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(90年代のパチンコ・パチスロ情報がメイン)

安来名人(平和、旧要件ハネモノ)

2013-08-02 05:10:04 | ハネモノ

1988年(昭和63年)に平和から登場した旧要件ハネモノ「安来名人」

★賞球7&13
★最高8ラウンド継続
★大当り時、ハズレ6カウント後に役物の動きが変化
★同社の旧要件ハネモノ「ヘラクレス」の兄弟機種


 

言わずと知れた、昭和末期に出た旧要件ハネモノの「名機」である。

個人的には、平成2年(1990年)冬、新宿の歌舞伎町・旧コマ劇広場にあった「ラスベガス」というパチ屋で、いささか年季の入った本機に遭遇したのが、最初の出会いだ。


(在りし日の新宿「ラスベガス」)

 当時、この店には同じ平和のビッグシュータープラトーンII、そして西陣のマッハシュートといった香ばしい台も置いてあり、タネ銭に余裕がない時などには重宝した。

ラスベガスの安来名人は、新要件デジパチのブラボーストロングα-1(平和)や、新要件権利物のビッグポーカー(三共)の頃にも残っていたので、少なくとも1991年の末頃まではあったと記憶する。

ただ、この店のハネモノでは、楽な展開で打ち止めした記憶はあまりない。私が通った時期は、安ゼニでチンタラやった挙句、全て飲まれる「遊び台」が多かったと思う。まぁ、単に釘を見る「目」がなかっただけかも知れないが…。

加えて、本機は通常時の玉持ちが悪く(チャッカーが7個戻しの為)、また役物のクセなどが災いして、V入賞率や継続率が極端に悪い台に捕まる事も少なくなかった。

それでも、何度も通っていれば、時間をかけて「4000個」(2.5円交換)の予定終了に届く事もあった。カウンターで特殊景品を受け取ると、裏口を出て「歌舞伎花道通り」を風林会館方面へと進み、3つ目の路地を右に曲がる。すると、通りの右側に怪しい「ビデオショップ」の看板が出ていて、若干の恥じらいを感じつつも、ビデオ店手前の階段を上がり、2階の換金所で1万円を受け取る。その後は、「コスモ」「トップス」「ニューメトロ」といった近くのパチ屋を「ハシゴ」して、ラスベガスでの勝ち金を溶かしたものだ。

因みに、ラスベガスのスロットコーナーには、瑞穂製作所の2-1号機「ファイアーバードEX」があり、悪名高きビッグボーナス後の「90秒ウェイト機能」にイライラしつつも、「辛抱強く待つ事の大切さ」を学んだ(笑)。また、この店には、店内放送用の「DJブース」なんかもあって、夕方になると若い女性DJがフリートークで場内を盛り上げたり、リクエスト曲に応えたりしていた。

 

★その他の設置店(小田急沿線)…本厚木「パレス」、海老名「プラザ」「ムサシ」、相武台前「大心会館」、小田急相模原「ニュードラゴン」など


 

★「安来名人」登場時期に関する資料

 

★1988年(昭和63年)7月22日「鳥取県公安員会告示」(新機種の検定情報)より。本機の他、デジタル金四郎(京楽)、サイドポケット(平和)、スーパーレスキューII(ニューギン)、ビートル(奥村)、ランバーII(三共)、ブロードウェイI(三共)、ザ・拳法(西陣)、ニューガオス(西陣)、セイヤ(三星)など、旧要件時代の名だたるデジパチ、ハネモノ、一発台などが並ぶ。

 


さて、本機のヤクモノが大変ユニークでコミカルな事は、多くのハネモノファンがご記憶だろう。

「かすりの上着、豆絞りの頬かむり、一文銭の鼻当て」という、お決まりの「安来節」コスチュームに身を包んだオヤジ。

マイクの前で両目をピカピカと光らせつつ(結構不気味だった…)、両手で抱えたザルを「アラ、エッサッサー」と上下させている。

また、人型のスタートチャッカーに腕が付いていたり、ハネがドジョウの形だったりと、なかなかの芸の細かさも窺えた。

このオヤジ、「HHK」(マイク下に書かれたロゴ。「平和放送協会」の略か。「MHK」にも見えるが…)が主催する「民謡素人名人戦」に出場中だ。

オヤジのエントリーNo.は「18番」だが、これは安来節がオヤジの「十八番」(おはこ)という意味も込められているだろう。

本機では、オトシやヘソに入賞する度に、人工音声で「18番、やすき~」と発するのだが(本来なら「やすぎ」が正しい)、オヤジの声にしては、妙に可愛すぎる気もする(笑)。

大当り時やV継続時には、同じ音声で「ごうか~く!」と祝福するので、この声は女性進行役のもので、オヤジの声ではないかも知れない(どうでもいい考察だが…)。一方、Vを外した時の「カーン」という鐘の音には、どこか哀愁が感じられた。

本機のVゾーンは、ヤクモノ手前中央の「合格」と書かれた部分だ。但し、両サイドに大きなハズレ穴が待ち構えており、なかなか中央Vには来ない。

また、V手前には、奥と手前を結ぶ「橋」があるが、およそ玉一つ分のレール幅しかなく、橋に乗った玉は左右に落下し易い。

V入賞の主なパターンは、ハネに乗った玉がダイレクトにVに飛び込むか、或いはV穴の左右でワンバウンドして大当りするようなケースだ。また、ハネから落下した玉が、左右の壁にクッションして中央Vに戻って当るパターンもある。もちろん、タイミングや角度が合えば、オヤジの持つザル経由で真ん中の橋を直進して、そのままVを射止める事もあった。

この時、オヤジが両手に持つ「ザル」がクセモノで、経年劣化や店の「仕込み」により、ザルが左右に傾いた「クセ悪台」も存在した。こんな台では、ザルから放り投げられた玉が左右にブレやすく、やたら鳴きが良い割にちっともVに入らず、ジワジワ投資がかさむ「負けパターン」にハマる。

そういえば、歌舞伎町「ラスベガス」の安来名人も、時期的に末期だったせいか、或いは店の営業方針だったかは判らないが、やたらVの遠い台が多かった印象が強い。

 

ちなみに、かの有名なパチンコ劇画「雷電」(北鏡太、一の瀬正)でも、連載第4回目(「パチンカーワールド」平成2年12月号)で安来名人が登場している(第4話「最悪のPATTERN」)。

この回の雷電は、安来オヤジの肩が見事に「脱臼」したクセ悪台に苦労しつつも、玉の発射タイミングを調節するなどして、見事打ち止めに持って行った(後半では、三共「フィーバーレクサスV」を得意の活動電流で「ムンッ」と攻略)。

 

 

首尾よくVに入ると、「ごうかーく」の祝福と共に鐘が鳴って大当りとなり、例の「安来節」のメロディが流れる。電子音による軽快な旋律は、さしづめ「テクノ・ザ・ヤスギ」といったところか。

大当り中も、オヤジは両手のザルを上下に動かし続ける。ハズレ玉を6カウントすると、オヤジが奥から手前側に移動して、オヤジ(ザル)とVとの距離がグッと縮まる。

こうなると、ハネに拾われた玉が上下するザルに乗り(或いは当り)、その反動で正面Vに向かうケースが増える。つまり、ラウンド前半よりもハズレ6カウント後の方がV入賞し易いのだが、継続率はザルの傾斜などの「クセ」により、大きく左右される。


 

今思えば、「玉持ち悪い、Vが遠い、パンク多発」といった、ネガティブなイメージも少なくない。ただ、あの独特なオヤジの役物には、あまりに強いインパクトを受けた。本機は、いい意味でも悪い意味でも記憶に残る、「思い出の一台」である。