冷艶素香

現ES21がいろんな人達から愛されていたり、割れ顎の堅物侍を巡って、藤と金の人外魔境神未満ズが火花を散らしたりしてます。

『April shower (後編)─夢に夢見た胡蝶の涙─』の語釈

2007年05月17日 | もう一つの大奥(瀬那総受/読切り)
おするすると~…
下記の“やは”が無ければ、物事が何事も無く円滑に進行する様子を言い
表す“するする”を丁寧な表現にして、「今年の雪中御投物も無事に終わっ
てよう御座いました、このこと満足に思います」と、いうような意味になるの
だが……↓


や~は~…
“やは”は日本語の助詞(とは言っても現代語ではもう使われていないでし
ょうが。それに“は”の読みはもしかして“わ”だった……? 古語辞典が手
元に無いので確認出来ず、またもうろ覚え万歳☆★(゜0゜(○=(‐_‐○)
意味としては強い疑問を表したり、反語の意味で使われたり。上記の“おす
るする~”とくっ付く事で蛭魔局の怒りを表しており(「~~~満足に思……
ってるわきゃねーだろがぁ! [な]んだこの状況は!?」みたいな)、また
原作でお馴染みのセリフ「Ya-! Ha-!」との掛詞(?)としました(笑)。


被布…
羽織に似ているが、衽がそれよりも左右に深く合わせてあり、そうして重な
った布地の下(内側)になる方の上部が背中を回り(一周し)、今度は上(外
側)の布地のやはり上部、その端っこに来るようにした上で、房付き飾り紐
で留めた、外套のようなもの(もう少し薄手か?)。江戸時代が舞台の時代
劇などでは、武家の寡婦や茶人、俳人がよく着てたように思います(やっぱ
りうろ覚え)。女児の七五三で、三歳の女の子たちが着るものでもあります。


紗綾形綸子…
吉祥紋である卍の形を崩し、それを連ねた模様を織り出した絹織物。


御高祖頭巾…
女性の防寒用具の一種。防寒目的以外に、武家の女性がお忍びで外出す
る時などにもよく使われた。紐が付いてはいるが、見た目だけで言うなら現
代のスカーフで髪の毛も含め、頭部全体から首筋までを(?)きっちり覆った
ような感じ。


管狐…
オコジョの別名。毛皮はアーミン(ermine)の名で有名。蛭魔さんの襟巻きは
白狐のにしようか、これにしようかかなり悩んだ末に、間を取ってこうなりまし
た(笑)。


餺飩…野菜たっぷりの味噌煮込みうどん。山梨県の名物。


匙…江戸幕府や大名お抱えの医者。御典医。御匙(おさじ)。


朝鮮唐津…
藁を焼いた後の灰から作られた白い釉と、茶褐色や黒、鼈甲色の釉を掛け
分けた、或いはどちらかを先に掛けた後、その上からもう一方を掛け流す事
で、二種類の釉が絶妙な模様を生み出す陶磁器類。佐賀県の名産品。特
に茶器には名品が多い。


御三の間…
大奥の御目見え以下の役職の中では最高位の職場。将軍の妻妾や娘、大
奥高職者達の雑用係(意外にも掃除や給仕、ペットの世話、諸備品の管理、
荷物運び等の肉体労働にも従事する)。生粋の武家出身の娘達が「正式な」
大奥勤めに出る際、最初に配置される所(部屋子などの又者はまた別の扱い
なので)。


お火の番…
夜間の見回り当番。深夜0時頃から「火の御用心さっしゃりましょう(さっしゃり
ませー)」と、独特の調子の掛け声をかけながら大奥の各廊下や炊事場、湯
殿などを見て回る。


被衣…
上流階級の女性が外出の際に顔を隠すため、頭から被った衣。平安時代に
端を発する。関東地方では、江戸時代中期までには恐らく廃れていたと思う
のですが、赤羽さんは京都から輿入れしたという設定ですし、何より雰囲気
重視のため(苦笑)、袿をそのまま被っているとお考え下さい。


問わぬは無情~…
『源氏物語』若紫の巻にて、病み上がりの源氏が不仲の正妻・葵の上を久々
に訪ね、見舞いの一言も言おうとしない彼女の冷淡さに不平を述べた際、葵
の上は「君をいかで 思はむ人に 忘らせて 問はぬはつらき ものと知らせ
む」という古歌(出典不明/どうにかして、貴方を想う人達に貴方の事を忘れ
去らせ、愛する人に気にかけてもらえないという事がどんなに辛いかという事
を、貴方にも一度、ガツンと分からせてやりたい……と、いうような意味だった
気が)に絡ませて、「問わぬはつらきものにやあらむ(貴方様のお加減をわた
くしが尋ねようとしないのは、果たしてそれほど無情な事でしょうか? そちら
はわたくしの事、元気であろうがなかろうが、ちぃ~っとも気にかけて下さいま
せんのに……ねぇ?)」と切り返したが、その恨みがましくも気品に満ち溢れ
た流し目は、気後れしそうな程に気高い中にも若干の恥じらいが含まれてい
て、何とも言えず美しいものであったと書かれている(……ツンデレですか?)。
赤羽さんの場合は視線でなくお声をポイントとさせて頂きましたが。


瑩貝…紙や絹に光沢を出すため、こすり磨く時に使われる貝殻。


緋の袴…
紅花で染めた袴。紅の袴とも称する。基本的には大人の皇族・公家女性が着
用するもので、江戸時代には公家・武家問わず、無位無官の者は着用出来な
かったという。赤御台様は宮家のご出身ですから問題無し(多分)。


伽羅の御方…正妻の隠語。


くべれば~…
琥珀は香料としての使い道もある(これは本当、広/辞/苑にも載ってます)。
燃やすと良い匂いがするらしい(こちらは真偽不明。何かの薬品と一緒に加
熱するとか、一定の条件の下でというのなら分かるが……)。改めまして、雰
囲気重視でお読み下さいますよう、お願い申し上げますm(_ _)m


薫紙…香料を染み込ませた紙。


いとぼい…京都の御所・公家言葉で“可愛い”。


解語の花…美人。


紅顔…若さと美しさに満ちた顔。


直千金…
北宋の政治家にして著名な文人・蘇軾の作品『春夜(詩)』の中の起句(第
一句)、“春宵一刻直千金”(しゅんしょういっこくあたいせんきん)。花かぐわ
しく咲き乱れる春の朧月夜の情趣は、ほんの一刻だけでも、千金以上の価
値があるという意味。


『千里集』…
平安時代前期の漢学者にして歌人(中古三十六歌仙の一人)・大江千里
の著した『大江千里集』の事。「照りもせず……」はその中にある歌で、白
居易のある詩を日本語に翻訳したもの。後には新古今集の春の部にも入
れられた。意味は読んだ通りそのままで、ハッキリと照り輝く訳でもなけれ
ばどんよりと曇り翳っている訳でもない、朧な春の月夜に勝るような美しい
景色なんてある訳無いじゃない……みたいな。またまた源氏物語でアレな
のですが(香夜さんそんなに好きだったっけか?)、花宴の巻で朧月夜の君
が口ずさんだ事により、以降の時代でより広く人口に膾炙したのだそうです。
“しく”(如く)が“似る”になっている事もあり。
赤御台様ご機嫌なので、フォントが桜月夜のほわわんピンクとファンシー黄
色に……(笑)!


奢れる人も~…ご存じ、『平家物語』の冒頭文(序文?)より。


玉露…露を玉に例えた言葉。今回はnotお茶(笑)。


春の雪…
冬に降る普通の雪と比べると雪片が大きくまた柔らかく、積もってもすぐに
溶けて消えてしまう事から、儚さの象徴でもある。そんな淡雪で雪合戦が
出来るのか、それでも一応雪は雪、雪がまだ降る時期に八重桜が開花し
ているのか、そして何より日にちが旧暦3月1日、即ち欧米の太陽暦では4
月1日万愚節に当たるという事で、『April shower』前後編は大奥シリーズ
本編ではないのですよ~と、強調したつもりなのです、香夜さんは。

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