空色のきもち

晴天の日も、雨の日もあるけれど、好きなものと一緒に毎日を過ごしています。

2007-07-18 14:02:57 | 本の森
もう乗り越えたと思っていた。
もう大丈夫って。

「ちょっとやったらダメになったんだってな。なさけね~な」

ズキンときた。
刺さったままだったんだと認識した。

どんな風になってしまったのか、いま、どんな気持ちでここにいるのか。
そんなことを周り中の人に言ってまわる時間はないし
だいいちそんなことをする必要性も感じない。
だから、どんなことを言われても大丈夫と思っていた。
実際のことを知らない人(わかってもらおうとか、伝えようとかしていないんだから知る由もない)は、
見えたことから判断するのだから。
それはその人から見た事実であり、いじわるで言っているのではない。
でも私の側からの真実とは違う。
物事はとらえかたでいく通りにも見える。誰が正しいなんてない。

でも刺さった棘は簡単には抜けない。

痛い。時折りうずく。


佐藤多佳子『一瞬の風になれ』を読んだ。
2007年本屋大賞と吉川英治文学新人賞をW受賞した本。

プロサッカー選手へむけて順調に道を進んでいく兄、
兄とともに、兄を目標にサッカーを続けてきた自分。
高校ではサッカー部に入らずに陸上部へ。

部を選ぶときの葛藤や家族の反応、失望させてる感、
才能があるのにあまりやる気のなさそうな友人。
段々と競技にのめりこんでいく様、
挫折、焦り、達成感、
厳しい他校の監督とどこかちゃらんぽらんなウチの監督のやりとり・・・

3冊というかなりの分量なのだけど、一気に読んでしまった。
そして、共感することも多かった。
(ていねいに取材したんだろうな、って感じもする)



考えたのは「厳しく指導するか、見守るか」ってところ。
「ほめて育てるか、叱咤激励して育てるか」ってことでもあると思う。
私はどちらも間違っていないと思っている。

だから実際に自分が今、どちらの態度を取るべきか、迷うときがたくさんある。
いつも優しいだけじゃだめなんだと思う。同時に厳しいだけでも。
「答なんてない」と思うから、その時々で最善と思われる方をとる。
だけど自信があるわけじゃないから、「それでよかったのか」と自問自答したりする。

そんな時に「そんなんじゃダメだ!」と強く言われると揺らぐ。
その人が、なぜそう言うかっていうのもわかる気がするから。



悶々と過ごしているある日、恩師の奥さんにばったり会った。
ほんの数分立ち話をしただけだけれど
「道はひとつじゃないのよ。やめたって全然構わないの。
追い詰めるようなことはいわないこと。それが貴方の役目よ」
と、私の目を見て強いオーラとともに言われた。

そうだ、先生が聞いたらきっとそういうな。

「今も落ち込んでいるわけじゃないんです。
根は楽天的だから、そりゃあ悩んだけれど『どうにかなるさ、なるようになる』って思ってます。
でも時々、それでいいのかって思ったりもするんです・・・」というと
「そりゃそうよ。迷って当たり前。
でも選択肢はいくつもあるんだってことを忘れちゃいけないのよ。
だれかが言ってあげなきゃ。
支えるって辛いわね。話したくなったら私でよければいつでもいいわよ。
まぁ、話す相手はいくらでもいるでしょうけれど」

「いくらでも」なんて。いませんって・・・

しなやかな強さ、っていうのを身につけたい。
と思ったりする いまだ煩悩にどっぷり浸かっている私です。
できれば「刺す」とか「刺される」側ではなく「抜く」もしくは「癒す・共感する」側でありたい。

コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 台風一過 | トップ | もうシーズン開始!? »

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (千里)
2007-07-19 16:14:22
自分が中・高生だった頃、親や先生などの大人は迷ったり、悩んだりすることはないのだろうと思っていました。
でもいざ自分がその年齢になってみるとそうじゃなかったんだと気付く今日この頃。
誰だ!?○十を不惑なんて言ったのは!!です(汗)
本当に子育てには悩むことばかりですが、「いつでも君たちの応援団長だよ」って気持ちだけは伝えていきたいなぁと思っています。
返信する
不惑 (しずく)
2007-07-19 16:44:08
誰だ! 私も○十歳になったら悟りでも開いているかと思っていました。とんでもないですね(笑)

ま~なんとかなるさ。

なんだか「スポーツもの」の本ばかり手にとってしまっています。イモヅル式に読むので仕方ないんですけどね。一通り読みきったら千里ブログを漁りに行きます(笑)
返信する
今となれば (まいける)
2007-07-19 16:51:24
何かになりたいとか、夢とか、もったこと一度もないのです。多分悩むことが嫌で、「失敗ね」とまわりの人に思われるのとが怖かったからと、親の期待と強制の目がひっかかってた気が今になってします
私の夢はいつか夢を持つことでした。(笑)

ガキ大将の男の子と喧嘩をしていて、手にささった鉛筆の芯ですが、未だ刺さっているままで、薄っすら手のひらに確認できます。今では、なんとなく「ほっこり」笑ってしまう棘です

あ~そう、私、町内会の皆様のところで遊ぶようになって思う「皆のような素敵な、お母さんになりたっかった」
返信する
トゲかぁ… (kahvi)
2007-07-19 20:50:56
私も「抜く・癒す」ことが出来るヒトでありたいデス
ムリかな?私Sだし(笑)

何気ない言葉がトゲになって刺さってしまう事、残念ながらありますよね。
自分で気づかないうちに(悪気もないのに)誰かを傷つけているコトがあるんじゃないかと思うと、とても怖いです。
でもそれを恐れてばかりいたら誰とも深く付き合えないじゃないかと友人によく説教されます。このトシになっても…

悩んだり傷ついたり…キズは増えるけど、その分いろんな事を学ぶから、無傷のヒトより断然ステキだと思います
返信する
(*^_^*) (しずく)
2007-07-20 05:52:09
>まいけるさん
夢を語るのもちょっぴり勇気がいるというか。失敗を恐れる気持ちってありますものね。

町内会の皆さんは素敵な方ばかりで、私も見習いたい まいけるさんも素敵ですよ

>kahviさん
イキナリ「S」発言(笑)
満身創痍にならない程度にしたいなあと思います。
痛くて動けなくはなりたくないので。
特効薬はなさそうなので、静かにしつつ時間が過ぎるのを待つかな。グズグズ。
返信する

コメントを投稿

本の森」カテゴリの最新記事