~90年代マイナー機列伝~
(忘れ去られた名機、再発掘)
※1991年(平成3年)に太陽電子(※※現・タイヨーエレック)から登場した、
新要件・初期アレパチ「ブルートレイン」
※発表は91年末、ホール導入は92年初頭。
※※2011年、サミーの完全子会社に
文字通り、ブルートレイン(寝台列車)をモチーフにした、一風変わったアレパチである。
都内や神奈川の設置は少なく、明らかにマイナー機扱いであった。但し、愛知、静岡などの
中部以西では、設置もそこそこあった模様。
それでも、大当り中の「連チャン促進打法」の発覚で、一時期、複数の攻略誌を賑わしたから、
名前くらいは記憶している方も、意外とおられるハズだ。
「ブルートレイン」といえば、自分も含めて、70年代、80年代の子供らにとって、まさに
「憧れの的」であり、鉄道撮影をはじめ、Nゲージ、プラレールにメンコなど、全国的なブームと
なった事もある。
さくら、富士、あさかぜ、はやぶさ、みずほ、あかつき…正面に小さなシンボルマークの付いた、
独特の面構えが、何ともいえず格好良かった。
模型店のショーウィンドウで、ジオラマの中を颯爽と走る、Nゲージの青い列車。「いいなぁ…」と、
しみじみ感じ入りつつ、ガラス越しに眺めたものだ。
しかし、今となっては一つの時代が終わった感じで、何とも言えない「郷愁」さえ覚える。
「昭和は遠くなりにけり…」といったところか。
まぁ、それはともかく。
90年代初頭までの(旧要件)アレパチは、シャトル21、ワイワイワイ、マーダー、タックル2世など、
大半のホールが「一発台」として使っていた。また、そんな大量出玉こそが、多くのファンに
支持される要因の1つでもあった。
だが、’90年秋の風営法改正を機に、このテの「(釘曲げによる)ギャンブル台」は認められなくなり、
アレパチの持ち合わせた魅力も、色褪せたかに思われた。
そんな折、藤商事と並んでアレパチメーカーの代表格だった太陽電子が、「権利獲得に繋がる
チューリップを、大当り中、開いたままにする」事により、いわば「疑似的な」連チャンをもたらす、
「工夫」を凝らした本機をリリースした。
「お上の理不尽な横やりで、失われつつあるアレパチの魅力を、何とか取り返したい!」
そんなメーカーの熱意が、本機からジワジワ伝わってくる。マイナー機に終わったとはいえ…。
事実、同社は、ゲーム性が本機とほぼ同じで、スキー場のゴンドラ(リフト)をモチーフにした、
「ゴンドラ」(1992年)という(疑似)連チャンアレパチも、同時期にリリースした。
さらに、アレパチではないが、同時期の太陽電子からは、天下チューリップへの入賞個数を
意図的に調整して「ダブル」を狙う、独特の権利物「ハッピー2」も登場している。
後に、「スーパーアレパチ」や「アレパッチン365」など、デジタル自体に強い連チャン性がある
アレパチが、同社から次々と送り出された。その「前段階」として、本機に代表されるような、
チューリップ搭載型の「疑似連チャン機」が、いち早く出回っていた訳だ。
してみれば、本機は、連チャン機メーカー、太陽電子の歴史を語る上でも、
決して外す事のできない台…といえよう。
(ゲーム性)
以下、簡単に図解。
(前提)
本機は「アレパチ」。1ゲーム16発打ち終えると、そのゲームは一旦リセットされる。
16発打った時点で、下段のナンバーポケット「1~16」の入球状況に応じて、得点が入る。
数字が4つ並べば1点。5つなら2点、6つなら3点…の要領。また、「ジャックポット」で
指定された箇所に入れば、一気に3点。但し、最大で10点まで。「1点=16発」で、
各ゲーム終了時、玉を払い出す(最大で1G=160発)。
大当り中は、右打ちで高得点が出易い仕様。旧要件の頃は、完全一発調整で店が定めた
打ち止め個数(4000~6000発が一般的)まで一直線だったが、新要件になって一発調整が
禁じられ、ラウンド数が設定されると、出玉は約2000発と減少した。本機も、同様の出玉である。
(大当りまでの流れ)
・左オトシGOチャッカー(A)通過で、右上の3ケタドットデジタル(X)が回転。
(各デジタルは「0~9」の数字)
・(X)に「0~9」の3つ揃い(ゾロ目)が出ると、天下チューリップ(B)が開放。
(ゾロ目出現率(チューリップ開放率)は1/100)
・(B)に入賞すると、真下の振り分けヤクモノ(C)に入る。
((B)は1個入賞で閉じる)
・(C)内部は、左、中央、右と三つの振り分け穴がある。中央穴が大当りで、左右はハズレ。
理論上の振り分け率は1/3だが、実際は、ヤクモノのクセ、台のネカセ、クギ調整などで、
大きくバラつく。
・振り分け穴の中央に入った瞬間、1R目がスタート(※盤面左上7セグ(Y)に「14」を表示)。
16発の残りが少ない時に大当りすると、すぐ1Rが終わって、出玉が減る恐れもある。
よって、残り玉が少ない時は、チョロ打ちで全て打ち切った後、次ゲームで天下の(B)を狙う。
※7セグ(Y)は、残りラウンドを表示。本機は14R継続の為、第1Rが「14」で、最終14Rが「1」。
(大当り中の流れ)
・大当りしたら、右打ちに切り替える。
・右オトシのGOチャッカー(D)通過で、デジタル(X)が回転。
・(X)に「001」(ハズレ)以外の目が出れば、ヤクモノ真下のチューリップ(E)が開放。
(「001」の出現率は1/1000。その他の出現率は999/1000。デジタルは、ほぼ毎回当る。)
・(E)入賞で、下段ポケット「11、12、13、16」が点灯。かつ、得点が「2倍」になる。
・下段ポケット「12、13、14、15」全灯で、ジャックポット(3点)。「10、11、15」は普段から
入り易いゲージの為、右打ち時、チューリップ(E)入賞なら、「10~16」全灯になり易い。
ジャックポット3点、数字6連で3点。さらに、得点2倍だから、満点の10点(「F」=160発)を
容易に獲得できる。
・大当り中は、上記動作を14ラウンド繰り返す。出玉は、約2000個。
・なお、センター下チャッカー(F)通過時も、デジタル(X)は回転(ゲージ上、入賞率悪し)。
基本の流れは、上記の通り。「デジタル」と「振り分けヤクモノ」、この2つの関門をクリアすれば、
嬉しい大当りが待っている。
さらにいえば、本機は、2個のチューリップ(B)(E)に、ある面白い「特徴」がみられた。
それは、(B)、(E)が共に閉じた状態では、「(B)が開くと、下の(E)も同時に開く。同様に、
(E)が開けば、(B)も同じタイミングで開く」というものだ。
つまり、両チューリップは、「必ず一緒に開く」関係だった。何と、仲のよい間柄であろうか。
但し、両方開いている時に、下の(E)が閉じたからといって、天下の(B)が閉じる事は無い。
逆もまた然りで、閉じる時は、お互い「独立」していた(いずれも1個入賞で閉じる)。
あくまでも、両方閉じている時に、どちらか一方が開くと、もう一方も同調して開く、という特徴だ。
したがって、デジタル(X)が揃って、天下の(B)が開けば、下段の(E)も開く。
ただ、天下が開いたからと言って、いきなり(B)に玉をねじ込むのは、得策ではない。
まず、同時に開いたチューリップ(E)の方を狙って、「右打ち」する。運よく(E)に入れば、
ジャックポットと2倍ゲットで、10点などの高得点が期待できる。
こうして、天下(B)開放後は、まず右打ちで160発頂いた後に、次ゲームであらためて
(B)に入れて、1/3の振り分けを受けるようにすれば、通常時の玉持ちは飛躍的にアップ。
1回で「160発」…積み重ねれば、大きな差となる。
さらにさらに、上記したチューリップの特性は、大当り中も大いに威力を発揮した。
(これを利用したのが、以下の「連チャン促進打法」)
デジタル(X)が揃うと、天下チューリップ(B)が開くが、1個入賞で閉じてしまうから、
大当り獲得直後、つまり、第1Rがスタートした時、(B)は閉じている。
ここで右打ちをして、右オトシ(D)入賞でデジタルが回り、「001」以外が出れば、
ヤクモノ下の電チュー(E)が開く。
すると、先述したチューリップの連動性により、閉じていた天下の(B)も、同時に開く。
つまり、ラウンド中、(E)が1回でも開けば、(B)も開く訳だ。
しかも右打ち時は、天下への自力入賞が※「ほぼ」ないから、1R終了後も、(B)は開いたまま。
※「ほぼ」としたのは、バネが狂って玉の勢いが弱まり、天下に飛び込むケースもあるから。
再び天下に入ると、下のヤクモノ振り分けで外れればOKだが、中央穴だと「パンク」。
但し、一つのチューリップが、何ラウンドもずっと開いたまま…というのは、当時の規則に反した。
そこで、チューリップが閉鎖⇒開放に切り替わったラウンドから数えて「3R」が経過すると、強制的に
チューリップが一旦閉じる仕様になっていた(3R制限)。
そして、これこそが、連チャンの「ミソ」でもあったのだ。
第1ラウンドで、下段(E)と共に天下(B)が開くと、さらなる天下への入賞が無い限り、
(B)は、ラウンドが先に進んでも、「開放⇔閉鎖」のパターンを、定期的に繰り返す。
具体的には、「1Rで開き、3R終了後に閉じる」、「4Rで開き、6R終了後に閉じる」…という具合に、
きっちり「3ラウンド区切り」で、開いたり閉じたりする。
以下、「7R⇒9R」「10R⇒12R」と同じように続き、13ラウンド目には、また(B)が開く。最終の
14ラウンドも、(B)は開いたままだ。さらに、チューリップの継続開放は「3ラウンド区切り」だから、
大当り終了直後も、やはり(B)は開いている。
こうなればしめたもの。大当り終了後、あらかじめ開いている(B)に玉をねじ込み、
後は「1/3」の関門さえクリアすれば、めでたく「連チャン獲得」となる。
こんな「香ばしい」仕様だったから、大当り中をごくごく普通に打ったとしても、
大当り終了時は、キッチリBが開いているケースが大半。
つまりは、誰が打っても、大当り後は、連チャン獲得のチャンスとなり易い訳だ。
即ち、本機は、連チャン率「1/3」(クセにもよる)という、バリバリの連チャン機であった。
但し、これには、大きな「例外」があった。
大当り中、閉じた天下の(B)が開くには、同じラウンドで、下段チューリップ(E)が
開く事が前提となる。大当り中に(E)が開けば、(B)も同時に開く仕様だからだ。
また、(E)が開放するには、「右オトシ」、つまり、GOチャッカー(D)への入賞が不可欠。
さらに、デジタル(X)に、「001」以外の目が出る事も必要だ。
(「001」(出現率1/1000)はハズレ目なので、Eは開かない)
まぁ、デジタルに関しては、「999/1000」の超・高確率で当たるので、ほとんど問題ない。
一方、右オトシのGOチャッカー(D)は、あまりに釘がシブいと、16発打って一度も(D)に
入らない、厳しいラウンドも出てくる。
(D)を通過しない限り、(E)が開く事はないし、(E)が開かない限り、天下(B)も開かない。
(B)が開かなければ、大当り中の(B)の「開放→閉鎖」のパターンに、ズレが生じる。つまり、
本来(B)が開いているべきラウンドで、チューリップが閉じている事もあり得る。最悪の場合、
連チャンが見込める大当り終了直後に、(B)が閉じていることだってある。
よって、(D)に一度も入らない「空振り」のラウンドがあると、連チャン消滅の恐れがあるのだ。
具体的には、12R(7セグは「3」を表示)において、(E)に連動して(B)が開くと、2ラウンド後の
14R(最終R)が終わった時点で、(B)は強制的に閉じてしまう。
これでは、大当り後の連チャンも、全く見込めない。
そこで、12R開始前に(B)が閉じていたら、超弱めの「チョロ打ち」に切り替えて、12Rは
右オトシ(D)に一発も入れないようにする。(D)に入らなければ、チューリップ(E)が開くこともない。
(E)が開かなければ、天下(B)も開かない訳だ。
もちろん、左オトシ(A)にも、天下(B)にも、センター下段(F)にも、玉を入れてはダメ。
運よく16発とも入賞回避できたら(「空振り」成功)、次の13R目は普通に右打ちする。
オトシ(D)入賞⇒デジタル(X)当選⇒チューリップ(E)開放で、天下(B)も開く。
13Rで開いた(B)は、2ラウンド先まで強制的に閉じないから、続く最終の14Rが終わって、
通常時に戻っても、開いたままである。大当り後は、開放中の(B)に玉を放り込み、1/3の
振り分けをパスすれば、連チャンとなる訳だ。
つまりは、12R目に「ヤバイ」パターンだと察知したら、自力で「空振り」を発生させて、
天下(B)の開放パターンをズラすというのが、攻略のツボとなる。
最終ラウンドの終了時に、天下(B)が絶対閉じないよう、(B)の開放状況を常に観察して、
必要あらば、12Rで「事前調整」する。
こうする事で、大当たり後はほぼ毎回のように、「1/3(クセで変化)で連チャン」の状況となった。
なお、12R目をチョロ打ちしたのに、誤ってBが開いてしまった場合は、次の13Rを犠牲にして、
連チャンを復活させる、「非常手段」もあった。
13R目に入ったら、あえて開放した天下(B)に玉を入れて、チューリップを閉鎖させてしまう。
もちろん、振り分けが中央穴ならパンクとなるが、左右ハズレ穴なら、パンクを回避できる上に、
天下(B)の閉鎖にも成功しているので、都合がいい。
続く14R(最終R)で(E)が開けば、同時に(B)も開く。14R目に開いた(B)は、そのラウンドが
終わっても、強制的に閉じる事はないから、大当り後も(B)は開いたままとなる。これで成功。
なお、こうした「連チャン促進手順」をいち早く見つけたのが、当時、浜松のPN「新茶万歳」という、
「パチンコ必勝ガイド」の読者だった(他にも投稿者はいたが、「新茶~」氏がもっとも早く投稿)。
同誌92年3月号で採用された結果、オリジナル攻略法(オリ攻)の「月間オリ攻大賞」を受賞。
さらに、ほぼ同じ手順が、類似機種「ゴンドラ」にも通用する事が判明。コチラは、
「パチンコ攻略マガジン」(92年5月号)で発表された。
ただ、こうした攻略を行う上で最大のネックが、「設置を見つける事」だったのは、言うまでもない…。
★番外編…ブルートレインのヤクモノにおける、「数字の謎」
コチラの画像は、本機の「顔」である、センター振り分けヤクモノを、グイッとアップしたもの。
寝台列車を、バーンと正面から見たヤクモノ。
うーん、チープな面構えが、何度みても素晴らしい。
(類似機種「ゴンドラ」のヤクモノも、これの使い回しだった。カラーリングとデザインは、
スキー客の乗ったゴンドラに変わっている。)
青いボディ、白いラインに大きな窓。中央の看板に、ごく普通に「ブルートレイン」とあるのが、
どことなくシュール。
ところで、このヤクモノの左右ライトの上部に、5ケタの小さな数字があるのが、お判りだろうか?
列車ゆえに、「車体番号」的な意味合いがあろう事は、容易に想像がつくのだが…
私は、この数字が持つ(かも知れぬ)、隠された意味について、今さらながら、考えてしまった。
「05250」と「29222」の二つの数字には、暗号というか、メッセージというか、何かを示唆する、
特別な意味が込められていないだろうか…。
そう思って、一瞬ドキドキしたのだが、実にあっさりと、疑問は解けてしまった。
というのも、直感的に「これって、太陽電子時代の、会社の電話番号では?」と思ったから。
2つでちょうど10ケタだし、「05~」の数字が、愛知県辺りの市外局番に思えた。事実、
太陽電子の本社は、名古屋にあった(タイヨーエレックとなった現在も、名古屋にある)。
そこで、アレコレとネットを検索してみたら…
過去の検索情報で見つけた、「タイヨーエレック」の電話番号(052-502-9222)を見て、
「ああ、なるほど」。
ヤクモノに書いてあるのは、(左)が「05250」、(右)が「29222」。
左端から続けて読めば、「0525029222」となり、一目瞭然である。
一応、本機が出回った当時、1992年の業界誌の巻末に出ていた、太陽電子時代の
電話番号もチェックしてみた。
(かなりピンボケで恐縮だが…)案の定、当時から同じ番号であった。
ただ、現在は本社も移転して、電話番号も別のものに変わっている。
(サミーの完全子会社)
まぁ、いったん調べがついてしまえば、何とも単純な話であった訳だ。
しかし、自社の電話番号を、ヤクモノのデザインとして使うあたり、当時の太陽電子の
遊び心やユーモラスさが見て取れる。
そんな訳で、今さらながらの、レトロパチンコ「トリビア」。
~~太陽電子のアレパチ「ブルートレイン」(1991年)のセンターヤクモノには、
同社の「電話番号」を暗示するような、車体番号チックな数字が書いてあった~~
さて一体、これで、「何へぇ」くらい貰えるのかな…
まぁ、ここまで記事を読み切った人がいれば、の話だが(爆)
(太陽電子「ブルートレイン」の項、了)