1994年(平成6年)に登場したCRデジパチ「CR名画」
当時、まだCR機がそれ程多くない時期、「CR花満開」(西陣、1993年)の独り勝ち状態に歯止めをかけた人気機種。同時期に出た西陣「CR球界王EX」(1994年)、その数か月後に出た「CRFワールドI」(三共、1994年)や「CRビッグソロッター2」(大一、1994年)などと共に、初期CR機の主役としてホールで活躍した。
★液晶デジパチ(CR機)
★賞球…5&10&15
★大当り確率…1/360
★確変中の大当り確率…7/360(1/51.4)
★大当り図柄…1~15
(古今東西の名画がモチーフ。図柄の詳細については後述)
★最高16ラウンド継続、出玉2300個
★確変突入率&継続率…1/2
⇒大当り図柄停止後、メインデジタル上の7セグが「H」を表示すれば、次回までの確変(ループあり)。「-」なら通常となる。どの図柄で当っても、確変のチャンスがある点が良かった。
★小デジタル確率…通常時=1/10、確変時=99/100
★当時の主な実戦店…西武新宿駅前「N拓本店」「N拓3号店」、高田馬場「N拓本店」「N拓EO」など多数。人気も設置も高かったが、なぜか「N拓チェーン」での実践ばかり記憶に残る。初打ちが新宿のN拓本店で、しかも同チェーンの戦績が意外に良かったので、好印象なのだろうか。「ボッ〇ク」と批判される事もあったが、当時はそれ程でもなかったような…。
(大当り図柄)
大当り図柄は1~15の全15種類。いずれも、東西の「名画」といわれる有名な絵画がモチーフ。グラフィック的には、あまり「精巧」とはいえなかったが、各作品の持つ「雰囲気」は出ていた。
ちなみに、1~15の各図柄に採用された絵画の作品(作者)は、次の通り。本邦、初公開(笑)。
1⇒「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」(東洲斎写楽)
2⇒「落穂拾い」(ミレー)
3⇒「ヴィーナスの誕生」(ボッティチェリ)
4⇒「叫び」(ムンク)
5⇒「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の肖像」(ルノワール)
6⇒「凱風快晴(赤富士)」(葛飾北斎)
7⇒「モナ・リザ」(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
8⇒「自画像」(ゴッホ)
9⇒「ドラ・マールの肖像」(ピカソ)
10⇒「かぐわしき大地」(ゴーギャン)
11⇒「裸のマハ」(ゴヤ)
12⇒「ひまわり」(ゴッホ)
13⇒「笛を吹く少年」(マネ)
14⇒「神奈川沖浪裏」(葛飾北斎)
15⇒「ミロのヴィーナス」(作者不詳) ※この図柄のみ、「絵画」ではなく「彫刻」がモチーフ
(デモ画面)
デモ画面から推察するに、開発当初は、「CR名画物語」として出す予定ではなかったのか。
「物語」シリーズといえば、当時の平和デジパチの代名詞でもあった。麻雀物語(II)、ダービー物語、綱取物語、プリンセス物語、雀姫物語、弾丸物語(SP)など、数々の名機が登場。
だが、93年10月にいわゆる「ダービー物語事件」が発生。平和としては、事件のほとぼりが冷めぬうちに、ケチのついてしまった「物語」の名称を、あまり使いたくなかったのではないか。
事実、ダービー事件が一段落ついた頃の94年10月に、物語シリーズの新台「トランプ物語SP」が登場している。
まぁ、これは少々考え過ぎかもしれない。単に、「物語」シリーズを「現金機」に絞っただけかもしれない。
しかし、こうデカデカと、デモ画面でアピールされ続けると、多少は勘繰りたくもなる(笑)。
(リーチアクション)
デジタル停止順は左⇒中⇒右。画面奥にある額縁から、絵柄が手前に飛び出してくる感じだ。
リーチは、ノーマルとスーパーの2種類が存在。シンプルな構成だが、パチンコの演出はこれくらいが丁度良い。
・ノーマル…右デジタルが、奥の額縁から手前へズームアップを繰り返す。一旦ハズレ停止後、再始動すれば大当り確定。
・スーパー…ノーマルから発展。リーチ途中で、右デジが左サイドに大きく旋回(左スクロール)を開始。「リーチ」と書かれた奥の額縁に吸い込まれる動きになる。大当り図柄を一コマ過ぎてから、戻って当る「鉄板」アクションもある。
(スーパーリーチ時の右デジタルの動き)
※各リーチの選択率
・ハズレ時…ノーマル90%、スーパー10%
・大当り時…ノーマル15%、ノーマル再始動25%、スーパー30%、スーパー戻り30%
(ノーマル再始動とスーパー戻りは、大当り時のみ出現)
※スーパー発展の可能性があるのは、リーチ後、右デジが「2~6コマ」進む間に限られる(7コマ進むとノーマル確定)。
※ノーマル再始動の可能性があるのは、リーチ後、右デジが「10~19コマ」進む間に限られる。
(大当り中の画面)
大当り中は、少女が星に乗って「名画回り」を行い、絵画に何かしらのイタズラやチョッカイを出す。
「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢の肖像」に花飾りを付けたり、「ドラ・マールの肖像」の一部を切り取ったり、「モナ・リザ」の顔にヒゲやメガネを描いたり、ムンクの「叫び」のポーズを取ったり、写楽の絵にキスをしたり…。
そして、最後は少女自身が絵画の中に戻る、というエンディングを迎える。ちなみに、少女が戻る絵は、アングルの「ヴァルバンソンの浴女」という名画である。
(ミニアタッカー)
現役当時、本機の実戦で強く印象に残ったのが、デジタル始動用の「ミニアタッカー」である。
メインアタッカーの真下に、玉1個通る程度の小さなアタッカーがあり、これが電チューの役割を果たし、確変中はパカパカ開閉した。
アタッカー下にひっそり付いたミニアタッカーは、平和のCR機や確変機(時短機)の「定番」ともいえる存在となったが、元をたどれば、この「CR名画」が最初だったように記憶する。
本機以前の平和・CR機は、第1弾「CRシグマ」(1992年)が従来型の電チュー、第2弾「CRミリオン」(同年)は電チュー・ミニアタッカーとも非搭載、そして続く第3弾「CR横綱2」(1993年)はメインアタッカーが電チューを兼ねていた。よって、ミニアタッカー採用の平和・CR機は、本機が最初となる筈だ。
また、本機以前の平和・現金機(小デジ付き)も、「ブラボー塾・花組」(1991年)、「ブラボーカジノ」(1992年)、「ブラボーカムイ」(1994年)など、いずれも従来型の電チューであった。
唯一、「ダイナミックセブン」(1991年)は、ミニアタッカーに近い電チュー(ポケット)を採用していたが、メインデジタル真下にあるタイプで、しかも形状が全く異なった。
形こそ小さい本機のミニアタッカーだが、当時は物珍しさも手伝って、何かと盤面下に目をやる事が多かった。ただ、盤面下の「持たせ札(無制限、LNなどの表示プレート)」の形状によっては、ミニアタッカーが見えにくなる事もあって、そんな店で本機を打つのは、少々さみしい感じもした。
ちなみに、小当りのシステムだが、ヘソ下の左右スルーを通過すると、保留ランプ真上にある緑・赤のランプが点滅を開始。ランプ全灯で小当りとなり、ミニアタッカーは確変時2秒(or1カウント)、通常時0.5秒(or1カウント)開く。
(モーニング疑惑)
一時期、本機には「モーニング」があるとの噂が立った。朝一から打つと、初当りがやたらと早いというのだ。しかし、解析の結果、内部的にモーニング機能なるものは全く存在せず、「ガセネタ」との結論に達した。
ただ、一部のホールでは、朝一の客寄せの為、確変状態の台を抽選で開放する「モーニングサービス」を行っていた。私が通った新宿界隈でも、この手の「プチイベント」で朝から並びが出来る店があった。モーニング確変の台数自体は少なかったが、今思えば結構オイシかったと思う。
(単発打ちで確変狙い)
モーニング疑惑と並行して、確変中に「単発回し」をすると、7セグに「H」が出易くなり、確変継続率がアップするのではないか、との噂が流れた事もある。しかし、コチラも解析上の根拠は全くなく、単なる偶然に過ぎない。
(確変終了後の保留玉連チャン)
さらに、一部の攻略誌では、「確変終了後の保留玉4つは、大当り確率がアップ」なる説を唱えた。しかし、実際には、確変中に点灯した保留玉でも、大当り終了後は通常状態に戻っており、連チャン率がアップする事はなかった。
(最速導入店)
本機を最も早く導入した店は、平和の直営店として知られる「第1新効」(群馬・高崎)だったといわれる。まぁ、実際には、「新効」以外の店が、「CR名画・全国最速導入!」の怪しいビラでアピールするケースが、後を絶たなかっただろう(笑)。
(当時の「第一新効」…外観は変わったが、現在も営業中。)
甘めのスペック、バランスの良いリーチアクション、
そして何よりどの大当たりからも確変が期待できるシステム。
3、7で当たっても関係なしと言う短所もありますが、そこは当時ならではのLN営業がカバーしてましたね。