「私ね、後、一週間で、死んじゃうの。」
高校生の「彼女」の告白から始まり、先天的な心臓の異常で夭逝までの生きる様を描いた「僕」の記録です。
若くしてこの世を去る恋人との純愛は、『世界の中心で愛を叫ぶ』
と同じモチーフですが、違う点があります。
1、彼女がロリータ・ファッションが好きなこと
2、「僕」とセックスしちゃうこと
(セックスが描かれていても純愛モノだと思います。)
死を宣告された彼女は、死ぬまでにやりたいことのひとつとして、
ロリータデビューをします。ファンシーな出で立ちで僕の前に現れ、
それとは不釣合いな「死」の告白をするのです。
彼女は安静にして死を待つより、好きなお洋服に包まれ、
好きな人と楽しい時を過ごし、死にたい、と言います。
『世界・・・』でのようにセックスを排除しているのは不自然に感じます。
本作品のように、死ぬ前に一杯抱かれておきたいと思うものではない
でしょうか。
それに好きな人がいるのに、その人と結ばれずに
死んでしまうことは哀しいことだと思います。
また彼と彼女の家族は、なくなった彼女に非常識なことをします。
1、死後、医師の確認前に遺体に触れる
2、葬式で祭壇にばらの花を飾る。それも赤とピンク
3、骨壷にかわいい紅茶の陶製の容器を使う。
1、は死ぬ直前、一夜をともにした彼が、裸だった彼女にロリータの
お洋服を着せてあげたのです。
2、3は彼女の遺言に従って彼女の両親を行ったことです。
ただでさえ若くしてなくなった彼女、その死をモノトーンの陰気な
葬式で送り出すのは、かわいいモノ好きの彼女には耐えられないでしょう。
また骨壷もかわいくないのは・・・
このことだけ聞けば非常識に聞こえますが、彼女のことを知る読者は、
彼女に意思を尊重した行為だと納得できます。
「死」ははどう生きるかの流儀につながります。
紋切り型の葬式も、故人によって柔軟性を持たせてもよいかもしれません。
イノチがキケーン!て時にセックスになるのは当たり前すぎ、普通過ぎですね。
イノチがキケーン!て時にセックスになるのは当たり前すぎ、普通過ぎですね。