古書肆雨柳堂

小説の感想。芥川龍之介、泉鏡花、中島敦、江戸川乱歩、京極夏彦、石田衣良、ブラッドベリ、アシモフ、ディック

ローゼン・メイデン

2006-12-31 22:18:00 | その他

  パソコンでの通販で気を紛らす引きこもりの男子中学生、ジュン。
いつものように彼のもとに送られてきた商品
―――――それはお人形。

  いわゆるフランス人形。名前は真紅、「彼女」たちは生きているのです。
彼女たちは究極の人形の座を目指して闘っており、(比喩ではなくバトルします)
持ち主はそのパートナー(僕)となり、ジュンの生活は人形たちの喧騒に
巻き込まれていきます。

 最後の闘いの際、右腕を失い、真紅は絶望します。
「これではもう、ジャンクだと。」

 人間のようにしゃべり、動く彼女たちですが、人間と人形は決定的に違います。
それは人形はあらかじめ目的―――――人間に可愛がられるモノという目的を
持って作られるということです。
 不完全な人形は、その存在意義を失うのです。

このことは反語的に「 しかし人間はそうではない」と述べています。
周囲による自己規定(過度の期待)と自己認識との
違いに悩んでいたジュンは、」真紅の戦い様からそれを学び成長していきます。

 



最新の画像もっと見る