ペンペン怖い

傷痍軍人ってご存知でしょうか？

戦争により大怪我をされ、終戦後仕事に就くこともできない体に

なり、お祭りなど、多くの人が集まる場所で、楽器の演奏や

歌を歌い、募金を募っている光景を目にしたのは我々が最後

の年代ではないのかと思われます。


静岡市内では浅間神社のお祭り、護国神社など、その出入口に

必ずいらっしゃいました。肘から先が無く、そこに鉄の爪を付け

スチールギターを弾いたり、失明していたり足がなかったりするのですが、

小学校低学年で我が家で一番弱虫だった私には、その姿が

「地震雷火事親父」を上回る恐怖でありました。

我が家ではその傷痍軍人さんたちのことを「ペンペン」と呼んでいました。

スチールギターをペンペンと弾いていたからだと思います。

しかし、お祭りの大好きな私は、3人の姉に無理を言って浅間神社

まで連れて行ってもらうのですが、入口近辺まで来ると、

妙なセンサーが働き、誰よりも先に今日は「ペンペン」が

来ているかどうかがわかってしまうのです。

浅間さんには入口が沢山あり、「ペンペン」がいない出入口から

入るのですが、姉たちが「ペンペンいるよ！！」と騙すと、真っ青な

顔になり、脱兎のごとく家まで走り帰ってしまいます。



現在、いろんなことを教えてくれるパラリンピックが行われて

いますが、そもそも戦争で負傷した兵士たちのリハビリテーションとして

「手術よりスポーツを」の理念で始まったとされています。


あの、傷痍軍人さんたちもそちらに目を向けてくだされば、

弱虫少年も長いことトラウマに悩まず、夜中のトイレも怖がらず

にできたと思います。（階段の下に傷痍軍人さんが見えちゃうのですよ）


開催地の英国からも各種目に軍隊出身の屈強な兵士たちが出場して

います。その英雄たちへの声援は会場が揺れるほどの凄いものらしいです。


しかし、女子100メートル背泳ぎで、金メダルを獲得した全盲女性の言葉、

「きっとこの世で一番綺麗な色なんだと思う」には泣かされました。



その弱虫少年のその後、これじゃいかんと自覚し、あの手この手で

心臓には毛が生えたような強さを身に付け、恐らく夜１人でお墓に行って

朝まで居られるような強さを身に付けたような気がします。

これも強がりか？