少し偏った読書日記

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宇宙を解くパズル

2022-11-26 07:00:00 | 読書ブログ
宇宙を解くパズル(カムラン・バッファ/講談社)

講談社のBLUE BACKSの一冊。

パズルを解くことによって、対称性や対称性の破れ、双対性など、物理学を導く原理を理解させようとする試みで、ハーバード大学の1年生を対象とするセミナーの内容を本にしたもの。

私でも解ける問題(決して多くない)から、手に負えないものまで、全部で63のパズルがある。パズルの本ではあるが、合間に物理学の解説が挿入されており、ちょっとした超弦理論の解説書にもなっている。大栗博司氏が監訳をしているのも、即買いした理由のひとつ。

「真理」は直観に反している、という副題がついている。相対性理論や量子力学をはじめ、物理学が明らかにする真理は、人間の素朴な直観に反するものが多い、と強調しており、それを理解させるためのパズルも掲載されている。

超弦理論は間違ってすらいない、という批判があることは知っていたが、今年読んだ新書にその旨の記述があって、そんな本をうっかり買ってしまった自分にがっかりした。本書では、超弦理論は「双対性」の概念をテコに大きく発展し、数学にも重要な影響を及ぼす、と主張している。

なお、脚注に面白い記述があったので引用しておく。

物理学者が「確立された結果」と呼ぶものを、数学者は「物理学者による予想」と呼ぶことが多い。


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