法務省:法制審議会戸籍法部会第5回会議(平成30年3月9日開催)
戸籍法の改正に関する中間試案のたたき台が公表されています。
1 電算化を原則とする規定振りへの変更について
戸籍法について,電算化戸籍を原則とする規定振りとする。全ての市区町村の電算化が完了した場合であっても,紙戸籍の処理が残ることが考えられることから,現行の紙戸籍による処理の規定も例外として残す。
3 バックアップデータについて
戸籍事務へのマイナンバー制度導入のために,国において連携情報を整備・管理するに至った後も,国(法務大臣)において副本を保管する旨を規定する。
法務省が所管する戸籍副本データ管理システムにおいて保存されている現状及び国(法務大臣)において副本を保管することに即して,副本は市役所又は町村役場を管轄する法務局又は地方法務局(以下「管轄法務局等」という。)で保存するとしている戸籍法第8条第2項を改正する。
5 改製不適合戸籍の取扱いについて
戸籍の氏又は名の文字が誤字で記載されているため,コンピュータによる取扱いに適合しない戸籍(改製不適合戸籍)とされている場合,当該戸籍に記載されている者に対し,対応する正字により記載する旨の告知を改めて行う。
6 市区町村における連携情報の参照について
(1) 届出の受理の審査のための連携情報の参照
市区町村の戸籍事務従事職員は,届出の受理の審査に当たって戸籍情報を確認する必要がある場合には,原則として,届出人が戸籍謄本等を届出の際に添付しなくてもよいものとして,マイナンバー制度を導入するために国が構築する戸籍情報連携システム(仮称)の情報(市区町村が保有する情報と同一の情報)を参照することができるものとする。
(2) 連携情報の参照範囲
現在公用請求等によって確認している戸籍情報については,今後も確認する必要があることから,審査のために確認が必要な従前戸籍については,特段制限を設けないが,不正な情報参照を防止するために十分な方策を講ずるものとする。
(3) 不正な情報参照を防止する方策について
ア 一般的対策
例えば,次のような方策が考えられる。
① 届出を契機に情報を参照したものの,届出事件の処分決定に至らずに業務処理を終了しようとしたものについて,不正参照の可能性があるとして,コンピュータ処理画面に警告メッセージを表示するとともに,そのまま業務処理を終了したものについては,管轄法務局等の長に通知する。
② 誰がいつどのような戸籍情報を参照したか証跡ログを残すとともに,年に1回以上,管轄法務局等の長による監査を実施する。
③ 個人の戸籍情報を漏洩してはならないといった義務を設けた上で,違反があった場合には,罰則規定の適用の対象とする。
④ 遡って参照する従前戸籍数が一定数を超過した場合には,必要性についてコンピュータ処理画面に確認のメッセージを表示させたり,当該事務処理担当者以外の関与を経させたりする仕組みを設ける。
イ 個別対策
例えば,次のような方策が考えられる。
① 一定の期間に特定の者の戸籍情報について,探索的な操作をするなど,不自然なアクセスがあった場合(検索条件の絞り込み過程に不自然な痕跡のある検索行為をした場合),一定の期間に特定の職員が一定のしきい値を超えた検索行為をした場合に,コンピュータ処理画面に自動的に警告メッセージを表示するとともに,管轄法務局等の長に通知する。
② 事前にDV被害等による情報秘匿の申出がある事件にフラグを立て,届出が出た場合に,上司等の承認を得る等,事務処理担当者以外の関与を経る仕組みとする。
10 死亡届出の届出資格者の拡大について
任意後見受任者について,死亡届の届出資格を付与することし,死亡届を届け出る時には,任意後見契約の登記事項証明書等を添付させることとする。