獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

正木伸城さんのインタビュー記事(2) 週刊文春WOMAN Vol.16

2023-03-19 01:54:58 | 正木伸城

正木伸城さんは創価学会元理事長・正木正明氏の息子で、創価中学校、創価高校、創価大学と一貫して創価学園に学んだ経歴を持ち、創価学会本部職員として働いた経歴をお持ちです。
組織のあり方に疑問を持ち本部職員を退職した後も創価学会にとどまり、ライターとして活動していらっしゃいます。

「週刊文春WOMAN」 Vol.16 2023創刊4周年記念号(2023年1月12日発行)に、正木伸城さんのインタビュー記事が載っていました。

以下、「週刊文春WOMAN」の記事の引用のつづきです。

 


「なぜ教団職員を辞めたのですか?」
鈴木エイトが創価学会元理事長の息子
正木伸城と話した“政治と宗教”(つづき)

正木 昔は学会も他の宗教団体に対してガンガン批判して攻撃してましたけど、最近は他宗教に対して、そういうことはしなくなりました。学会は時代に応じて変化しています。かつての過激さを引き合いに出して、それこそ統一教会と同じように批判するというのは間違っていると思います。
鈴木 今、学会の会員数というのはどうなっているんですか。
正木 公称は827万世帯ですが、実数はかなり減っているはずです。学会には『大白蓮華』という雑誌があるんですが、その部数が減っているという話はしばしば耳にしています(※創価学会広報室は「公表しておりません」と回答)。『大白蓮華』は大抵の活動家が携帯するものなので、その部数から類推して、私は会員数を300万世帯前後だと見ています。
鈴木 先日、元学会員で芸人の長井秀和さんが『週刊新潮』で学会における高額献金----学会では「財務」というそうですが----の問題を告発しましたよね。あの中で学会員である長井さんの両親は数千万円単位の寄付をしていて、〈統一教会の“100万円の壺”なんて安すぎて〉とありましたが、あれについてはどうなんですか。
正木 長井さんのご家庭は相当特殊な事例だと思います。仏壇を3基購入していたという話がありますが、仏壇を複数所持している家庭は、あったとしてもかなり少数です。また、創価学会の中で過剰な財務により家庭が経済的に破綻するという例もほぼないとは思います。ただし、高額な財務をしている会員に対して、その会員のご家族が反対しているというケースは、たまにあります。
鈴木 正木さん自身は、いわゆる「宗教二世」としての葛藤はなかったんですか。
正木 ありました。例えば修学旅行で日光にいったときに、母から「鳥居をくぐっちゃだめ」と言われたり。幼いころから、そういった信仰の教育みたいなことがやっぱりあるわけです。あるいは小学校で「お父さんの仕事を調べて作文で発表しましょう」とか。
鈴木 あれ、ヒドいですよね。
正木 宗教専従職員の息子からするとつらい宿題です。母親に添削されながら「お父さんは世界平和のために世界中を駆け回って……」と書いたら、友達に「えっ、お前の父ちゃんってヒーローなの?」ってツッコまれて(笑)。
鈴木 やっぱり両親ともに信仰生活に熱心だと、ネグレクト的な状況も起こるんですか。
正木 子ども時代に両親が家にいなくて、イヤな思いをする子は、結構います。僕自身もイヤな思いをしました。それで高校生のときに父親に「世界平和と家庭の平和とどっちが大事なんだ!」ってキレたこともありました。
鈴木 正木さんは、「現代ビジネス」の記事でリチャード・ドーキンスの『神は妄想である』について書かれてましたよね。実は僕も無人島に一冊持っていくとしたら、ドーキンスなんです。
正木 えっ、そうなんですか。
鈴木 ドーキンスは『悪魔に仕える牧師 なぜ科学は「神」を必要としないのか』において、キリスト教のような既成宗教であっても、それを子どもにそのまま強制させることの問題点を非常にわかりやすく書いているんです。
正木 彼は、まだ判断能力がない子どもに本人の意思とは関係なく信仰を教え込む行為は「虐待」だとまで言っていますよね。
鈴木 今、「宗教二世」という言葉がよく使われるんですけど、僕はあの言い方、あまり好きじゃないんです。本当は「カルトの二世問題」と呼ぶべきなんです。統一教会が「カルトという言い方はヘイトスピーチだ」と盛んに主張し、当事者の二世への配慮などからもあまり使われていませんが、現実に組織として人権侵害を起こしているわけですから、ちゃんとカルト呼ばわりしないといけないと思う。
正木 その通りですね。
鈴木 いわゆる「宗教二世」問題って、本当は宗教の問題じゃないんですよね。宗教に限らず、色んなある程度極端な思想とか思考の枠組の中で、親の影響で子どもが被害を受けているという構造自体を捉えないといけない。
正木 僕自身、学会の本部職員は辞めましたが、まだ脱会はしていないんですね。やっぱり物心ついてからずっと学会員で、親戚もみんな学会員というコミュニティの中で生きてきたので、そこから抜けるのは正直つらい。でも、だからこそ創価学会の二世信者に「信教の自由はあるのか」と問われると首を傾げてしまう部分がある。教団内では「二世信者が違和感を持つのは信仰がおかしいから」という考えが前提になることもあるので、二世の声は中々響かない。
鈴木 正木さんは山上徹也容疑者の事件に宗教団体が関わっているときいてどう思われましたか?
正木 私の記憶だと、最初〈ある特定の宗教団体への恨み〉と報じられていたのが、途中で〈ある特定の団体〉に変わったので、もしかして政治的に不都合な宗教団体が関係しているのかなと一瞬思いました。
鈴木 そうだったんですか。
正木 僕自身はやっぱり山上容疑者に同情する気持ちがちょっとはあります。もちろん殺人は許されないことですが、その人生遍歴を聞くにつけ、宗教二世として人生が行き詰まっちゃった閉塞感とか、動機については理解できる部分もあるなと感じました。
鈴木 僕は最初はとにかく感情移入しないようにしたんですよね。この事件を機に自分が取材を受ける立場になって、二世たちがどういう境遇に置かれているかを説明しているうちに、感極まっちゃうようなことがあって、これはマズいな、と。第三者であるはずの僕でさえ、ここまで感情を揺さぶられるので、当事者の二世の子たちには、SNSから離れて、事件の報道を見ないように、と言ったんです。
正木 この事件が起きたことで、エイトさんがこの20年以上調べてこられた自民党と統一教会のズブズブの関係の実態を国民が知ることになりましたよね。
「政治と宗教」はなぜ結びつくのか。例えば創価学会の場合は、自分たちの理想----それこそ、学会だけの利益というよりも、普遍性のある理想----を実現する一つの「手段」として政治に関わっていくという感覚でいる会員が一定数います。ところが統一教会と自民党の関係は、それとは明らかに違いますよね。
鈴木 もともと統一教会は「反共産主義」という旗を掲げて、自民党の保守層、例えば安倍晋三元首相の祖父である故・岸信介氏などに接近していくわけです。政治家のもとに人を送り込んで選挙を手伝ったりするのと引き換えに教団の体制の保護を求めてきた。それが安倍政権の頃には、統一教会を日本の国の宗教にしてしまおうというところまでエスカレートしていた。政治家への浸食の仕方としてはかなり特殊ですよね。
正木 これだけ深く癒着していると、成立した「救済新法」にしても、政府は「やってる」感を出しているんですけど、「骨抜き」にされるんじゃないかと危惧しているんです。やっぱりマインドコントロールに関する規定がないのは、その定義が難しいとはいえ、問題になり得ますよね。その難しさを盾にして、被害の実態に寄り添わない法案になってはいけない。
鈴木 信者はマインドコントロールされているのに、形としては「自主的に献金」していることになっている、という実態に即して ないんですよね。 なぜ救済法案が「骨抜き」にされるかといえば公明党の存在があるからですよね。本当は公明党が乗って来れるように、この法案は宗教という枠組みでやらないほうがいいと思うんです。宗教とは関係なく、継続し て人権侵害をやっている団体を規制するという方向にしないと難しいのではないでしょうか。
正木 フランスの反セクト法ではカルトかどうかを見極める10の基準、例えば〈精神的不安定化〉〈法外な金銭要求〉〈児童の加入強要〉などが定められていますよね。それは一つの参照軸になりますし、カルト教団そのものを規制するというよりも、カルト的な逸脱行為 を規制するという風に線引きをするなどして、実のある法にしていく必要はあると思います。
鈴木 だから今の自民党みたいな「今後、統一教会と一切関係を断ちます」というやり方は実は非常にマズいんです。統一教会の中に取り残されている被害者としての 二世ごと切り捨てることになって しまうから。
正木 個々の政治家と統一教会との間でどういうギブアンドテイクが為されてきたのかという検証がなされないまま、「幕引き」しようとする思惑が透けて見えます。
鈴木 やっぱり「本筋」を見失っちゃいけない。個人的には山上容疑者への不可解な鑑定留置延長も 気になります。 拘置所の中で口封じされちゃうんじゃないか、とイヤな感じがしているんです。教団と政治家たちが「共存共栄」を続けてきたという事実を闇の中に葬りさられないように、我々は注意しないといけないと思います。

 


解説
学会は時代に応じて変化しています。かつての過激さを引き合いに出して、それこそ統一教会と同じように批判するというのは間違っていると思います。

という正木さんの意見、私も賛成です。
長井さんの言動についての冷静な評価も、私の意見と通じるものを感じます。

創価学会内部にとどまっての批判活動。いろいろ大変でしょうが、頑張ってください。
組織が風通しの良いものになるために、正木さんに惜しみないエールを送りたいと思います。

 

獅子風蓮



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