1994年(平成6年)9月に平和から登場した一般電役「コスミック」
★カラー液晶画面採用
★賞球…10&14
★大当り確率…1/132
★平均出玉…2200個(釘調整、小デジハズレ等で変化)
★図柄…1~11(数字のみ)の計11種類。星をあしらったデザインが特徴。
★連チャン…数珠つなぎ連チャンも多く、時には深くハマる事もあったが、プログラム上の「仕込み」は見当たらず。数珠連については、高確率ゆえの「自力連チャン」と思われるが…。
★兄弟機…「アトミック」(1994年)
本機より1か月ほど前に出た先行機「アトミック」(1994年8月登場)…大当り確率はコチラも1/132。但し、賞球「10&13」で出玉は約1900個程度と少なめ。デジタル画面も本機と異なり、初期新要件機「ブラボーストロングα-1」(1991年登場。兄弟機「ブラボーストロングZ」(こちらはドット機)と共に、体感器攻略を受けた事でも有名)で採用された、「反射鏡・投影式デジタル」(デジタルが浮かび上がってみえる)が特徴だった。コスミックとアトミックは設置に地域差があり、東日本はコスミック、西日本はアトミックが主流ともいわれた。
~はじめに~
「コスミックのデジタル図柄は、なぜ11種類だったのか?」
今回の記事作成に当り、日頃より貴重なレトロ動画をアップして下さる、golgogolgoさんのヨウツベ動画(平和「コスミック」)を、参考資料として拝見した(感謝)。
その際、現役時は全く意識しなかった、「なぜ、本機のデジタル図柄は『1~11』の11通りなのか」という、実に他愛もない疑問を持ったのだが…動画でデジタルを何度も観察するうちに、ある事実に気付いた。
「あれ、このデジタルって、太陽、月、そして太陽系の各惑星が、実際の順番通りに並んでいるぞ…」
もちろん、現役当時も、数字の背後にある「土星」っぽい輪をあしらった星や、太陽よろしく赤くメラメラした星などの図柄が印象的だった。「コスミック」(cosmic)の名が示す通り、「宇宙」をイメージさせる、個性的なデジタル図柄だとは思っていた。
ただ、「1~11」の各図柄が、具体的に「どの星」かという視点は、正直持っていなかった。
カラフルなデザインの惑星が、不規則に11個並んでいる…くらいの認識しかなかった訳だ。
「数字の背後に星」という配置も、星のデザインをはっきり認識しなかった一因かもしれない。
しかし、今回動画を繰り返し視聴して、図柄のデザインを何度も観察するうちに、本機のデジタルが太陽系に属する11個の星を描いたもので、しかも、太陽を起点に、実際の配置通りに並んでいることに気が付いたのだ(今更感タップリだが…)。
(「既に気付いていた」という方は、どうか暖かく見守ってほしい。当時、この事実に触れた専門誌など、ほぼ皆無だったのだから…)
すなわち、本機の各図柄と星の対応関係は、以下の如くなっている。
1:太陽 2:水星 3:金星 4:地球 5:月 6:火星
7:木星 8:土星 9:天王星 10:海王星 11:冥王星
11個の図柄を注意深く検証したところ、「1」の「太陽」から始まり、以下、「水・金・地・火・木・土・天・海・冥」の各惑星が、実際の配置通り、規則正しく並んでいる。
さらに、「4」の「地球」と「6」の「火星」の間には、地球の衛星である「月」(5)がちゃんと挟まっていて、何気に芸も細かい。
また、「8」と「9」は共に、「輪っか」(リング)つきの惑星なのだが、斜めの輪(土星)と垂直の輪(天王星)という具合に、ちゃんと区別して描いている。やはり、芸が細かい。
(興味のある方は、「平和、コスミック」でYoutube検索のうえ、デジタル数字の背景に描かれた星のデザインを、じっくり観察して欲しい。それぞれの星が、キチンと描き分けられている事に気づくハズだ)。
以上の事から、平和の開発陣は、やみくもに「11通り」の図柄を本機に採用した訳ではなく、「太陽、月、及び太陽系に属する9つの惑星(計11個)」を、現実の配列通りに表すべく、あえてデジタルを11通りにした可能性が高い。
ここで、本機の兄弟機(先行機)「アトミック」も、やはりデジタルが11種類(0~9、H)だったので、本機の11通りのデジタルは、単にアトミックを引き継いだだけではないか、との指摘もあろう。
ただ、「先行機」とはいっても、両機のタイムラグは僅か「1か月」ほどしかなく、ひょっとすると両者は「同時開発」された可能性すらある。とすれば、デジタルを11種類にするアイディアは、実はコスミックの方が先で、アトミックもそれに合わせて11種類にした、とは考えられないだろうか。
いずれにせよ、コスミックのあの11図柄には、「太陽系」という明確なメッセージが込められていた訳だ。
もしも、本機の名称が「ソーラーシステム」(solar sysytem=太陽系)だったとしたら、各図柄の持つ意味にも、すぐ気付くことが出来ただろう。ただ、実際は、「アトミック」「コスミック」と、兄弟機でキレイに「韻」を踏んでいた訳で、「ソーラーシステム」というありふれたネーミングなど、「却下」濃厚だったと思われる。
ともかくも、本機登場から「20年」という年月が経った今、こうして当時の開発者の意図(?)をくみ取った事に、一種の感慨を覚える(明らかな自己満足だが…)。
もちろん、貴重な動画を上げて下さったgolgogolgoさんにも感謝したい。
おっと…デジタルの話ばかりで、ゲーム性等の説明を忘れていた。
(ゲーム性)
本機は、デジパチではなく「一般電役」に属するが、ゲーム性は非常にシンプルだった。
ヘソのスルーチャッカー通過で、メインデジタルが変動開始。デジタルの3つ揃いで大当りとなる。
デジタル確率は「1/132」と甘いが、ヘソに賞球がなく(ヘソ下方に賞球口があるが、釘のガードが堅い)、投資スピードは早くなりがちだった。
メインデジタルが揃ったら、即・右打ちに切り替えて、右肩の電チュー(カニ爪型)に5個以上入賞させる。
その後も右打ちを続けて、ヘソ右下及び盤面最下段の電チューを連動させて、出玉を稼ぐ。
但し、電チュー開放用の小デジタルに「-」が出るとハズレで、電チュー空振りで出玉ロスとなる。
小デジ当選率は1197/1200=399/400。つまり、小デジハズレ確率は3/1200=1/400。
平均出玉は2000~2200個程度(一般電役としては、やや少なめ)。但し、釘調整や小デジハズレの回数などで変動した。
(リーチアクション)
デジタル停止順は左⇒中⇒右。リーチが掛かる時は、左デジ停止後、(1)中デジが2コマ進んでリーチになる場合と、(2)中デジが大きくスベッてリーチになる場合がある。但し、これらスベリの有無で、リーチの信頼度が変わることはない。
リーチアクションには、(a)ノーマル、(b)チャンス、(c)全回転の3種類が存在。
(a)ノーマル…左・中テンパイ後、右デジがゆっくりスクロール。「1~2コマ手前で一旦停止後、再始動」(二段階アクション)及び「1コマ戻り」は大当り確定。
(b)チャンス…ノーマルから発展。リーチ後1周~1周半あたりで、デジタル上に「CHANCE」の文字が出現する。信頼度高し。1コマ戻って当るアクションあり。
(c)全回転…デジタル変動中、左・中デジが同調して回り出した後、右デジが追い付く形で、全デジタルが揃ってスクロールする。当時の人気機種「春夏秋冬」(西陣)の全回転リーチにちなんで、「春夏秋冬風リーチ」と呼ばれたりもした(平和としては、不本意だったと思うが…)。超高確率で大当りする激熱リーチだが、まれに外れることアリ。外れる時は、右デジのみ再始動後にズレて止まるが、1コマ戻って当ることもアリ。
★リーチ選択率
(大当り時) ノーマル及びチャンス…192/256(75%)、全回転…64/256(25%)
(ハズレ時) ノーマル及びチャンス…255/256(約99.61%)、全回転…1/256(約0.39%)
⇒大当り抽選で「ハズレ」を引き、さらに「1/256」の関門を突破すると「全回転ハズレ」が出現。
「ノーマル及びチャンス」を選択した場合は、さらに下記の要領で振り分けを行う。
(大当り時) ノーマル…6/11(約54.55%)、チャンス…5/11(約45.45%)
(ハズレ時) ノーマル…231/256(約90.23%)、チャンス…25/256(約9.77%)
⇒一部攻略本には「チャンスリーチは大当り確定」などと記されていたが、これは誤り。
(大当り判定方式)
1994年後半の「連チャン規制期」に出た現金機としては珍しく、「二段階判定方式」を採用。
(’93年以前、多くの連チャン機(三共など)が採用した判定方式)
・一次判定…カウンター範囲は「0~5」の計6コマ。当選値は「3」。一次当選率は1/6
・二次判定…カウンター範囲は「0~21」の計22コマ。当選値は「7」。二次当選率は1/22
よって、トータルの大当り確率は、1/6×1/22=1/132となる。
(兄弟機「アトミック」も、同様の判定方式を採用)
二段階判定の為、「一次抽選フリーパス」等による、意図的な連チャン性が疑われたものの、プログラム上の怪しい「仕込み」は、結局見つからなかった。