皆さま、前回の投稿からだいぶ経ち、あと1週間で今年も終わり…時の流れの速さに驚嘆しています
コロナ禍で右往左往、慣れない事ばかり、想定外の事ばかりで慌てているうちに、時間だけがが流れて行った…そんな気がします。
ところで、今月はそんな中、久しぶりに都内へコンサートを聴きに出かけましたので、その感想を載せてみたいと思います(これは、他の場所に書いたものですが、ピアノという楽器の素晴らしさを再確認した出来事でしたので、こちらにも載せたいと思います)
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今年初めて、コンサートに出かけた。
東京へ出向く事さえビクビクだが、電車に乗ると、車内は皆マスク着用で、1両あたり数人しか乗ってないほど閑散としている。コロナはいつ収まるのだろう…なんて事をボーッと考えながら、おもむろに新宿に到着。
オペラシティ界隈も、金曜日だというのにとても静か…こんな時はグラスワイン🍷を1杯なんて思ったが、いけない、いけない、運転があった、と諦めて、明太子パスタとグレープフルーツジュースで我慢する。
開場時刻になると、ひとりひとりソーシャルディスタンスを保って、検温と手の消毒、プログラムは自分で取るシステムになっていた。そして、客席も両隣どころか左右2席、前後斜め、自分の周囲10席くらい空いた凄いソーシャルディスタンス座席だった。
そして、いよいよ開演。
マスク着用で舞台に演奏者が現れた瞬間、なぜかわからないけど、涙がスーッと流れてしまった…これから素晴らしい演奏が響き渡るであろう舞台とマスク、そして不自然に隙間を開けられた客席、この1年のコロナ禍を象徴しているようで、ホール全体がおそらく同じような気持ちで覆われているように感じた。
プログラムはベートーヴェン最後のピアノソナタ3曲と6つのバガテル。
1曲目の30番は、たしかに巨匠、まるで「これぞベートーヴェン!」という揺るぎないお手本のような演奏で、さすがだな〜と思った。2曲目31番は、私は3曲の中で最も好きな曲だが、自然にスーッと引き込まれ…なにかベートーヴェンが乗り移っているような、ベートーヴェンの人生観、哲学がそのままオピッツの人生と重ね合わせられているような、そんな素晴らしい演奏だった。特にフーガに入るところは、孤独の中にも希望の光を見出す人間的なベートーヴェンが見えて、また涙が滲んでしまった。
そして後半。バガテルも聴きごたえのある演奏、その後の32番は…もう圧巻だった。この1曲だけでベートーヴェンの全てを物語るような、聴きながら思わず「もしかしたら、ベートーヴェンは、終焉の床にある時、会場いっぱいのわれるような拍手を感じてその思いをこの曲に託したのではないか」と思えるようなffから、命が消えていくような震えるようなpppのトリルまで息つく間もなかった…あまりの素晴らしさに演奏が終わってもマスクの中で30秒くらい息を止め続けないとこの静寂を壊してしまうのではないかと思うくらいの静けさ…
そして、ようやくオピッツがほっと息をつくと、もう凄まじい拍手の嵐…私はもちろん、もう2楽章後半から涙が流れっぱなしだったが、これはマスクのおかげで助かった。そして、声を出せない代わりに両手を高々と上げて皆と同じく拍手、拍手…もう最後には間引かれている客席のはずなのに、唸るような拍手の音にも驚いた。カーテンコールもソロコンサートでは珍しいくらい、5回も6回も…
今日のコンサートは、おそらく鮮明に記憶に残るコンサートだった。
聴けて本当に良かった…
それでは、皆様、良いお年をお迎え下さいませ。
来年もよろしくお願いいたします♬