夜と霧

迷える子羊
ーこの場を借りて自分の考え方を確立したいと思っていますー

TPPに賛成する百姓たち  その五

2014-02-24 09:12:41 | Weblog
私はこの国の農業の将来について想像がつかない。勿論身体が続く限り私は農業を続ける。私の周りも、代々続いた百姓でありながら、自分までと言いながら、こんなに儲からなくて情けないと言いながら、それ故、百姓は趣味、或いは道楽と言って、已む無く続けようという人が多い。
今のままでは将来は見えない。そこに、私が消極的にせよ、TPPに期待する動機がある。戦前までは農業が庇護のもとにおかれたという記憶がない。カイコやコメで軍艦を作り飛行機を作ってきた。庇護で方向がくるってきたのは戦後のことである。食管制度や政府の食糧政策のおかげでおかしなことになった。もう打つ手はない。
それならば、自由貿易の中で、そして補助金をやめて、リセットするのが光明を見出す手かもしれない。ゼロクリアーである。
確かに私たちを取り巻く環境は、自然環境を含めて荒れるかもしれない。しかし畜産をやめれば、飼料の購入がなくなり食糧自給率は上がるだろう。
複雑に絡み合った今の農業はもう日本人が解を見出すことは不可能である。
それならばリセットである。
今までをゼロとして出直せばよい。

TPPに賛成する百姓たち  その四

2014-02-19 09:29:02 | Weblog
報道で知る限り、政府は知的財産権、医療、金融などに関心を払わず、TPPを関税問題だけに矮小化している。そして、その関税問題は農業分野で譲歩する、しないとやっている。それも米、牛肉、鶏肉にフォーカスしている。
不愉快である。アメリカの車の関税はそのままにして日本の農業だけを問題にする。最初政府は外交交渉力でTPPに参加し成長戦略の一助とするようなことを言っていた。これを交渉力というのであろうか?アメリカの関税には目をつむり、米、牛肉、鶏肉などの日本の譲歩に妥結に鍵があるとする。大きな例外をさっさと認めて小さな免除を求める。アメリカの大きな例外を認めたことなど億尾にも出さない。これを交渉というのであろうか?車の関税をゼロにしてくれ、その代わり、米、牛肉、鶏肉は差し出すというのが交渉ではないか?
日本にはもう農業という産業は、実際はほとんどない。牛肉、鶏肉はそのほとんどの飼料をアメリカに依存し、原材料(飼料)を日本で牛肉や鶏肉に加工している。農業というより加工産業である。米はアメリカで握って冷凍し日本で解凍、魚の切り身を乗っける回転寿司もあるらしい。せんべいも怪しい。そんな農業を理由に議論するのは不真面目である。
私の界隈戸数33戸の農家は、もう農業につかれている。「近所迷惑」を合言葉に細々と米を作っている。耕作放棄地があれば改良区の区長は「せめて雑草ぐらいは刈ってくれ」と話しに行く。雑草が繁茂すると害虫が増え、隣の田の耕作に影響し、住宅を虫が襲う。それ故、「近所迷惑」を合言葉に昭和一桁世代を主とする農家がよたよたとトラクターで耕耘し、田植え機で稲を植え、コンバインで稲刈りをする。理由さえ立てば、こんなことはやめたいと思っている。
江戸時代、私のところでも逃散があった。農業という余りの苦役に農業を放棄し隣の藩に逃げ込んだ。今、私の近所の小農は耕作放棄したいと思っている。生活保護よりも少ない収入にしかならない苦役から逃げたいと思っている。
こんな状況をそのままにして、譲歩のみを云々する外交交渉などばかげている。妥結しなければ小農のせい、不愉快である。
アメリカではトラクターにエアコンもテレビも付くと言う。日本では狭い田んぼで、粒々辛苦、鍬を使うことも多い。中山間地では鍬だけのところもある。TPPで竹やりでアメリカと戦う、懐かしいではないか。
昭和一桁は、経済性を考えないで働いている昭和一桁と好事家は、身体の許す限り農業を続ける。補助の集中する日本の大規模農家とアメリカの農家、どちらが強いか、そんな議論に興味が持てない所以である。

追記
農業の関税問題でTPPに賛成し、交渉経緯を不快に思うのは次の事由による。
①知的財産権、医療、金融など国民生活に直結する事案が多くあるというのに、政府が手の内を見せないこと。小農を問題として、大きな問題を隠しているかの如く見える。環太平洋と言えば大きな国家ビジョンがあるのが筋であるが、些末なネゴしか見えない。
②車などの関税はそのままにして、つまりアメリカの痛みは一つもなく、日本の痛みのみをアメリカと交渉するというのは、もう多国間の外交交渉ではない。
③日米は最恵国待遇を約束している。それはアメリカ国民を日本国内において日本国民と同じに扱うということである。しかし、日本の農家は様々な農薬の使用規制に服するとともに、残留農薬においても規制されている。一方アメリカ農民は残留農薬についてだけである。日本の農民は過程で規制され結果で規制される。アメリカ農民は結果だけである。フェアーでない。日本の農家にだけ課せられた多大な負担となっている。TPPの前提である最恵国待遇をきちんとすること。