正林寺法華講員手引書

『折伏・家庭訪問・教化育成・法統相続・教学研鑚・邪義破折・支部組織の充実強化に活用』 法華講正林寺支部 正林編集部

日蓮正宗教学用語集

2005-11-14 | 教学用語集

〈①.八相作仏〉

 釈尊の生涯の中で主要な八つの事柄。
①下 天 兜率天からこの世に降下すること。
②託 胎 母摩耶夫人の胎内に宿ること。
③出 胎 ルンビニー園に誕生すること。
④出 家 修行のため王宮を出ること。
⑤降 魔 悟りの障害となる魔を打破すること。
⑥成 道 菩提樹下において悟りを開き仏となること。
⑦転法輪 衆生のために種々の説法をし、教化すること。
⑧入涅槃 拘尸那掲羅において涅槃に入ること。


〈②.五逆罪〉

 人倫や仏道に逆らう五種の極悪罪のこと。一つでも犯すと無間地獄に堕ちる。
①殺  母 母親を殺すこと。
②殺  父 父親を殺すこと。
③殺阿羅漢 阿羅漢を殺すこと。
④出仏身血 仏の身体を傷つけて出血させること。
⑤破和合僧 教団の和合一致を破壊し、分裂させること。


〈③.三災七難〉

三災には、世界の破壊期に起こる大の三災と、世界の存続期に起きて人々を滅ぼす小の三災がある。
 大の三災
①火災 ②水災 ③風災
 小の三災
①穀貴 穀物の不作。飢饉のこと。
②兵革 戦争のこと。
③疫病 伝染病・流行病のこと。

 七難は、戦争・内乱・天災などの七種の災難をいう。『薬師経』『仁王経』『法華経』などに説かれているが、それぞれ名目に異同がある。ここでは『薬師経』の七難を挙げる。
  薬師経の七難
①人衆疾疫難 伝染病・流行病により多くの死者が出る難。
②他国侵逼難 他国より侵略される難。
③自界叛逆難 自国に内乱が起きる難。
④星宿変化難 彗星や流星が現われたり、星の運行に異変が生じる難。
⑤日月薄蝕難 太陽や月の異常現象の難。
⑥非時風雨難 季節はずれの暴風雨などの天候異変による難。
⑦過時不雨難 雨季に入っても雨が降らない難。


〈④.三因仏性〉

 成仏するための三つの要因のこと。
①正因仏性 すべてのものに本来具わっている真如の理、すなわち仏となる本性のこと。
②了因仏性 真如の理を照らし顕わす智慧のこと。
③縁因仏性 智慧を起こす縁となるすべての善行のこと。
 天台大師は三因仏性を土中の金に譬えている。金が土中に埋まっている状態を正因仏性、土中の金を知ることを了因仏性、雑草を取り、金を掘り出すことを縁因仏性に譬えている。


〈⑤.六難九易〉

 法華経の見宝塔品第十一に、例を挙げて仏の滅後に法華経を受持することの難しさを明かしたもの。九易自体は大難事であるが、仏の滅後に法華経を受持・弘通する六難に比べれば易しいことを教示したもの。

 六 難
①広説難 仏の滅後に悪世の中で法華経を説くこと。
②書写難 仏の滅後に法華経を書き写すこと。
③読誦難 仏の滅後に悪世の中でしばらくの間でも法華経を読むこと。
④潜説難 仏の滅後に一人のためにも法華経を説くこと。
⑤問義難 仏の滅後に法華経を聴聞し、その義趣を質問すること。
⑥奉持難 仏の滅後によく法華経を持ち奉ること。
 
 九 易
①法華経以外の無数の経を説くこと。
②須弥山を他方の仏土に擲げ置くこと。
③足の指で大千世界を動かして、遠く他国に擲げること。
④有頂天に立って無量の余経を演説すること。
⑤手に虚空・大空を把って遊行すること。
⑥大地を足の甲の上に置いて梵天に昇ること。
⑦枯れ草を背負って大火に入っても焼けないこと。
⑧八万四千の法門を演説して、聴く者に六神通を得させること。
⑨無量の衆生に阿羅漢果を得させて、六神通を具えさせること。

〈⑥.五十二位〉

 菩薩が菩提心を発こして修行し、仏となるまでの段階(位)を五十二に分けたもの。十信・十住・十行・十回向・十地の各十位と等覚・妙覚の二位をいう。
 五十二位には、別教の五十二位と円教の五十二位があるが、六即と円教の五十二位との関係を図示すると次のようになる。

 〔六即〕 〔円教の五十二位〕
 理 即
名字即──┐
観行即──┴─── (滅後の五品の位)
相似即──────  十 信
    ┌─ 十 住
     ├─ 十 行
分真即────────┼─  十回向
     ├─ 十 地
     └─ 等 覚
究竟即──────  妙 覚


〈⑦.五戒〉 

 仏教信者が守るべき五つの戒めのこと。
①不殺生戒 生き物を殺さないこと。
②不偸盗戒 盗みをしないこと。
③不邪婬戒 邪な婬行をしないこと。
④不妄語戒 嘘をつかないこと。
⑤不飲酒戒 酒を飲まないこと。

〈⑧.十善戒〉

 世俗の人の守るべき十の戒めのこと。
①不殺生戒 五戒に同じ
②不偸盗戒 五戒に同じ
③不邪婬戒 五戒に同じ
④不妄語戒 五戒に同じ
⑤不綺語戒 いつわり飾る言葉を用いないこと。
⑥不悪口戒 悪口を言わないこと。
⑦不両舌戒 仲違いさせるようなことを言わないこと。
⑧不貪欲戒 貪ることをしないこと。
⑨不瞋恚戒 瞋らないこと。
⑩不邪見戒 邪な見解を懐かないこと。


〈⑨.三毒〉

 人間の心を毒する貪、瞋、癡の煩悩をいう。
①貪欲 貪りの心。
②瞋恚 瞋る心。
③愚癡 事物の理に迷う愚かな心。


〈⑩.三惑〉

 苦果を招き、仏道修行を妨げる三つの煩悩をいう。
①見思惑 見惑と思惑のこと。見惑とは真理に迷う思想上の偏った見解。思惑とは物事を見て起こす本能的・感情的な妄想のこと。
②塵沙惑 菩薩が衆生を教化するために断じなければならない実際の相に暗い無数の煩悩をい      う。
③無明惑 非有非無の理に迷い、中道の障りとなる煩悩のこと。等覚から妙覚に至る最後の無明を元品の無明という。


〈⑪.四苦八苦〉

 人生の苦悩の根本原因である生・老・病・死を四苦に、次の四苦を加えて八苦という。
①愛別離苦 愛する者と別れる苦しみ。
②怨憎会苦 怨み憎む者と会わなければなららない苦しみ。
③求不得苦 求めても得られない苦しみ。
④五陰盛苦 五陰(色・受・想・行・識)が盛んになって生ずる苦しみ。

〈⑫.十八界〉

 感覚的・知覚的認識を六根・六境・六識の三つに分類したものをいう。六根(眼根・耳根・鼻根・舌根・身根・意根)とは身体にある六つの感覚能力および器官をいう。また六根それぞれの対象を六境(色境・声境・香境・味境・触境・法境)といい、六根が六境を認識するはたらきを六識(眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意識)という。この六根・六境を併せて十二処といい、さらに六識を加えたものを十八界という。


〈⑬.五味〉

 牛乳を精製する五段階の味のこと。天台大師はこれを釈尊一代の説法にあてはめて、五時教判を説いた。
①乳 味 生乳そのもの。   (華厳時)
②酪 味 生乳を精製したもの。(阿含時)
③生酥味 酪より精製したもの。(方等時)
④熟酥味 生酥を精製したもの。(般若時)
⑤醍醐味 熟酥を精製したもの。(法華涅槃時)

〈⑭.五眼〉

 『大智度論』に説かれている五つの眼力のこと。
①肉眼 肉身に具わる眼。
②天眼 天人が所用している眼。遠近内外昼夜の別なく見る。また未来の生死を知る能力がある。
③慧眼 一切の現象は空であると達観し、その理を見抜く二乗の眼。
④法眼 菩薩が一切衆生を救うために一切の法門を照らし見る眼。
⑤仏眼 真理のすべてに徹して一切に観ずる仏の眼。他の四眼もことごとく具足する。

〈⑮.四土〉

 四種の仏土のこと。
①凡聖同居土  裟婆世界や極楽世界のように、凡夫と聖者が同居する住処。
②方便有余土  方便道を修して見思を断じ、いまだ塵沙・無明の惑を残す二乗、菩薩の住処。
③実報無障礙土 分々の無明を断じ、一分の中道を悟った菩薩の住処。
④常寂光土  一切の煩悩を断ち、真理を悟った仏の住処。