異常(アノマリー)(エルヴェ・ル・テリエ/早川書房)
本屋で見かけたとき、異色ではあるが評判のよさそうなSF、という感じがした。
読んでみると、いきなりクールな殺し屋が出てきて、それから、性別、年齢、国籍、職業の異なる、様々な人々が描かれる。そういう叙述スタイルの作品は、ままあることだし、かなり読みやすいので、気楽に読み進めていくと、登場人物には、ある共通点があることに気付く。
そして、タイトルの「異常」の意味が明らかになる。
ネタバレなしにこの本を紹介するのは、本当に難しいと思う。だから、感想ともいえない断片を少し。
SFとミステリーの融合、という評があった。まあ、SFと呼ぶしかないだろうが、SFを読んだ、という読後感はなかった。「異常」に直面した時に、特殊な事情がある人に、どのような問題が起こるのかについて、広範な知識を駆使して展開する思考実験、というのが一番近い印象。だから、たとえば殺し屋を登場させたのは秀逸だと思う。
アメリカ合衆国と中国が、フランス人から見てどういう国にみえているのかが垣間見える。アメリカは説明責任と分断の国。中国は専制と秘密主義の国。
そして、このような「異常」の原因については、荒っぽい推定はあるが、明確な結論はない。その代わりにか、あるいは、それ故にか、ラストは「???」。これはフランス流の諧謔なのだろうか。
と、勝手なことを書いたが、読むべき価値のある作品であることは、間違いない。
書影は版元ドットコムから。
本屋で見かけたとき、異色ではあるが評判のよさそうなSF、という感じがした。
読んでみると、いきなりクールな殺し屋が出てきて、それから、性別、年齢、国籍、職業の異なる、様々な人々が描かれる。そういう叙述スタイルの作品は、ままあることだし、かなり読みやすいので、気楽に読み進めていくと、登場人物には、ある共通点があることに気付く。
そして、タイトルの「異常」の意味が明らかになる。
ネタバレなしにこの本を紹介するのは、本当に難しいと思う。だから、感想ともいえない断片を少し。
SFとミステリーの融合、という評があった。まあ、SFと呼ぶしかないだろうが、SFを読んだ、という読後感はなかった。「異常」に直面した時に、特殊な事情がある人に、どのような問題が起こるのかについて、広範な知識を駆使して展開する思考実験、というのが一番近い印象。だから、たとえば殺し屋を登場させたのは秀逸だと思う。
アメリカ合衆国と中国が、フランス人から見てどういう国にみえているのかが垣間見える。アメリカは説明責任と分断の国。中国は専制と秘密主義の国。
そして、このような「異常」の原因については、荒っぽい推定はあるが、明確な結論はない。その代わりにか、あるいは、それ故にか、ラストは「???」。これはフランス流の諧謔なのだろうか。
と、勝手なことを書いたが、読むべき価値のある作品であることは、間違いない。
書影は版元ドットコムから。
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