ワファの結婚式は無事終わり、その後カイロの郊外で夜遅くまでハフラ(パーティー)が開かれました。
写真を撮っていて、感じたことがありました。
彼女は孤児施設で育ちましたが、決して孤独ではありません。
いつもたくさんの人々に支えられています。
もちろん今、一番にワファを支えているのはご主人のムハンマドさんでしょう。
孤児であるワファと結婚することにさまざまな困難があったことは想像されますが、ファインダーの中の彼は、誰より彼女を強く守り、大切にしていました。
そしてワファの周りにはいつもたくさんの女性がいたことを忘れることはできません。
上の写真の女性は、ラティーハさんです。
ワファは彼女が現れたとき私に「マイシスター」と紹介してくれました。
ラティーハさんは美容室や式の間もずっと付き添ってこまごまと世話をやいていました。
ワファも靴を履かせてもらったり、ほつれたドレスのすそを縫ってもらったりと、すっかり甘えていました。
孤児施設のしっかりした一番のお姉さん格のようです。
次々と「マイシスター」がやってきました。
そのたびにワファは緊張から解き放たれて、いつもの少女に戻りました。
ラティーハさんは言いました。
「私たちシスターが全員でワファをサポートするんです」
孤児施設の責任者のモナさんは昼間、美容室で会ったときも、式場で会ったときも、一度も笑顔を見せませんでした。
式が終わって外に出てカメラを向けると、ほんの少しだけ微笑みました。
いつもは笑顔の魅力的な彼女でしたから不思議でしたが、娘を嫁に出すときの母親の複雑な気持ちだったのではないかと今振り返ってみてそう思います。
ワファの結婚式は終わりましたが、またいつか彼女の元気な笑顔に会いに出かけようと思っています。
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