獅子風蓮のつぶやきブログ

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乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』Ⅳ章 その2

2023-03-04 01:56:10 | 東村山女性市議転落死事件

乙骨正生『怪死―東村山女性市議転落死事件』(教育史料出版会1996年5月)
より、引用しました。
できるだけ多くの人に読んでいただく価値がある本だと思いますので、本の内容を忠実に再現しています。
なお、漢数字などは読みやすいように算用数字に直しました。

なお、乙骨さんにはメールで著書を引用している件をご報告したところ、快諾していただきました。
ありがとうございます。

(目次)
□まえがき
□Ⅰ章 怪死のミステリー
□Ⅱ章 疑惑への道のり
□Ⅲ章 対立の構図
■Ⅳ章 たたかいの軌跡
□Ⅴ章 真相を明らかにすることは民主主義を守ること
□あとがき

 


◆議会運営を左右する公明
この日の一般質問において、朝木さんは、1、環境保全行政について、2、市職員の労使関係について、3、行政の基本姿勢についての3点を質問。このうち第3番目の行政の基本姿勢を質すなかで、宗教と行政の関係、具体的には、創価学会と行政との関係を取り上げたのであった。朝木さんの創価学会関連の質問の骨子は、以下の3点。
①創価学会が日蓮正宗から破門されたことによって、実質的に宗教法人としての資格を喪失しているとすれば、市内にある創価学会東村山文化会館の固定資産税に対する非課税措置を見直す必要があるのではないか。
②創価学会が行っている「脱講運動」に、市職員が職務上知り得た個人情報が悪用されていないかどうか。
③創価学会が宗教法人だとすれば、機関紙『聖教新聞』の都議選北多摩一区の公明党候補に関する報道は、政教分離原則に抵触するのではないか。
固定資産税の非課税措置の見直し問題、市職員が職務上知り得た情報を漏洩、流出しているかどうかなど、行政事務や市民生活に密接にかかわる内容にほかならない。
だが、議事録に明らかなように、朝木さんが創価学会問題に言及するや、議長が直ちに質問を遮り、議長判断で、「質問内容は東村山市の行政事務と関係がない」として、執拗に発言を封じた。また、独断で、市当局に対し答弁をしないよう強要している。そして、しばしば「議場騒然」とあるように、公明党議員からは怒号と野次が連続して飛ばされたのである。
6月10日の一般質問直後、朝木さんはマスコミの取材に対し、次のように発言している。
「東村山市は、自民党議員だけでは過半数を超えない、公明党の協力がなければ議会運営ができないんです。だから、今回取り上げた創価学会がらみの問題は、議長まで一緒になって、潰そうとかかってくる。また、こうした立場をいいことに、公明党議員のさまざまな不正まがいの横暴がまかり通る。私は、それが許せなくて、今まで、事あるごとに追及してきました。しかし、これは東村山だけの問題ではなく、どこの自治体でも抱えている、共通の問題だと思います」
全国各地の地方議会で、公明は、議会与党を占めている。それらの議会の大半で、自民党は単独過半数を割っているため、最終的に公明の動向が議会運営を左右するという状況が続いている。


◆「天下取り」
1955年(昭和30)に「王仏冥合(おうぶつみょうごう)・国立戒壇」を旗印として政界に進出した創価学会は、当初、会員の増加を背景にした公明党の議席伸長によって、単独政権の樹立を夢想していた。公明党結成の翌年に当たる65年当時、池田氏は、単独政権が樹立された暁には、公明党の総裁となり、総理大臣となることを多くの側近に語り、自らを首班とする組閣名簿まで用意していた。
「天下取り」すなわち政権奪取をめざすそうした創価学会の雰囲気を 池田氏と昵懇だったジャーナリストの高瀬広居氏は、その著『人間革命をめざす池田大作その思想と行動』のなかで次のように描写している。
「池田会長は、モダンな本部応接室のアームチェアーにアグラをかき直すと、煙草を一服し、静かに、そして激しい語気でいった。
『私は、日本の国主であり、大統領であり、精神界の王者であり、思想文化一切の指導者・最高権力者である』
同席の大幹人は深く肯き、息をのんだ。(中略)37歳の創価学会会長は、自らを世界の 指導者、日本の国主たる気概と現実的意思のもとに、数百万世帯の人々を背景に、舎衛の三億の目標に向かっているのである」
この年、池田氏から参議院候補に指名され、のちに四代会長となる北條浩理事長(当時)は、幹部用機関紙『前進』に、参院選に出馬する決意を次のように記している。
「王仏冥合達成とは、具体的に王仏冥合達成の指導者、ただひとりの池田先生に、名実ともの指揮をとっていただきたいことを意味する。その日を夢に描きながら、私は与えられた使命を身を粉にしてやり遂げていきたい。誓って道を切り開き、必ず、先生をお迎えいたしますと、私は心に堅く決意した」(65・7)
「王仏冥合達成の指導者、ただひとりの池田先生に、名実ともの指揮をとっていただ(く)」とは、池田氏を総理大臣として迎えるとの謂いにほかならない。
同様に、現会長の谷栄之助氏も、「戒壇建立の晩には、わが男子青年部の手によって内閣を結成し」(「大白蓮華」 64・2)と、将来、創価学会が単独で内閣を組織することが、創価学会の目的であることを公言してはばからなかった。
だが、現実には言論出版妨害事件などを契機とする社会的批判の高まりと組織内の矛盾によって、勢力は停滞。公明党は10パーセント政党として、衆議院50議席、参議院25議席で頭打ちとなる。これ以上の勢力伸長、議席獲得が不可能であることを認識した学会は、やむなく方針を変更。公明党は第三政党として国会でのキャスチングボートを握ることに全力をあげ、時に社公民、時に自公民と路線をクルクルと変更し、連立政権の樹立に全力を傾注するようになる。
これに先立ち、地方議会でも与党化を図り、日本全国の大半の議会でキャスチングボートを掌握。最終的に国会でも非自民政権を樹立し、一時的であったといえ、政権の一翼を占めるにいたったのである。
1992年(平成4)7月実施の参議院選挙を前にした91年、創価学会が組織幹部に配布した内部資料には、そうしたキャスチングボートを握り、政権奪取を目指す創価学会の意志が明確に示されている。

「私どもは今、当面している問題をどうとらえていくかが、幹部にとっては、大事なことであると思う。と言うのは、私どもは(池田名誉会長の指導によって、21世紀に向って、世界宗教として広宣流布の大道を堂々と進んでいくわけである。そして、名誉会長の訴える「人間主義」と、それに基づく世界平和の推進に対して、世界の一流の識者の人たちが即、共鳴し、賛同して、“(池田)SGI会長の示される方向こそが、まさに人類にとっての21世紀への希望である”という時代に入って来ていると思う。
一、同時に、やはり時を同じくして、日本の中で公明党の占める位置が、誠に重要になってきた。ある意味でいえばキャスティングボートを握る立場になり、事実上、自民党が二百数十議席あろうと、最後に参議院の二十議席の公明党ですべての重要法案が決まってしまう。現実に今、そういう事が起こっている。しかも、そのバックに創価学会がいる。日本の命運を決していくのが創価学会公明党である。創価学会公明党によってがっちり握られているのが今の日本である。現実にそういう状況が生まれてきている。(中略)
一、そう見ると日本を挙げてその焦点は、すべて池田名誉会長のところに集まる時代になってきている。(日蓮)大聖人御在世当時のことを考えるのはもったいないことだが、大聖人お一人に日本全国が宗教界も権力者も、注目をして、それで日本の動向が決まるという状況にあった。現実に広宣流布がそういう段階に入ったのだと思う。したがって、今後起こってくる問題に対し絶対に私たちは逃げてはならない。
そうなると、やはり大事なのは同志が団結し、お互いに守り合い、それを突破していくことが今の私たちの広宣流布の命題である。そのバロメーターになるのが、来年の参議院選の比例区の得票数である。今、私たちはこれに750万という目標を掲げて挑戦しようとしているわけである」

95年の元旦 池田氏は『聖教新聞』に、次のような新年の歌を発表した。
「この歳も 勇み楽しく 大法戦 乗り越え 勝ちゆき 幸福王者に」
創価学会にあって「法戦」とは選挙を意味する。池田氏は、95年に予定されていた統一地方選、参議院選に全力を傾注し、これに勝利することで、王者になろうと会員に檄を飛ばしたのである。
この池田氏の檄に応えて、創価学会は、統一地方選挙をホップ、参議院選挙をステップ、そし衆議院選挙をジャンプとする三段跳び作戦で、政権の奪還に全力を投入。統一地方選挙では公明候補約4000名のうち、落としたのは町議候補一人という準パーフェクトの完勝を果たした。また、参議院選挙でも、旧公明の選挙区候補全員を当選させたのをはじめ、比例区で新進党を比較第一党に躍進させることに成功する。
秋谷会長が、参議院宗教法人特別委員会に参考人招致された12月4日に先立つ、11月末、創価学会は、全国の組織幹部にあてて、「支援活動について」と題する衆議院選挙の支援体制の確立を指示するマニュアル文書を配布。衆議院選挙で勝利し、政権を奪還すべく着々と準備を進めている。乾坤一擲、次期総選挙に全力を傾注するその姿は、まさに虎視眈々と獲物を狙う虎のようである。

 

 


解説
そもそも創価学会が政治の世界に進出したのは、広宣流布と国立戒壇建立が目的でした。
統一地方選もそのための土台なのですが、国立戒壇建立が否定され広宣流布の目標が遠のいたいま、公明党地方議員の活動のモチベーションはどう維持されているのでしょうか。
東村山市議会の公明党のように、与党なれして、腐敗堕落がめずらしくないのでしょうか。
今年の統一地方選では、公明党のそういう基本的な姿勢が有権者の厳しい目にさらされることでしょう。

獅子風蓮