獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

菊池真理子さんの対談記事(2)

2023-03-31 01:09:06 | 宗教2世

『酔うと化け物になる父がつらい』『「神様」のいる家で育ちました』などの著書のある漫画家の菊池真理子さんの対談記事が、正木伸城さんのインタビュー記事と同じ雑誌に載っていました。

週刊文春WOMAN Vol.16 2023創刊4周年記念号(2023年1月12日発行)
大特集:宗教は毒か?救いか?


「神様」のいる家で育った私が信仰から解き放たれるまで
 __アダルトチルドレンと宗教虐待は重なっている。

   信田 さよ子  ×  菊池真理子
(カウンセラー) (宗教2世)

(つづき)

信田 菊池さんのお母さん自身、完全に信じきれなくて、そんな自分を責めたから、より懸命に勤行を唱えた可能性がありますね。夫や娘たちに信仰を強制しなかったのも、そのせいかもしれない。
菊池 確かにそうですね。七五三やクリスマスもやってたし。そういう葛藤もひっくるめて、母は可哀想だったなと思います。
信田 山上徹也容疑者のお母さんが置かれた苦境を、重ね合わせてしまいます。自殺した夫はアルコール依存症だったみたいだし、上の男の子は難病だったと聞きます。不幸が一気に襲ってきたとき統一教会に入ったのも、多額の献金をしたのも理解できますよ。不幸の最中にいる人にとっては、「誰も自分に注目してくれないのに、この人たちは注目してくれた」と救済者に見えてしまうものです。
菊池 お母さんは責められませんよ。責めるべきは信者ではなく、教団です。
信田 事件の背景を知るにつれ、山上家のような境遇の人たちに手が届かなかった、私たちカウンセ ラーの業種的な責任を感じました。
菊池 私は、世間から「宗教二世は犯罪予備軍だ」と見られてしまったらどうしよう、という怖さを感じました。被害妄想かもしれませんけど、やっぱり自分たちは奇異な目で見られてるという感覚が抜けないんですよ。でも家庭の事情が解明されてきたら、山上容疑者の生い立ちについては同情する声が増えたので、少し安心があります。
同時に、奇異な目が宗教一世に向いてしまったことが恐ろしいな、と思っています。カルトに嵌った一世もまた、被害者であることが多いからです。「あの人たちは頭がおかしいから関わらないようにしよう」と捉えられると、その子どもにも悪い影響が及ぶかもしれません。二世にしてみたら、一世が笑い者になると、過去の自分が笑いの対象だったことを再認識しなきゃいけないので、やっぱり辛いんです。
信田 宗教二世は、二倍苦しむんですね。
菊池 以前は、宗教が絡むと子どもを助けてくれる人はいませんでした。子どもには他人に相談するという発想がないし、周りにいる大人は教団の人ばかりですから。勇気を出して警察や役所に「助けてください」と駆け込んだのに、「いや、宗教の問題にはタッチできないから」と追い返された人もいます。
信田 児童虐待の場合、当事者である子どもはその日常がノーマルだと思っているから、「お母さん、ごめんね」と謝りながら、親に殺されていくんです。だからこそ、周囲の関心や第三者からの通報が意味をもちます。
菊池 子どもは、お金を使ってカウンセリングに通うこともできないし、スクールカウンセラーが宗教二世の話も聞いてくれたらいいなと思ってるんです。ほかにも、ここへ行けば話を聞いてくれる人がいるという場所が、たくさんできればいいと思います。
信田 おっしゃる通りですね。いま一番求められていること。
菊池 児童相談所が宗教問題を扱えるようにしよう、という動きもありますね。
信田 法的根拠が作られるかどうかですね。親による虐待死の事件が起きて「児相が何度か訪問したけど、介入せずに帰りました」と報じられるたび、世間は怒りますよね。児童虐待防止法が2000年にできて以降、児相の権限は少しずつ増えていますけど、親が出てきて「大丈夫です。元気です」と言われたら、帰らざるを得ないのが現実なんです。プライバシーの保護と信教の自由は、鉄壁ですから。
菊池 そうですね。
信田 そうした場合に警察を呼んで介入できる法的根拠もあるんですが、実施されるのは全国でもわずかな件数でしかないです。「法は家庭に入らず」なんて言ってるのは日本くらいで、DVもそうですが加害者野放しの現状はとても遅れているんですよ。
菊池 カウンセリングに行っても、宗教の話をしただけで「あ、そこから先は聞きません。 宗教はわからないので」と言われる場合があります。別に教義を知って欲しいわけじゃなくて、「親がこうだったので苦しいんです」と話したいだけなのに。「だからカウンセリングに行くのはやめました」という話をよく聞きますよ。代わりにスピリチュアルや占いに走ってしまう人も多いです。
信田 それはひどいですね。そのカウンセラー自身が無能であることの証明じゃないですか。
菊池 信田先生のカウンセリングは、「どうなったの? どうなったの?」と根掘り葉掘り聞くでもなく、「こうしたほうがいいよ」とアドバイスするでもなく、興味をもってじっくり話を聞いてくれるという感じでしたね。
よく覚えてるんですけど、先生から「私、菊池真理子は何かする人だと思ってる」と言われたんですよ。親も含めて他人からあまり期待をされない人生だと思ってたんですが、先生に期待してもらったことが力になりました。みなさんに言ってるのかもしれませんけど、その言葉につき動かされてきた面もあります。
信田 心にもないことは言えませんよ。『「神様」のいる家で育ちました』でいろいろな宗教の二世に取材して、感じたのはどんなことですか。
菊池 人それぞれ個別の物語があるので、違うところもいっぱいあるんですが、一緒だなと思った部分が多かったですね。自分で選んだ信仰じゃないのに、なんでこんな生き方をしてるんだろうって苦しんでいる人が、やっぱり多かった。信仰を通した条件付きの愛情しか親からもらえない点も、共通していました。宗教から抜け出したあと、世間のノーマルから自分がはみ出ていて、どっちにも行けなくって困っている人がたくさんいることも実感しました。
信田 宗教二世を集めたグループチャットを始めて、どのくらいですか。
菊池 一年半です。先生から学んで、アルコール依存症の人たちの断酒会みたいな当事者の集まりが大事だとわかったんですが、宗教二世には話し合う場所がなかったんです。いまは、いろんな宗教の人が200人くらいいます。
どの宗教であっても、楽しい思い出がゼロじゃないんですよ。たとえばエホバでは、女性信者は「姉妹」、男性は「兄弟」と呼び合ったりして疑似家族的になるので、信者同士の距離が近いんです。エホバ二世のお話を聞くと、「外の社会は人との距離が遠くて寂しい。嫌なことはいっぱいあったけど懐かしい」という人も多いです。 そ ういうことは、二世同士でなければなかなか話せません。
信田 アルコール依存症の場合、専門家の役割は本当に一部で、自助グループに参加することによる回復が主体です。同じような体験をもつ人を「類的他者」と言うんですけど、「こんな経験は自分だけだ」と思っている人がグループカウンセリングに参加して「自分一人じゃない」と気付くだけで、問題の半分くらい解決することがあります。
グループカウンセリングで、「学会から離れたいと思って家から出てアパート住まいを始めて、これで自由になったと思った翌朝、郵便受けに聖教新聞が入っていた」と話をした人が「これってやっぱり怖いですよね」と言ったら、 グループのみんなが「怖い怖い」と頷く。すると、「怖い私は異常じゃないんだ」とわかるといった例もありましたね。
菊池 宗教から逃げ出そうとか、誰かに相談しようとすら思えなかった人たちが、最初にホッとするのは「あなただけじゃないよ」という言葉なんです。もうひとつ「苦しいと言っていいんだよ」という言葉も、少しでも多くの人に 届けたいです。

 

 

 


解説
以前は、宗教が絡むと子どもを助けてくれる人はいませんでした。子どもには他人に相談するという発想がないし、周りにいる大人は教団の人ばかりですから。勇気を出して警察や役所に「助けてください」と駆け込んだのに、「いや、宗教の問題にはタッチできないから」と追い返された人もいます。

という菊池さんの指摘は重要です。
今後は、宗教2世の子どもたちが気軽に相談できて、被害を食い止めることができる場所が増えてくることを期待します。


__『「神様」のいる家で育ちました』でいろいろな宗教の二世に取材して、感じたのはどんなことですか。

という信田先生の質問に対して、菊池さんは次のように答えています。
__人それぞれ個別の物語があるので、違うところもいっぱいあるんですが、一緒だなと思った部分が多かったですね。自分で選んだ信仰じゃないのに、なんでこんな生き方をしてるんだろうって苦しんでいる人が、やっぱり多かった。信仰を通した条件付きの愛情しか親からもらえない点も、共通していました。宗教から抜け出したあと、世間のノーマルから自分がはみ出ていて、どっちにも行けなくって困っている人がたくさんいることも実感しました。

宗教二世を集めたグループチャットというものがあるのですね。
私も、関心を持って覗いてみたいと思います。


宗教から逃げ出そうとか、誰かに相談しようとすら思えなかった人たちが、最初にホッとするのは「あなただけじゃないよ」という言葉なんです。もうひとつ「苦しいと言っていいんだよ」という言葉も、少しでも多くの人に 届けたいです。

この言葉は、心に響きます。
アンチ創価のブログにもいろいろなものがありますが、組織に疑問を持った人がたどり着く先として、アンチブログの存在価値があるのではないでしょうか。

花子さんやレモンさんのブログ、ぜひ復活してほしいものです。

 

獅子風蓮