古書肆雨柳堂

小説の感想。芥川龍之介、泉鏡花、中島敦、江戸川乱歩、京極夏彦、石田衣良、ブラッドベリ、アシモフ、ディック

『輪違屋糸里』浅田次郎

2006-11-04 22:45:17 | その他

  太夫の物語です。
  新撰組の芹沢鴨や土方らと関わりのあった太夫たちの物語です。
まず太夫と舞妓の違いを知りませんでした。実は大違いなのです。
輪違屋は置屋の屋号で、糸里が太夫の名前です。
太夫というのは芸妓の階級なのですね。

 置屋は客が訪れる場所ではありません。揚屋とよばれる場所があり、
客はそこから太夫らを呼びます。
 置屋は太夫らが寝起きし、躾をし、稽古をつけさせるプロダクションのような
ものでしょうか。

 驚くことにこの輪違屋は今も存続しております。伝統を守る気概に
驚かされます。ブログもありますので詳しくはそちらをご覧下さい。
 http://blog.kansai.com/tukasa+kdc_category+0


 糸里を始めとする女性たちの心情の描写、運命に翻弄されながらも
それに立ち向かう強さに心打たれます。

 男から見た歴史が語られている正史だとしたら、
 女から見た歴史は隠された真実でしょうか。

 芹沢鴨らと近藤らの対立を彼女たちの視点から描いています。
一般的に無法者として悪者にされている鴨ですが、
この作品を読みと印象が変わります。
  



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