総務省自治行政局市町村課(併任 合併推進課(3月まで))の方より地方分権・地域主権等に関する今(政権交代後)の国の動きをとても分かり易く教えて頂きました。
頂いたお話をご紹介・・・(長文です)
京都府議の岡本さんの紹介で、急遽総務省での研修へ参加。
総務省自治行政局市町村課(併任 合併推進課(3月まで))の方より地方分権・地域主権等に関する今(政権交代後)の国の動きをとても分かり易く教えて頂きました。
この方は30代の若手官僚でありましたが、さすがに霞が関の“官僚”はスゴイな~と率直に感じました。
政権交代後、局長や審議官ではなく副大臣ら政務三役が主導する場面が増え(前政権時はほとんどいなかったが、今の政務三役はほとんど各省庁にいる)、若手官僚も提案し易く、実現され易くなる、、、といった印象があるようです。優秀な、やる気のある若手官僚の台頭を期待するばかりです。
頂いたお話をご紹介・・・(長文です)
地方分権について、地域主権ということで民主党は基礎自治体を重視している。(自民党は道州制重視だった)
H5、衆参で全会一致で地方分権の推進に関する決議がされたが、、、これまで17年間で地方分権は進んだか?・・・あまり進んでいないのが実態。むしろ三位一体改革は逆行していた。
H9、機関委任事務の廃止により、地方自治体にとって行政部分はメリットがあったが、財政はH14の三位一体改革で3兆円の税源移譲を行い、不公平感が増した。(交付税が5兆円削られ、3兆円が都市部などを中心に税源移譲。『大企業が良くなれば、その下請けなどで地方も潤う』という考え方が根底にあった。) ⇒自主財源の移譲としては、大失敗また、地方はメリットがない、、、ということで、合併するしかない!!という流れになった。(自民党は1,000自治体にしたかった。裏では、選挙区の首長は少ないほうが選挙がし易いという考えもあったようだ)
POINT!:H18以前は地方分権をすべての省の許可をとって進めていたが、H18以降は各省の了解を得なくても進めることができるようになった。(12月:地方分権改革推進法成立)
地方分権改革推進委員会(東京で学者メインで行う)勧告の要点を記します。
第一次勧告:H20.05
〇64法律、359の事務権限を都道府県から市町村へ移譲例えば、都市計画などを県ではなく市へ(県の関与がなくなる)。…これは“市”に限るが、基礎自治体の責任が増す⇒分権は覚悟が必要!
第二次勧告:H20.12
〇義務付け・枠付けの範囲設定【自治事務の内、国の法令によって義務付け・枠付けをし、条例で自主的に定める余地を認めていないもの(条項単位→約1万条項)】(“義務付け”とは、一定の課題に対処すべく、地方自治体に一定種類の活動を義務付けること。“枠付け”とは、地方自治体の活動について手続き、判断基準等の枠付けを行うこと。)
メルクマーク(判断基準)非該当条項→国が関与しなくて良いこと・・・4,076項目!
⇒これを削減できれば、各省庁を思いっきり縮小できる!!・・・政権を取る前、民主党は「もっと削減項目は多くできる!!」と言っていた、が。。。(実際については、後に記載)
〇国の出先機関の見直し・地方議会のチェックが必要ない・マスコミも注目しない
⇒約20万人が働いている。それぞれの省庁はゼロ回答だったが、地方六団体は賛成。
⇒⇒結局、総務省がヒヨって“廃止”ではなく“統廃合”としたら、地方六団体は反発。基本的な考え方・・・ →国と地方の役割分担の見直し(住民に身近な行政は地方へ) →「二重行政」の弊害の徹底排除 →国と地方を通じた行政の簡素化・効率化 →地域住民の目の届くものとする仕組み →地方再生、地域振興
第三次勧告:H21.10
第二次勧告において見直し対象とされた義務付け・枠付けに係る4,076条項中、特に問題がある事項について、個別の条項毎に具体的に講ずべき見直し措置を提示(892条項)
・自治体の施設・公物に対する国の設置管理基準の廃止(保育所の屋外遊技場面積一人当たり3.3㎡以上などの廃止)・自治体の事務に対する国の関与(協議、同意、許可・認可・承認)
・計画の策定及びその手続きの自治体への義務付け(計画の策定が目的になってしまっているものが多くあるので、その義務付けを廃止する)ここまでの勧告は、直接的にお金の話ではないので、地方六団体や議員は「お金の話をしろ!」と言う。しかし地方議会は、歳出の議論はあっても、歳入の議論はほとんどない。消費税を5%あげれば、地方へ2.5%入るのに、なぜ地方議員は推進しないのか?…地方ほど増税の話は出ていない。政権交代が起き、その後第4次勧告がされたが、、、あまり見るべきものはなかった。
※地域主権改革ができれば、明治維新よりも大きな意味がある!!
⇒特に約50数年間かけて行われてきた「陳情行政」がなくなる。
⇒⇒「無理!」とみんな思っている。(特に年長者は)地域主権戦略の行程表(案)【原口プラン】より
☆地域主権推進一括法案(第一次)今国会(3月)提出予定 …義務付け・枠付けの見直し
【20兆円-15兆円(義務的なもの)-ハンディキャップ地域 ⇒ 3~4兆円】 このほとんどが道路関係で、機械的に割り振りされている。これを一括交付金化して県へ送る。
⇒全て県道になる。(⇒要望先が県になる)法制関係では、憲法の次(?)に位置する地方自治法の抜本見直しが行われている。(地方政府基本法の制定)
→今は、全ての市町村で同じような議会があって・・・のシステム。⇒本当に必要か!?
→→議会がマネジメントできるようにする。つまり、執行責任を負うようにする。(憲法上、議員からの職員起用などはできないので、取締役として部長級に入る)
→市町村:今は人口によって大まかに割り振られているが、そうではなく、それぞれ単独で“できること”で市町村を区別する。そしてそれを自分たちで選択できるようにする。(極端なことを言えば、宮田村が政令市と同じこと(サービスも含め)ができると判断すれば、政令市になれる、、、というイメージ)
→不適正経理事件等明るみにでることがあるが、執行側だけの責任では決してない!議会にも、監査委員にも責任があるはず!!
→→現監査制度の廃止・・・事務局が内部にあるのはおかしい!外部へ置くように。
→議会のあり方・・・無報酬、夜間・休日議会なども。
→→今は、自営業など一部の人に限られている。偏っている。サイレントマジョリティの排除?
☆出先機関改革(廃止) ⇒民主党はハッキリ言っている。・・・しかし、具体的な方法はない。
→→官僚がやる!!・・・働いている人約20万人をどうするか、、、が問題。(一部は県へ…と言うが)
☆国・地方の協議の場の法制化・・・ドイツは首長は参議院議員(連邦制だから、、、ということもあるだろうが、国と地方が直結している)
⇒第二議会(国、首長会議?)
→地方から人が入る(地方六団体の代表など)
→決定機関に入るということ。ただ要望するのではなく、自分たちも決定に携わるから責任を負うことになる。
→→例えば「後期高齢者医療制度」 民主党は『廃止!』というが、地方は『今更・・・』と言うかもしれない。
→→例えば「子供手当て」 市長会では『給食費や学年費などの天引きは反対!』と言っている市長もいる。
地方行財政検討会議について・・・POINT!:『全て選択制!!』に
テーマ:
1.自治体の基礎構造のあり方
○二元代表制を前提とした自治体の基本構造の多様化
○基礎自治体の区分の見直し
○大都市制度のあり方 等
2.住民参加のあり方
○議会のあり方
○一般的な住民投票制度のあり方
○長の多選制限その他の選挙制度の見直し 等
3.財務会計制度・財政運営の見直し(民間手法の導入)
○不適正経理事件等を踏まえた監査制度の抜本的見直し
○財務会計制度の見直し 等
4.自治体の自由度の拡大(規制緩和)
○執行機関(行政委員会など)
○議会の組織・権能 等
地方分権改革推進計画における「義務付け・枠付けの見直し」地方要望分の見直し数(条項ベース) 104条項! (←892条項 ←4,076条項)
⇒で、、、結局36条項になった。
⇒⇒結局、大臣や副大臣が『地方に任せられない・・・』と。
⇒⇒また、○○連盟などの団体から、削減されたら「困る!!」と言われれば、それまで自民よりだったそれらの団体を取り込みたい民主党は従ってしまう、、、という構図も。。。
⇒⇒⇒最終的(夏の参院選前)に出される地域主権戦略大綱(仮称)で何条項となるか・・・10条項ぐらいになってしまうかも・・・。
⇒⇒⇒⇒今回の政権交代で改革が進まなければ、我が国は改革ができない・・・と考えてしまう。
今、県はミニ霞が関化してしまっている。また、県が中央の言いなりではなく、戦う姿勢、更に泥をかぶる覚悟を持つべき。『国に者申す!』だけではなく。
***Q&A***
Q.合併について
A.明治の大合併は、戸籍制度の関係で行った(1年間で7万→1万)。昭和の大合併は、小中などの教育のサービス規模を考え行った(8年間で1万→5千自治体)。・・・平成の大合併は、この仕事・サービスのためという理由が明確でなかった。(一万人というラインはあったが。)
Q.一万人というラインは、現政権ではどのような扱いか?
A.長野県では、当時の知事の影響で小さい自治体が残った。今になって職員はやる気になっている雰囲気もあるが。。。現政権下では、一万人といった規模での合併推進はないだろう。ただし、各市町村には選択肢を持たせたいと考えている。
・水平調整 → 広域などで
・垂直保管 → 分権の名のもとに何でも下ろすが、返上もできるようにする。(ただし、人員数など体力の違いにより、自治体で差ができるという反対もある)
・合併
などやり方はあるが、現在、権限委譲は“市”しか相手にしていない。(←町村を差別していると言われるが。) 過疎連合、定住自立圏構想などは、これ以上ありえないと考える。できないだろう。
Q.監査制度について(外部監査はお金がかかるが?)
A.基本的に議会も監査の役割を担っている。監査事務局と外部監査などの費用をまとめれば、ある程度の額になるだろう。(都道府県や政令市は、外部監査は義務化されている。)・イギリスみたいに監査の団体をつくってみたら?
・市参事会 → 議会の次の組織 (昔は存在し、当時は執行部も入っていた)
・議会議員の年金問題 → 既に破たん状態なのに、一年先送りにした。・・・なぜか?
→→ やはり議員からは積極的な声はあまり出てこないので、否定的な発言がし難い、選挙前に提出しようと考えている。(夏の参院選)地方の議案づくり(予算要求や部局査定など)は、ほとんどのマスコミは取り上げない。
Q.二元代表制について
A.イギリスのクレアを参考に。
Q.民主党政権への予測
A.個人的な意見だが、期待半分・不安半分。タブーはなくなった。各省庁の幹部は自民の年配の方と仲が良かった。
Q.橋下大阪知事について
A.目的は良いのだが、根回しをあまりしないので、いろいろやっても全部橋下さんの手柄になってしまう。世論に沿ってはいるが、それがソッポを向いてしまうと、、、どうなるか? 自身のやりたいことを言うのは良いが、政権を取っているのは民主なので。。。この政権下では、道州制はない。(・・・話を聞いていて、以前いたどこかの知事を思い出してしまいました。)
Q.地方公務員について
A.労働基本権を認めれば、給与体系などそれぞれで決めることができる。(人事院を廃止できる)
Q.地方選挙について
A.多選制限や郡市の選挙区の見直し、定数撤廃などの議論しかない。
Q.議員にできることは?
A.議長会などで改革チームをつくって貰い、自らを律するような改革をして欲しい。
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これからの方向について、密度の濃いお話を頂けたと感じています。また、本当に率直にお話をしてくださり、とても嬉しかったです。感謝!
政権交代後の良い効果が感じられましたが、このまま進めるかはこの3月に出される予定の地域主権推進一括法案(第一次)、参院選前に出されるであろう地域主権戦略大綱(仮称)によります。各省庁、団体に骨抜きにされたものでないことを、願うばかりです。若手官僚のやる気を、さらに増すためにも。。。
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