石田衣良によるモーツァルト案内である。『池袋ウエストゲートパーク』の主人公、マコトはBボーイファッションであるがクラシックを好んでよく聴いているが、クラシックはもっと気軽に楽しめるものですよ、という作者のメッセージが本書でよく分かる。
クラシックのとっつきづらさは何なのであろう。偉大な作曲家たちの曲も当時では流行の曲だっただろうし、異端視されていたものもあるはずだ。学校でならうからよくないんはないんかな、なんか権威づけされていて。
それと様々なコード(用語、取り決め)がわからないからではないだろうか。例えば『ティベルティメント へ長調 K138』まず「ティベルティメントってわかんねぇよ」とそこでストップしてしまう。ちみなみに「娯楽・気晴らし」を意味するイタリア語で、バラエティ番組のような娯楽用音楽らしい。
このように分かれば、タイトルを聴いて「これは俺に合いそうだな」と気軽に楽しめるのではないだろうか。このような解説もあり、よい入門書であると思う。