古書肆雨柳堂

小説の感想。芥川龍之介、泉鏡花、中島敦、江戸川乱歩、京極夏彦、石田衣良、ブラッドベリ、アシモフ、ディック

『八月十五日の神話』佐藤卓己

2006-10-07 10:27:25 | その他

「『先の戦争』の意味を公開の場で冷静に再審するためには、ひとまずは戦争責任の議論と戦没者の追悼は、その時空を切り離して行うべきだと考える。そのためには、お盆の「8月15日の心理を尊重しつつ、夏休み明けに『9月2日の論理』をももつべきだろうう。―――本文より」

①「太平洋戦争の終わった日はいつか?」
と問われれば、日本人の誰もが「8月15日」と答えるでしょう。
しかしこれは日本だけの常識ということがまず述べられており、
驚愕の事実です。

 そもそも終戦が8月15日の根拠はなんであるのか?
と考え直してみると、知らないことに気づきます。

そもそも終戦/敗戦をめぐる日付は
8月14日:ポツダム宣言受諾
8月15日:玉音放送
9月 2日:降伏文書に調印
である。
 このことは実は教科書にしっかり載っているので、我々は学んでいるはずなのです。本論文では、各教科書が終戦の日付にどのように言及しているか、
綿密に比較検討しています。

 では我々は何によって「終戦=8月15日」と思い込んでいるのか?
それは毎年繰り返されるテレビ番組・新聞報道によってであることが検証されています。
 そしてこれは終戦から10年たってから「常識」となったことが明らかにされます。
ここでも終戦からの毎年8月15日のテレビ・ラジオ番組欄の比較によって
一目瞭然となっています。

これらのことは日付をいつとするだけではなく、
②そもそもなぜ敗戦ではなく終戦なのか?
という疑問も呈しています。
 
 
つまり「終戦=8月15日」はメディアによって作られたのです。
そして作られたからには、その意図、そしてそれを意図した者がいるということです。

 終戦記念日の法的根拠
1963年池田勇人内閣において決定された
「全国戦没者追悼式実施要綱」によってであることが述べられております。

また終戦記念日の正式名称「戦没者を追悼し平和を祈念する日」
1982年鈴木善幸内閣によって閣議決定されたことが述べられています。



最新の画像もっと見る