古書肆雨柳堂

小説の感想。芥川龍之介、泉鏡花、中島敦、江戸川乱歩、京極夏彦、石田衣良、ブラッドベリ、アシモフ、ディック

出口のない海

2007-05-03 00:17:38 | その他

戦争映画です、センチメンタル戦争映画です。

青春を野球に燃やしていた大学生が、
戦争という時代に飲み込まれ
学徒出陣としていく悲劇です。

彼らは回天の搭乗員となります。

回天は特攻の潜水艦版、
爆弾を抱え、戦艦等に体当たりする
人間魚雷です。

 主人公はとある事情で、
特攻ではなく事故で命を落とします。
海の底で、
酸欠によりじわじわと
死が迫るなか
消え行く意識のなか
最後の命を振り絞り
綴る遺言が感動的です。

 恋人に対し、

「君は生きて僕の見れなかったものを見て欲しい
 例えば今日の夕焼けの美しさ」

という言葉を残します。

 作品を通じて、
死や特攻を美化したり
賛美するのではなく、
命は、これは希望であることを
伝えていると感じました。 



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