「プリズン・サークル」(坂上香著 岩波書店 2022.3.24 第1刷 278ページ)
著者はドキュメンタリー映画監督。受刑者が互いの体験に耳を傾け、本音で語り合う刑務所はいままでなかった。それが島根県にある刑務所で実験的に行われている。塀の中を長期撮影し、映像化した人が著者である。
日本の刑務所は沈黙の世界である。受刑者は人と接触する機会がない。多くの場面で会話は厳しく禁じられている。それに違反すると懲罰の対象になる。
プリズン・サークルで活動を続けると各段に再犯率が下がる。人と人の対話や接触がないまま、社会に出ると再犯率が下がらない。人は人の中で成長していく。この刑務所の活動が他の刑務所に広がることを望む。