ユラユラリ
水面(みなも)の月は
望んじゃいけない
「……瀬那君?」
「あ、あの筧君、こんにちは……! 小判鮫さんたちに筧君ここだって聞い
て……」
午後八時過ぎの巨深高校。美しい夜景が見られると評判の高層エレベー
ターとその最上階にある屋上は、周辺随一の名所でもあり、巨深に在籍し
ている友人や、恋人のツテを辿ってやって来る多くの他校生たちの姿は最
早、日常の風景と化している。幾ら取り締まったところで、若人たちの情熱
にはキリが無いということもあり、生徒手帳を預けること、22時前には必ず
帰る誓約など諸々の条件を課した受付での部外者訪問手続きを済ませた
後であればと、学校側は、彼らの束の間の逢瀬を黙認することにした。
少子化が進み、また子どもたちの自己抑制力がどんどんと低下してゆく昨
今の学校経営には、翌年度の新入生確保のためにも、一昔前なら到底考
えられないような自由(?)も彼らに与えなけれならないほど、厳しいものが
有るようだ。
閑話休題(それはさておき)、以上のことから瀬那も、警備員などに見咎め
られることなく、すんなりと巨深の校内に入ることが出来た。
「待っててくれ、すぐ上がるから……」
ザブリと再び水中へ潜ったかと思うと、折り返してやっと25mという狭いプ
ール、ましてやそのずば抜けた191cmの長身──しかも未だ現在進行形
で伸び続けている──もあり、筧はあっという間にプールサイドへ辿り着く。
しかし、トンと両手をついて、片膝もまたプールの淵につきかけた筧の幅広
の肩に突然、瀬那の小さな片手がふわりと添えられた。
驚く筧をよそに、瀬那の悪戯な指先はそのままツツ……ッと、逞しい胸板へ
移動する。
「せ、瀬那君……?」
顔に穴が開きそうなほどマジマジと見つめられている上、素肌に、いつもの
瀬那からは想像も出来ないような婀娜めいた仕種で触れられた筧は、思わ
ず顔に朱を上らせた(周囲が既に暗かったことを、この時ほど彼は有難く思
ったことはなかった)。
「筧君の泳いでるトコって初めて見たけど……」
一旦言葉を切り、パチパチと瞬きをする瀬那。
「綺麗だねぇ」
伸びやかなフォーム、鍛え抜かれたブロンズ彫刻のような肢体に煌めく雫が
伝い、その周囲をキラキラと飛び跳ねたかと思うと、再び水面へと落ちて、そ
こに幾つもの波紋を広げてゆく──躍動的だが、決して耳障りではない、大
波の如き水音と共に。
「本当に……何て綺麗なんだろう……」
続けて瀬那の手はそのまま下へと下って、綺麗に割れた腹筋をやわやわと
なぞり、そして再び首筋へと急上昇。もう片方のやはり小さな手は筧の、日
に晒されている時間が長い割には、それほど日焼けをしていない頬をなぞり、
高い鼻梁の先端を軽く弾き、薄い唇に触れて──
「瀬那、君……どうし……」
たの、と、筧が訊ねようとした瞬間、瀬那の両腕が急に凄まじい速さで筧の
首筋に絡められた。そして──
フィ……と掠められた、柔らかな感触。
この間(かん)も筧の頭髪からはポタポタと、塩素臭い水滴がその全身を、下
に、斜めに、したたり落ち続けていた。
「筧君のこういう綺麗なところ、全部僕が貰っちゃ駄目かなぁ?」
「何言ってんだ、とっくの昔に瀬那君のじゃねぇか」
ユラユラリ
水面の月は
掴めない
「でも僕(俺)が欲しいのは目の前にある現実だけ、だから関係無い(無ぇ)よ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
筧先生だって結構、泳ぐのは得意な方なんじゃないかと思う(でも今回、
水町でもないのにどうしてこんな時間に泳いでいたのかは、香夜さんに
も不明)。あと銭湯の回もそうでしたが(と言っても私が目にしたのはコミ
ックスだけなんですが)、あの人の全身がずぶ濡れの状態って、何か普
段の魅力とはまた一味違ってこう……そそると言うか何と言うか(笑)。
香夜さんは一体全体、何を書きたかったのだろう……?(苦笑)
↑の問い(一体全体~)には今もって答えが出ていないというこのミステリ~
ィ♪ しかも萌え謎は去年よりもまた増殖しちゃったんですよ……いや、筧先
生の水着ってどんなのかなぁと……げふ、ゲフン(>y<;)!!!
水面(みなも)の月は
望んじゃいけない
「……瀬那君?」
「あ、あの筧君、こんにちは……! 小判鮫さんたちに筧君ここだって聞い
て……」
午後八時過ぎの巨深高校。美しい夜景が見られると評判の高層エレベー
ターとその最上階にある屋上は、周辺随一の名所でもあり、巨深に在籍し
ている友人や、恋人のツテを辿ってやって来る多くの他校生たちの姿は最
早、日常の風景と化している。幾ら取り締まったところで、若人たちの情熱
にはキリが無いということもあり、生徒手帳を預けること、22時前には必ず
帰る誓約など諸々の条件を課した受付での部外者訪問手続きを済ませた
後であればと、学校側は、彼らの束の間の逢瀬を黙認することにした。
少子化が進み、また子どもたちの自己抑制力がどんどんと低下してゆく昨
今の学校経営には、翌年度の新入生確保のためにも、一昔前なら到底考
えられないような自由(?)も彼らに与えなけれならないほど、厳しいものが
有るようだ。
閑話休題(それはさておき)、以上のことから瀬那も、警備員などに見咎め
られることなく、すんなりと巨深の校内に入ることが出来た。
「待っててくれ、すぐ上がるから……」
ザブリと再び水中へ潜ったかと思うと、折り返してやっと25mという狭いプ
ール、ましてやそのずば抜けた191cmの長身──しかも未だ現在進行形
で伸び続けている──もあり、筧はあっという間にプールサイドへ辿り着く。
しかし、トンと両手をついて、片膝もまたプールの淵につきかけた筧の幅広
の肩に突然、瀬那の小さな片手がふわりと添えられた。
驚く筧をよそに、瀬那の悪戯な指先はそのままツツ……ッと、逞しい胸板へ
移動する。
「せ、瀬那君……?」
顔に穴が開きそうなほどマジマジと見つめられている上、素肌に、いつもの
瀬那からは想像も出来ないような婀娜めいた仕種で触れられた筧は、思わ
ず顔に朱を上らせた(周囲が既に暗かったことを、この時ほど彼は有難く思
ったことはなかった)。
「筧君の泳いでるトコって初めて見たけど……」
一旦言葉を切り、パチパチと瞬きをする瀬那。
「綺麗だねぇ」
伸びやかなフォーム、鍛え抜かれたブロンズ彫刻のような肢体に煌めく雫が
伝い、その周囲をキラキラと飛び跳ねたかと思うと、再び水面へと落ちて、そ
こに幾つもの波紋を広げてゆく──躍動的だが、決して耳障りではない、大
波の如き水音と共に。
「本当に……何て綺麗なんだろう……」
続けて瀬那の手はそのまま下へと下って、綺麗に割れた腹筋をやわやわと
なぞり、そして再び首筋へと急上昇。もう片方のやはり小さな手は筧の、日
に晒されている時間が長い割には、それほど日焼けをしていない頬をなぞり、
高い鼻梁の先端を軽く弾き、薄い唇に触れて──
「瀬那、君……どうし……」
たの、と、筧が訊ねようとした瞬間、瀬那の両腕が急に凄まじい速さで筧の
首筋に絡められた。そして──
フィ……と掠められた、柔らかな感触。
この間(かん)も筧の頭髪からはポタポタと、塩素臭い水滴がその全身を、下
に、斜めに、したたり落ち続けていた。
「筧君のこういう綺麗なところ、全部僕が貰っちゃ駄目かなぁ?」
「何言ってんだ、とっくの昔に瀬那君のじゃねぇか」
ユラユラリ
水面の月は
掴めない
「でも僕(俺)が欲しいのは目の前にある現実だけ、だから関係無い(無ぇ)よ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
筧先生だって結構、泳ぐのは得意な方なんじゃないかと思う(でも今回、
水町でもないのにどうしてこんな時間に泳いでいたのかは、香夜さんに
も不明)。あと銭湯の回もそうでしたが(と言っても私が目にしたのはコミ
ックスだけなんですが)、あの人の全身がずぶ濡れの状態って、何か普
段の魅力とはまた一味違ってこう……そそると言うか何と言うか(笑)。
香夜さんは一体全体、何を書きたかったのだろう……?(苦笑)
↑の問い(一体全体~)には今もって答えが出ていないというこのミステリ~
ィ♪ しかも萌え謎は去年よりもまた増殖しちゃったんですよ……いや、筧先
生の水着ってどんなのかなぁと……げふ、ゲフン(>y<;)!!!
好きなのです、ヒルセナも筧セナも…。
珍しく積極的(ていうか天然?)のセナに、この後、
筧くんはセナを抱いてまたプールにダイビングすればいいと思います。
そうしたらセナの、いきなり水の中に入ってびっくりの顔と
濡れそぼった色っぽい顔の両方を堪能できる事でしょう!
やはり貴女様の書かれますお話は大好きです。可愛い
お話からほのぼの、シリアスまで、
余さず読ませて頂いております。
異国の地で語学勉強との両立、大変でしょうが、
ゆっくりのんびりでも良いので、これからも
がんばってください(そしてまたお邪魔させていただきます・笑)。