山奥の小部屋より

山奥の司法書士が感じたこと

テレビ会議の方法による尋問等(民訴法204条)

2019-07-24 23:43:07 | 裁判関係
現在、裁判手続等のIT化について議論されています。

裁判手続等のIT化検討会- 日本経済再生本部

公益社団法人 商事法務研究会 民事裁判手続等IT化研究会

成長戦略フォローアップ(令和元年6月21日決定)では次のように述べられています。

「オンライン申立て、訴訟記録の電子化、手数料等の電子納付、ウェブ会議等を用いた関係者の出頭を要しない期日の実現等を目指し、2019 年度中に法制審議会に諮問を行い、2022 年中の民事訴訟法改正を視野に入れて取り組む。裁判手続等の IT 化により、特に IT に習熟しない者の裁判を受ける権利を害することがないよう、司法府の協力を得つつ、総合的な対策を検討する。司法府には新たな制度の実現を目指した迅速な取組を期待し,行政府は必要な措置を講ずる。」

また、裁判手続等のIT化検討会取りまとめでは、フェーズ1~3とし、法改正を必要としない部分については直ちに、法改正を必要とする部分及び設備の整備が必要な部分については法改正後といった区分けをし、IT化を推し進める方向性を示しています。

そこで興味を持ったのが、タイトルの件数です。

現在も実施可能である民訴法204条に基づく尋問は何件利用されているのであろうか…

cf 民事訴訟法204条
「第二百四条 裁判所は、次に掲げる場合には、最高裁判所規則で定めるところにより、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、証人の尋問をすることができる。
一 証人が遠隔の地に居住するとき。
二 事案の性質、証人の年齢又は心身の状態、証人と当事者本人又はその法定代理人との関係その他の事情により、証人が裁判長及び当事者が証人を尋問するために在席する場所において陳述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であって、相当と認めるとき。」

答えは…

平成29年 139件(証人19件 当事者本人等117件 専門委員その他3件)
平成28年 199件(証人21件 当事者本人等161件 専門委員その他17件)
平成27年 128件(証人11件 当事者本人等104件 鑑定人1件 専門委員その他12件)
(平成31年1月10日付最高裁秘書第5364号)

この件数をどう見るか、何とも言えませんが、これから先、IT化を推進していくためには、当事者等にとって、より使いやすい制度を求める必要がありそうです。

なお、テレビ会議システムを利用することのできる裁判所は、平成28年1月末時点で106だったのに対し、平成30年6月時点では317になっています(数が違ったらスミマセン)。

そのため、平成30年の件数を求めれば、件数が大きく増加している可能性もあります。

遠くない将来、裁判手続はIT化されます。
IT化のメリットを十分に享受するためには、現在利用できるITツールを活用することも重要だなぁ等と感じた本日でした。

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