石井信平の 『オラが春』

古都鎌倉でコトにつけて記す酒・女・ブンガクのあれこれ。
「28歳、年の差結婚」が生み出す悲喜劇を軽いノリで語る。

ここがヘンだよテレビ報道「はいってます」

2010-05-06 14:17:29 | メディア
連日のアフガン爆撃報道。テレビで聞き流せばどうということない、しかし、よく考えると絶対ヘンな言葉を使っているから、それを指摘しよう。

10月29日、月曜日の深夜、フジテレビ「ニュースJAPAN」で、こんなやりとりがあった。現地イスラマバードで取材中の、H記者(女性)が、ひとしきりレポートをしゃべった後、東京のスタジオから女性キャスターが問い掛けた。

「ビン・ラディン氏の所在については、何か情報が、はいっていますか?」

「ハイ、そういった情報は、今のところ、はいっていません」

報道番組では、あっちでもこっちでもやり取りされてる、この「はいっている」の言い回し。実は、報道記者として相当に恥ずかしい言葉ではないか。ニュースとは、記者が自分の足を使って出掛け、リスクと手間をかけて「獲得してくる」ものだろう。なんだか箱を開くと「はいっている」ような、この言い回しに、私は報道のダメさの「本質」を見る。

彼らは「記者クラブ」に慣らされ、コメントもデータも、定時の会見、またはクラブの自社私書箱に「はいっている」のが当たり前と思い込んでいる。はるばる外国に特派員で出向いても、見よ、最近のアメリカからの報道のひどさ。

大体が、「ワシントンポスト」がどういった、「CNN」がこう言った程度のレポートである。そんなん、東京にいても判るわい! そして、危険なアフガニスタン戦地の取材は、ほとんどのテレビ局は「フリー・ライター」頼みである。

昔の「従軍記者」たちの報道も相当ひどかったが、今はあれよりひどい。何しろ自分で戦地に行ってないんだから。

幼児のころ、私は祖母に教育されたものだ。「トイレで扉を叩かれたら『ハイッテマス』と言いなさい」。・・・ひょっとすると、これは記者たちが入社して、最初に教育される言葉かもしれない。

2001.11.1

石井信平