越内で他流派のお点前つきの呈茶があるという情報を得て、告知されていた茶券配布開始の1時間半前、

同行者にひと足先に並んでもらおうと目論んだのですが、その時点ですでに定員に達したとメールが来て、ビックリ!

結局、三越では叶わず。

 

その日はお茶の稽古だったのですが、先生に「最近、お茶もお花も人気みたいですよ」と話したら反応、悪かったですねぇ。

というのも、先生だけでなく、私の社中の人は公民館や老人施設等でボランティアでも教えているため、文化祭で

一般市民に触れる機会が多いそうですが、それをきっかけに習いたい、と行動に移す人はいないのだそうです。

「皆無です」とキッパリ言い切る先生。

 

確かに私の周囲でも、「お花習うと部屋に飾れていいよね」「お茶やってると自分で着物を着られて憧れる」といわれますが、

習いたいと実践する人は本当だ! これまで、皆無だわ。

「習いに行ったら?」と水を向けても、「いやぁ~、それは……」と言葉を濁されますね。

 

実際に携わっている私たちが、「習いたい」と思ってもらえる魅力ある茶人やフローリストになるよう修行しろ

ってことだと肝に銘じた雨の一日。 

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埼玉WABI SABI大祭典@大宮公園

2017-10-22 | お茶ときどきお花

10月21・22日開催、埼玉県主催の和のイベント「埼玉 WABI SABI 大祭典2017」。 

茶道関係者が野点を行うということで出かけてきました。

 

「えっ?! あの悪天候で開催ですって??」と思われるのは正しく、二日目は全てのイベントが中止になったそうです。

茶道を始め、お花や和太鼓、盆栽など多種多様な和文化の催し物が計画されていたのが、ほぼ全て屋外開催なので、

中止やむなし。

 

それでも、私が出かけた土曜日はやっていたんです!

野点は外で行われるのに、どうするんだろう~、テントでも張るのかな~と案じていたとおり、テントが張られていたものの、

主催者は着物の裾が濡れて変色するほど、雨はシトシト降っていました。

 

私も大雨の日にお茶会の手伝いをした際、屋内の茶室であるにもかかわらず、受付などで外にも出ますし、

他の建物に行ったり来たりで傘をさしても肩がずぶぬれになり、洗いに出してもそのシミは完全にはとれませんでした。

 

初日だけでも開催されて、そこに参加できたのはラッキーでしたが、本来、お茶って何があってもやるものなんです。

茶人の約束。

嵐だろうが大雪だろうが不幸があろうが、茶会や茶事の案内をしたからには必ず開くし、伺うのが暗黙のルール。

でも、今回のイベントは一般市民対象なので、台風到来か?! という危険なときに強引に開催するのは控えたのでしょう。

 

私だって、もし日曜なら開催してても行ってません。 

幸い、土曜日は出かけた時間帯は雨も小康状態で風もなく、客として伺う分には思ったよりも楽でした。

 

車で、しかも洋服だったしね。 

同行者は律儀に着物だったけど、私は運転手役に徹した次第。

 

お茶一服いただいて帰ろうかと周囲を見回すと、大宮盆栽美術館行きのシャトルバスがちょうど発車するところ。

議会で税金の無駄遣いと糾弾された高額の盆栽が展示されていると聞いたことがあり、そのままバスに飛び乗って

5分後には美術館到着。

 

「えー、祭典の一環なのに入場料取るんだ~」と思いつつ入ると(わずか300円なのにスミマセン!)、

「何これ? 歌舞伎役者の浮世絵じゃない!」と目ざとく特別展を発見!

しっかり元を取ろうとする私……。

 

ちょうど学芸員さん(?)の説明が始まったところで、三代目菊五郎や七代目團十郎の本物の浮世絵を見ながら、

当時のエピソードを聞きながら、と思いがけない楽しい時間を過ごしました。

 

二人の千両役者が仲が悪かったこと、同時期に同じ演目をわざと当ててきたといった興味深い解説以外に、

何といっても菊五郎が盆栽に凝って植木屋を兼業したり、一時期、役者を引退して団子屋になっていたとは!

歌舞伎ファンでも知らないんじゃないかしら?

 

しかも全て本当のお話。 

その証拠として、浮世絵の中にミニ盆栽を楽屋に持ち込んでいる細かい描写などもあって、いや~、面白いっ♪

全てが浮世絵から読み取れるんです。

ほとんど、現代の週刊誌状態か。

 

何だか、お茶をいただきに行って、浮世絵にウットリして帰って来たという妙な一日でした。 

 

それにしても、七代目、イイ男だわぁ。 

早速、成田屋さんのホームページで確認すると、「色悪(ニヒルなワル)」という役どころを確立したとありました。

なるほどなるほど、さもありなん。 

 

って、「あんた、肝心の盆栽は見たんかいっ?」と美術館の方に怒られそうですが、特別展に向かう途中で拝見しましたとも。

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芸術祭十月大歌舞伎座・夜の部@歌舞伎座

2017-10-15 | 歌舞伎

玉三郎は今月も美しい。

 

久しぶりにお目にかかる玉さん。

玉さんが登場すると、客席はまさに水を打ったように静まりかえります。

「大和屋」と屋号を叫ぶ大向こうも拍手もまばらで、玉さんの一挙手一投足を凝視し、少しも聞き漏らすまい、

見逃すまいという客の思いの表れでしょうか。

いつものお約束のような心地よい緊張感。

 

落城寸前の大阪城で半狂乱の淀殿を演じる、「沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)」の玉三郎は、

辻村ジュタローの人形にも似た妖艶な美しさ。

取り乱し、嫁の米吉@千姫を散々いたぶる姿までもが絵のようで、ストーリーそっちのけで見入ってしまいました。

 

トリの舞踊「秋の色種」では若い梅枝と児太郎の三人で並ぶと、美しさの差が歴然となります。

両脇の二人とも若く華やかで、特に児太郎は玉さんと同じくらいの長身で大変見栄えがするのに、玉さんといると

ほとんどお付きの侍女状態……。

 

親子以上の年齢差があるのに、なぜ一番、光り輝いているのか。

閉演後、周囲の観客も口々に「やっぱり綺麗よね~、変わらないわね~」と感心しきり。

 

これはもう、若い二人が劣っているとかどうとかいう次元の問題ではないんです。

玉三郎独壇場。

まさにそういう舞台でした。

 

ふぅ~、美しいものを見ると、幸せな気分になりますねっ!

 

25日千穐楽。

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