中東では、ISもさることながら、シーア派とスンナ派の対立も問題を複雑化しているようです。
シーア派とスンナ派は、ムスリム教の開祖であるムハンマド・イブン=アブドゥッラーフの後継者をムハンマドの血族に限るのか、限らないかの対立から分かれたと言われています。血族に限ると考えたのがシーア派なのだそうです。その他にも色々違いがあるようですが、迷宮に入ってしまいますのでこの辺で。
シーア派はスンニ派と比べて穏健派だと見なされる傾向にあるとの主張もありますが、何を持って穏健派と看做すのかは微妙です。ちなみに、インドネシアはスンニ派ですが、シーア派にくらべて過激派であるとも思えません。
シーア派の代表的な国と言えばイランです。
「イラン」とは「アーリア人の国」を意味するそうです。西洋では古代よりファールス州の古名「パールス」にちなみ「ペルシア」と呼んでいたようです。ファールスという州名は、古代にはペルセポリスおよびその支配地域をパールサと表していたものが、中世にはパールスとなり「ペルシア」となった様です。
イランは面積が約164万平方キロメートル(日本の約4.4倍)人口は約8千万人、中東地域では大国です。平地は少なく、岩山が多い印象です。大部分のイラン人はムスリムであり、その90%がシーア派、9%がスンナ派です。
イランの歴史時代は紀元前3000年ころ原エラム時代にはじまります。紀元前550年には、古代オリエント世界の広大な領域を統治するペルシア帝国が建国されましたが、アレクサンドロス大王率いるギリシャ遠征軍によって紀元前330年に滅ぼされました。7世紀に入ると、東ローマ帝国との紛争やメソポタミアの大洪水による国力低下を経て、ムスリムの国となりました。その後、様々な変遷を経て現在に至りますが、中世では先進的な国として君臨していたようです。
歴史のある国ですから、イランのUNESCO世界遺産登録物件は17件に達します。ペルセポリスは世界史や地理の教科書でも必ず出てくるかと思います。
そんなイランも結構、親日的な国なのだそうです。そのきっかけとなったのは、1953年、日章丸事件とのことです。
イランは第二次世界大戦後独立していたものの当時世界最大と推測されていた石油資源はイギリス資本の元、イラン国庫にも、国民にも利潤が回らない状況だったそうです。その中で、イランは1951年に石油の国有化を宣言。反発したイギリスは、中東に軍艦を派遣し、石油買付に来たタンカーの撃沈を国際社会に表明する事態となりました。
イラン国民の貧窮と日本の経済発展の足かせを憂慮した出光興産の出光佐三社長は、経済制裁に国際法上の正当性は無いと判断し、極秘裏に日章丸(タンカー・同名の船としては二代目)を派遣する事を決意しました。
日章丸は1953年3月23日9時神戸港を極秘裏に出港し、航路も偽装してイギリス海軍から隠れる形で4月10日イランに到着、4月15日急ぎ石油を積んだ日章丸は、国際世論が注目する中、イランのアーバーダーン港を出港、機雷群や海上封鎖を突破して5月9日9時に川崎港に到着しました。その事件が、石油の自由な貿易が始まるきっかけとなったそうです。
このあたりは、ベストセラーとなった百田尚樹の「海賊とよばれた男」に詳しく書かれています。
イランと言えば、在日イラン人のことを思い出す人も多いかと思います。
最盛期の1993年には4万人程のイラン人が日本に居たそうです。現在では4千人程になり、ずいぶん減ったようですが、活躍しているハーフの方も沢山いらっしゃいます。歌手のMay J.は、父親は関西出身の日本人、母親はイラン系ですし、プロ野球選手のダルビッシュ有はイラン人の父と日本人の母との間に生まれたそうです。
歴史のある地には美男美女が多いという説がありますが、その説を彷彿とさせると思うのは私だけでしょうか。
日本という国は、意外とムスリム諸国からの信頼は厚いと言います。それは、シーア派であってもスンナ派であっても同じようです。それは今迄、日本の先人が築いて来た遺産なのかも知れません。
今の中東や北アフリカで起こっていることを、折に触れ心配する。私はあなた達の事を気にしていますよって言うメッセージの発信。それも大事なことではないでしょうか。
この国が、ムスリムの子供達にも「日本って良い国だと思うよ。」って、言ってもらえる国であり続けられますように。
このプログの画像はisis_chanプロジェクトに参加されているイラストレーターの方々からお借りしています。isis_chanプロジェクトの目的は、ISが発信する残酷な画像のインターネットでのヒット率を低下させることだそうです。isis_chanプロジェクトにはガイドラインがあり、ムスリムと彼らの信仰の尊重、暴力的・性的表現・政治的主張の禁止等々決められています。私のプログは極力このガイドラインに沿って書いているつもりですが、抵触していると思われたら、それは私の文章力の無さから来るものだと思います。
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