背寒日誌

2019年7月12日より再開。日々感じたこと、観たこと、読んだことなどについて気ままに書いていきます。

そぞろ歩き(3月1日 下高井戸)

2014年03月02日 14時48分49秒 | 雑記
 下高井戸シネマで最近作られた洋画を見る。ぶらっと映画館の前へ行ったら、ちょうど始まるところだったので、中に入る。まったく予備知識なし。邦題は『いとしきエブリデイ』。
 土曜日の午後3時45分からだったので、客席はいつもより多い。それでも40名くらいか。
 映画が始まって、タイトルを見ると、「Everyday」。邦題は「いとしき」という形容詞だけ加えただけ。
 ファーストシーン。朝、目覚ましが鳴って、40歳くらいの女が家にいる4人の子供たちを起こし、急いで支度させ、2人の子を連れて、どこかの施設へ行く。その施設に、子供の父親、つまり女の夫がいて、そこは刑務所で、服役中の夫に面会に来たことが分かる。
 場所はロンドン郊外で、ここから延々、ドキュメンタリー風にこの家族の日常生活が描かれていくのだが、なんとも退屈なイギリス映画だった。途中で出ようかと思ったが、我慢して最後まで見た。なんのためにこういう映画を作って、人に見せるのか理解できず。
 この映画を見て、得たものといえば、イギリスの現在の刑務所の様子くらいで、あとは英語のリスニング程度。服役中の夫は、麻薬か何かの不法所持で捕まったようだが、たぶん軽犯罪だからであろうか、刑務所から家へ電話したり、一日仮出所して家族と過ごすことができるらしい。
 
 映画館を出て、なじみの古本屋へ行く。豊川堂と言って、下高井戸では文化遺産のような店。店舗兼用の木造家屋は昭和10年に建てられたものだそうだ。はす向かいの米屋(柏木精米店)はもっと古く、昭和初期に建てられ、それから90年近く続いているという。これも文化遺産。
 豊川堂の主人と30分ほど話す。全集が売れないこと、ブックオフのことなど。
 古本、古雑誌を数冊買う。棚のてっぺんに「日本シナリオ大系」が4冊置いてあったので、主人に下ろしてもらい、とりあえず第2巻だけ買う。1000円にしてくれた。「日本シナリオ大系」は全部で6巻あるが、第3巻と第6巻が欠けていた。第5巻を見ると、親しくしている石森史郎さんの『約束』が載っているのに気づく。これは今度来た時に買おうと思う。
 ほかに、「ビアス選集2」「チェーホフ短編集」「下町」、雑誌の「太陽」(写楽特集)「東京人」(小津安二郎特集)を買う。「日本シナリオ大系」の1冊を含め、全部で2500円なり。安い。
 中華料理屋「廣楽」で定食を食べ、ドトールへ行き、読書。
 小津特集の「東京人」を拾い読みする。三宅邦子のインタビュー、川本三郎の「いまひとたびの東京物語」、坂尻昌平という人の「もうひとりの笠智集をつくった男 渋谷実という映画監督」などを読む。
 「チェーホフ短篇集」(福武文庫、原卓也訳)を三分の一ほど読む。短篇「恋について」「可愛い女」「犬を連れた奥さん」。これまで外国文学をほとんど読んでいないので、これから少しずつ読んでいこうと思う。「犬を連れた奥さん」が面白かった。これは1899年(明治32年)に書かれた短篇で、主人公の中年男(38歳くらいで妻子がいる)と若い人妻(22歳)の、今で言う不倫小説なのだが、チェーホフは不倫の意識などほとんどなく、二人の恋愛を正当化しながら書いている。倦怠と欺瞞的な生活からの脱出がテーマ。

 明大前に帰り、ガストへ寄り、また読書。
 帰宅してからも読書。
 堀辰雄の「燃ゆる頬」(昭和7年)。旧制高校の寮生活でのホモセクスュアルな三角関係を描いている。マスタベーションの場面もあり、主人公が異性への愛へ目覚めていくところで終る。
 遠藤周作のユーモア小説を2篇読む。「悪魔」と「女を捨てるのはむつかしい」。どちらも話の設定と起承転結の結の前までは面白いが、ラストのオチが不出来。ストーリー主体の小説では最後がまずいと、なーんだということになり、全体的印象もガクッと落ちる。
 宮川一夫の「私の映画人生60年 キャメラマン一代」を読み終わる。彼の誠実な人柄は敬愛すべきほど。最近読んだ映画人の本のなかでは一番良かったと思う。

   


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