正林寺法華講員手引書

『折伏・家庭訪問・教化育成・法統相続・教学研鑚・邪義破折・支部組織の充実強化に活用』 法華講正林寺支部 正林編集部

信心は焦らず地道にコツコツと

2005-11-21 | 手引書⑦

 日蓮大聖人は『頼基陳状』に、
 「一丈の堀を越えざる者二丈三丈の堀を越えてんや」(御書1132)
と仰せであり『種々御振舞御書』に、
 「一丈のほり(堀)をこへぬもの十丈二十丈のほりを越ゆべきか」(御書1058)
と仰せであります。一丈の堀を越えることが出来ないものは、当然一丈よりも長い二丈三丈、十丈二十丈の堀を越えることが出来ないということです。この日蓮大聖人の御指南は、どんなに卑しい仕事や簡単な仕事でも、置かれた立場で確実に出来なければ、更に大きなことは出来ないと仰せなのであります。基本や基礎が確実に出来て上を望むことが大切です。その中には、実際に経験しなければ知ることが出来ない人生の有り難い教訓が潜んでおり、自分自身を大きく成長させる糧が犇めいています。現場で明らかな現実を見て、自分の五感で感じ取り理解することで手を抜かずに、一歩一歩着実に進んでいく大切さを説かれたのであります。
 階段も一歩一歩、上ったり降りたりしなければ、怪我をする可能性を多分に持っております。つまり危険が付きまといます。その油断が取り返しの付かないものとなり、人生を無意味とし無駄にしてしまうことがあります。
 信心では成仏を目指し高望みをせずに、出来るところから目標を決めて焦らず地道に修行することが大切です。つまり「冥益」を得る秘訣を日蓮大聖人が仰せになられたのであります。更に他人と比較して劣等感を持たないことが大事です。
 広宣流布を目指す上で、時の御法主上人猊下が目標を決めて下さいます。私達は信伏随従し精進することです。更に各支部において、具体的な内容を煮詰めて勤めることであります。そこには異体同心や僧俗和合が大切になります。
 信心を知らない多くの方々は、二丈三丈、十丈二十丈を一気に成し遂げようという人がいます。そこには必ず冷静さを欠いたミスが生まれます。そこから思いがけない問題が生まれ、遠回りをする結果になります。信心をすることにより、この問題を未然に防ぎ、確実に成就させていきます。信心をしない人に、当然のことが出来なくなっているのが現実で、まさしく正法誹謗の果報が現れているのです。人生は御本尊様に勤行唱題するところ、着実に道を踏み外すことなく出来ます。
 信心を知らない謗法の考えに、焦らない地道さが薄れている傾向があります。一攫千金を狙うこともそのうちです。一攫千金を狙うときは、期待感が先に立ち、現実面を冷静に見ることが出来ず、人生の落とし穴に堕ちやすい命になっています。つまり三界六道輪廻の生活になる要素を多分に持っています。未来に希望が持て非常に気分を一時的に良くする覚醒作用があります。この気分の良さに酔いしれてはいけないのであります。正しい判断力が鈍りかけており、師子身中の虫が様子を窺い、第六天の魔王が操る通力と魔の手が伸びています。正しい覚醒は信心にあります。
 信心ではこの働きを、冷静に御題目を唱える中で、日蓮大聖人の仰せになることと照らし合わせることが必要です。照らし合わせて善悪の識別をし、現当二世という現在と未来に、どのような結果を及ぼすのか「戒定慧の三学」の意義を持ち、御本尊様から智慧を頂いて判断していくことが大事でしょう。そこに我此土安穏という境界が生まれます。そして様々生じる三障四魔などの作用にも適切な判断が出来て、乗り越えられます。故に善知識を具えることであります。
 信心に関係なく「一丈の堀」を軽んじる人は、身口意の三業が乱れている可能性があり、心が三毒に汚染されている傾向がありますので、今一度、我を振り返り、準備を調えてから高い目標を目指すことが必要です。それを確実に行うことが信心修行であり、御本尊様から功徳を頂いて自然と出来上がります。