夜と霧

迷える子羊
ーこの場を借りて自分の考え方を確立したいと思っていますー

尖閣諸島事件の画像流出事件に伴う海上保安庁職員のの大量処分

2010-12-30 16:23:24 | Weblog
この事件、果たして守秘義務違反で多くの職員を処分すべき案件であったか、私は現政権の対応に不信の思いを持っている。
「この情報は誰のものだったか」と考えるとき、私は私たち国民の情報であると結論づけたい。従って、その情報を私たちが知るのは、映像を私たちが見るのは極めて自然のことである。
しかし、仙谷官房長官は、中国側に公開しないことを約束した。
勿論、時として情報のオーナーである私たちが内容を承知しないことが望ましいときもある。
そのとき私は、非公開を甘受する。しかし、今回、映像を見ても、またマスコミを通じて漏れ聞く話を元に考えても、非公開が望ましいとは思えない。
つまり私たちの不知を良しとする案件とは思えない。
すると、これは仙谷官房長官、或いは民主党菅政権にとって都合の良いように事実を隠そうとしたことになる。事実を隠して国論を操作しようとしたことになる。つまり国民に対して罪をなしたのは仙谷官房長官、或いは民主党菅政権であって、海上保安庁職員ではなかったことになる。この故に、仙谷官房長官、或いは民主党菅政権は派手に処分を演出することで、自分たちに非はなく海上保安庁職員に大きな非があったことを印象づけようとしたとも取れる。
日本は中国ではない。民主主義国家である。民主主義国家にあっては情報の公開は原則である。昔薬害エイズの時に菅直人に喝采を送ったのはこの当然の原理に基づいてである。ここを忘れて、民主主義を危うくしてもらっては困る。
この国にあって中国に非公開を約束した仙谷官房長官の罪は大きい。


中国とのつきあい

2010-12-29 22:16:10 | Weblog
中国に関して政府の動きを見ると二通りある。更に民主党の小沢元代表の態度を加えると私たちの態度は三通りかも知れない。
防衛省は、防衛大綱によれば仮想敵を中国とするかのごとき態度である。アメリカ軍の一員として、中国封じ込めに参加する。何時そんな危険なことを勝手に決めたのだと不愉快にもなる。この中で沖縄もある。
経済産業省は、中国は現在、将来の大きなお客さんとの立場であろう。これは経済界を代表している。いい年をした経済界のお歴々、籾手ですり寄りたい気持ちで一杯である。
こんな政府の有り様をみても、政府の中国に対する外交は危ういなあと思ってしまう。防衛大臣は中国は敵という。経済産業大臣は中国は重要性を増すお客さんという。
この政府部内での矛盾、中国もこの国に信を置くことをしないであろう。
私たちのあるべき姿は、やはり中国無くして私たちの国が成り立たない、つまり持ちつ持たれつの関係になったことを理解すると共に、中国が異なる政治体制の国であることをしっかりと踏まえて付き合うことだ。間違っても敵視などしてはならない。しかし自由な経済には自由な政治システムがいる。ある日突然経済の自由に人治が介入する危険を常に意識して、且つ離れることの出来ない関係になっていることを理解して付き合うこと、それが正しいあり方であろう。
この意味で、アメリカに対抗する軸として中国を構想した小沢元代表の考え方はおもしろい。

日本経済の停滞について   その二

2010-12-28 22:33:46 | Weblog
経済の停滞があたかも問題であるかのごとく言われる。
しかしここで指摘される問題は従来の高度経済成長と数字が違っていると言うに過ぎない。
日本経済は停滞して当然なのである。むしろ停滞しない方がおかしい。所与の条件が違ってきているのに今まで通りの右肩上がりでないことを問題視する方がどうかしている。
年寄りが増えている。年よりは食糧も衣類も多くをほしがらない。仙人のような存在である。
消費者も購入意欲をそそるような商品を目にしない。そして大抵のものは持っている。消費が伸びるはずもない。
人口減である。土地も、家も余り始めるであろう。むしろ今建てているものを如何に処分するか、そんなことがもうすぐ問題になる。
子供達も少ない。新規に消費する人も減少していると言うことだ。
すると、大衆消費社会という経済の前提が大きく崩れている。当然、数字の上では、つまりGDPは伸びない。伸びないことは極めて自然な現象である。
この極めて自然な現象を、失われた10年、失われた20年と悪あがきしてきた。経済成長を求めて様々に、通貨や金利を弄くってきた。そして事態を悪化させてきた。
しかし、人口とその構成と共に出現する時代の諸相を肯定して、肯定と言うよりはきちんと受けとめて、その中に生起する問題を処理するのが正しい日本国民であろう。

日本経済の停滞について

2010-12-28 21:45:04 | Weblog
日本経済の停滞が否定的に喧伝される。経済の成長がないと言うときも同様、ネガティブの受け止めである。
しかし、停滞自体が果たして問題であろうか?
短く言えば「停滞のどこが悪い」である。
経済発展はこれまで、雇用、社会の安定などの処方箋として語られてきた。つまりGDPは雇用の魔法の杖であった。
しかし、小泉政権下の好景気はこの国の雇用にとってGDPの伸長に意味が無くなったことを示した。輸出依存の経済は低賃金を欲し、企業を長く縛り付ける正社員を嫌い、つまり派遣を好み、ますますこの国の将来の不安定の原因になる。
今は、停滞してどこが悪いと居直り、その上で別の処方箋を書くことを私たちは求められている。

防衛大綱潜水艦16隻を22隻に

2010-12-26 09:59:11 | Weblog
現在私たちの国では潜水艦を16隻保有している。これを6隻増やして22隻にすると言う。
この22隻体制は中国海軍の増強に対するものという。日本各地に潜水艦を配備することにより、中国海軍の太平洋への出口をふさぐ、そんな思惑であろう。
しかし、太平洋への出口をふさぐという以上、それは日本の防衛と言うよりもアメリカ軍の一員としての行動であろう。中国は太平洋まで出なくとも日本を攻撃できる。アメリカ、ASEANをにらんでこそ初めて太平洋への出口が重要となる。
さて、このアメリカ軍の一員としての中国敵視策、素直に受けとめて良いであろうか?アメリカは自己の都合で中国を仮想敵として、東アジアの不安定要因として対処している。すると日本も中国を仮想敵として軍備を急いでいることになる。
ところで経済であるが、みんな中国に色目を使っている。政治的な不安材料はあるが、それにも拘わらず、経済団体会員企業個別の振る舞いは中国べったりであろう。経済的な位置づけはアメリカよりも今や中国の方が重要かも知れない。日中共にお互いを無視して経済はあり得ない。日中相戦えば、そんな仮定は今やあり得ないと言って良い。
中国に対して、経済での蜜月、防衛での敵視という私たちの国の二律背反を、アメリカに遠慮しないで、そろそろ整理しないと行けない。

橋下知事、今度はカジノですか?

2010-12-26 09:16:13 | Weblog
大阪府の橋下知事が日本経済の沈滞に対する処方としてカジノをやりたいと言っていた。
冗談を言ってもらっては困る。
カジノは賭場である。
経済活性化のため丁半博打を認めよ、或いは野球賭博を認めよ、そんなことを主張すれば愚であることは、経済対策として正しくないことをも含めて、自明である。
ラスベガスの繁栄をみて、良策に窮してカタカナに飛びつく、誠に為政者として恥ずかしい。
昔、税収が足りず政策の実行に窮したとき、競輪、競馬、競艇と様々な賭け事を自治体が主催した。ブームが遙か昔に去ったので、今は競輪、競馬、競艇で身を持ち崩す人は少ない。しかし、私が小学生のころ親が競輪、競馬、競艇に夢中になって困窮する話はありふれたものだった。国民のための博打が国民を食い物にすると言う貧しい国であった。
財政難故の賭場、今の時代同じように運営されるならば、倫理的にいかがなものか?
しかし、経済活性化のための賭場、これは倫理的にもっと悪い。財政困難によりやむなくではない。経済を活性化しようとする欲から出発するのは余り褒められた政治ではない。

2011年度予算案

2010-12-26 08:23:58 | Weblog
民主党の財政運営は大胆である。たった二回、10年度と11年度で赤字国債の発行が89兆円である。
私は子供手当、高校無償化に趣旨として反対しない。将来の政策として時間をかけて検討すべきと思っている。
しかし、この時期、税収が40兆に満たないときに税収を上回る借金をするのは問題であろう。それも二年連続である。
赤字国債が累積していないのであればとにかく、随分と借金が溜まっている。
小泉首相の時30兆で随分と問題になった。しかしそのときでも税収を上回るなんてことはなかった。それが44兆である。「昨年44兆であるから今年も44兆、44兆まではいいよ」、そんな安直な態度も伺える。
財政の運営は、その年度も大事である。しかし、将来の私たちの生活も考慮すべき範囲である。
そんなことを考えると、来年の地方選挙だけを視野に置いたバラ巻き、決して看過してはいけない財政運営である。

菅直人首相と東条英機元首相

2010-12-25 21:56:11 | Weblog
東条英機元首相は暴走する陸軍を押さえ日米開戦を避けるべく起用された。
しかし、事態は更に悪化、日米開戦に火を注ぐような振る舞いをした。
日米の不幸は東条元首相ばかりのせいではない。しかし、この不幸の最大の責任者として象徴として私たちは忘れてはならない。
力のない庶民が不幸の元凶に仇討ちするのは忘れないことである。
菅直人、私たちの国の将来の災危の元凶として、端緒としてその名を忘れてはならない、菅直人首相は、優柔不断、首相としての無能力によって、そんな人物になりそうな気がする。

トヨタにとって良いことは日本にとって良いことだ。

2010-12-21 09:40:06 | Weblog
私たちの国の病弊を理解するにはこの問題提起をする必要がある。
かつて、チャールズ・ウィルソンが「GMにとって良いことはアメリカにとって良いことだ」と言った。アメリカが自動車社会になる過程で、事の善悪は別にして、そのプロセスを完全に肯定した言葉かと思う。
かつてトヨタは随分と外貨を稼いだ。私が就職した頃、外貨がなければ日本人はそば一杯食べられないと言われた。そのぐらい外貨は貴重であった。海外出張の時にはまだ外貨の持ち出し規制があった。
だから「トヨタにとって良いことは日本にとって良いことだ」は正しかった。
自動車産業は随分と外貨を稼ぎ、またこの国の産業の発展、雇用の拡大に貢献したと思う。
今はどうであろうか。産業が大きくなりすぎて、海外に出て行く。また輸出依存が過ぎて、リーマンショックの後の派遣切りなど記憶に新しい。
「トヨタにとって良いことは日本にとって良いことだ」は普遍性を無くした。そんなときにエコカーだとか為替対策だとか法人税の減税だとか、農業以上の補助政策をするのはいかがなものか。

いま日本が成すべき事

2010-12-17 10:44:04 | Weblog
今、私達の身の回りには働きたくとも働くことの出来ない人がいて、一方に国の財政が破綻しそうである。
これを基本の問題と整理したなら、成すべき事は決まってくる。
不愉快ではあるが、先ず増税である。但し今回のような継ぎ接ぎだらけの税制大綱では困る。将来も議論に堪える徴税効率の良い公正な増税である。選挙に勝てるとか負けるとかで判断して貰っては困る。金持ちからも貧乏人からも止む無しという同意が出る税制を作ることであろう。勿論入るを図って出すを制すという規律は守って欲しい。
昨年の赤字国債44億は民主党的にはやむなくであった。しかし今年は、去年並の44億である。この借金に対する民主党のだらしなさは許せない。
雇用問題である。昔やった失業対策事業をする。景気対策ではなく失業対策事業をすべきである。法人税率5%下げが、何故景気が上向き、雇用が増えると短絡するのか。それなら何故タックス・ヘイヴンの地に産業が勃興しないのか説明できない。意外と租税は産業に対して中立である。
更に言えば、アメリカと日本の実効税率はほぼ同じと聞く。私達の目標はアメリカであるべきである。私達はもうアジアの国々と安売り競争に熱中すべきではない。技術を高め付加価値の高い商品を少量輸出して潤う、そんな国に代わるべき時に来ている。そして、国内のマーケット大事の国とすべきであろう。
中国から研修生を呼び、ブラジルから低賃金の労働者を呼び、日本の若者を派遣労働者として雇用し、世界の安売り競争に参加し、世界から疎まれる時代は終わった。
そんな馬鹿げたことを続けていれば、この国に将来はない。産業界の安売り競争に都合の良い」グローバリズムは、不景気の時にはこの国の大きな負担ともなる。
そろそろGNPという数字の成長が全てを解決するという神話は忘れたい。そして経済対策からは即効性がある雇用対策は生まれないと整理して、将来につながる当座の失業対策を実施すべきである。