われらしんじんのこども

真人幼稚園の子どもたちの日々の様子や、
  楽しいエピソードなどをお伝えしています。

コドクノチカラ

2007-09-14 15:15:30 | Weblog
 今週は少しシリアスなテーマ、人間の孤独などについての話から。
 皆様もよくお分かりかと思いますが、子どもの心の中にも孤独があります。子どもは私たち大人が思っている以上に孤独な生き物です。あるいは、孤独を感じやすい(陥りやすい)生き物です。しかし同時に子どもは、大人が思っている以上に自らの内なる孤独に打ち勝つ強さを持っています。子どもは様々な逆境をバネに、それを生きる力に(プラスの方向へと)変えていく力を持っているのです。それは生物学的に言えば、幼児期はとくに生物として生命力のほとばしる年代であるためと言えますし、大人よりもはるかに前向きな思考回路を(そもそも生まれながらにして)持っているためであると考えられます。私はこれまでに出会った多くの子どもたちと生活を共にする中で、様々な場面で、そのことを教えられました。
 
 そんな経験の積み重ねの中で、「孤独」という言葉の意味そのものも私の中でしだいに変わっていくのを感じ続けてきました。そして子どもには、時には孤独になってひとりで考えたり、集中して何かに取り組んだり、自分の内面と向き合って自分自身を発見したりする時間が必要であると考えるようになったのです。
 とかく孤独というと、何か深刻でネガティブ、一人ぼっちで寂しいという意味だけの言葉に取られがちですが、実は負の要素ばかりではないのです。孤独になることで、つまり自分の内面にまっすぐ向き合うことではじめて自分を知ることができるのであり、それを自分なりに乗り越えようとする時、人はとても大きな力を発揮します。あるいは、孤独を知っているということがすでにひとつの大切な生きる力になっているともいえます。孤独を知らない人より、孤独を知っている人のほうが生きる強さを持っているのです。そしてそういう人は何よりも優しい。本当に優しい人とは、孤独の何かを知っている人なのです。これを私は孤独の力、「孤独力」と呼んでいます。孤独力とは別の言い方をすれば、心の中に様々な陰影を持っているということです。確かに喜びや悲しみの振幅が大きければ大きいほど心は大きく揺さぶられるわけですが、陰影の深い心は大きな振幅にも耐えうる、と私は考えます。本当の人間の喜びは、一方で苦しみや悲しみも知っているからこそ際立つのであるし、そのことのありがたさを頭だけではなく体全部で実感することができるのです。
 
 もちろんこれはすべての人間に当てはまるわけではありません。現に今すでに孤独に苛まれ、絶望感を抱きながら今にも心が潰れてしまいそうな思いをしている人だって世の中にはたくさんいます。当然のことながら、そういう人はもうそれ以上がんばる必要はないのです。がんばり過ぎれば心は行き場を失い、進むべき方向を見失う。それは誰にでも起こりうることです。だから時にはもうがんばるのはやめた、がんばらない、というのもひとつの方法であり、解決策であり、生き方です。それは決して後ろ向きな、ネガティブな生き方ではありません。孤独の果てで自分の進むべき方向を見失ってしまったら、思い切って心と体を休めることも必要なのです。それは前向きな選択であり、勇気ある生き方です。そもそも自分と向き合い、孤独を力に変えるというプロセスが何より重要なことなので、孤独や絶望そのものに押しつぶされては元も子もないのです。そういった意味では、物事の限度、自分自身の限界を知る、ということも私たちには必要なことなのかもしれません。

 さて、今年もまたマラソン大会の季節がやってまいりました。今年度もビッグスワンのとなり、新潟県スポーツ公園のサブグラウンドにて全園児がゴールを目指して走ります。常々申しておりますが、マラソン大会は子どもたちひとりひとりがそれぞれの限度、限界に挑戦し、自分自身を発見するための絶好の機会でもあります。もちろん競技である以上、順位などを競うことも大切なことですが、それ以上に大事なことは、すべての子どもがこのマラソンを通して自分と向き合ってみるという経験です。自分と向き合い、孤独を力に変えられる、そんなマラソン大会であってほしいと切に願っています。
 どうぞすべての子どもたちに温かい声援をお願いいたします。


【今日の一枚】
きょうは毎年恒例のPTA運動会(新潟市私立幼稚園協会主催)が鳥屋野体育館にておこなわれ、市内各園から総勢250名のお母様方が参加されて熱戦を繰り広げました。当園からも多数のお母様に参加していただきました。ありがとうございました。写真は開会式で挨拶するしんじんのお母様がたです。

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