★さちゅりこん――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

我を昔に看る

2013-07-02 20:19:40 | 文学


「山口六平太」などというマンガを読んでいたら、頭がもやもやとしてきた。――憔悴はしても元気にはなれない。で、楠元六男先生の『我を絵に看る』を読んだら目が覚めてきた。楠元先生の文学史の授業は――「歌経標式」から説き起こされたのがまずびっくりしたのであるが――とても面白かったので記憶に残っている。この本でも、先生の当時の論の運びが耳に響いてくるようである。そんなことを感じてみると……思うのだが、たしかに、発句と同じく、それが置かれた場所や事情によって解釈が変わるのが文章というものであろう。意味は、回線に乗って世界を飛び回るとは限らないのである。