「おあとがよろしいようで」(喜多川泰著 幻冬舎 2023.10.5 第1刷 270ページ)
読んだあとがすがすがしい。著者はあとがきで令和4年9月23日に古今亭文菊の落語に出会い、落語が出てくる物語を書きたいと、この作品になった。寄席で落語を楽しむこともいいが、本も面白い。「明日が来るのが楽しみになるくらい準備する」(125ページ)
以下、アマゾンの紹介文。
大学進学を機に群馬から上京したばかりの門田暖平は一人、新品のこたつを亀の甲羅のように背負い佇んでいた。配送料が払えず自力で下宿に持ち帰ろうと思ったが、帰宅ラッシュで電車に乗り込むことができない……。
途方にくれる暖平の前に、一台のワゴンが停まる。乗っていたのは、入学式当日、構内で落語を演っていた落語研究会の部長・忽那碧だった。落研に誘われるが、金もなく、コミュニケーションにも自信がなく、四年間バイト生活をして過ごすつもりだと語る暖平。「必要なのは扇子一本。あとは座布団さえあればどこでもできる」という碧の言葉に背中を押され、暖平の人生が大きく動き出すーー。