8つの完璧な殺人(ピーター・スワンソン/創元推理文庫)
主人公はミステリ専門書店の店主。かつて完璧な殺人を描いたミステリ作品を8つ選んだブログを掲載したことがあり、その件でFBI捜査官の訪問を受ける。ブログを参考にした連続殺人が起こっているのかもしれない・・・
ミステリの古典を引用しつつ、連続殺人の真相を解明する。作品全体を、著名なミステリのオマージュとして成立させる。いかにも、ミステリ沼の深いところにある作品。
感想を少し。
8作品のほかにも多くの作品が登場するが、私が読んだことのあるものは3つほど。最近、よくミステリを読んでいるが、浅いところで遊んでいる、という自覚はある。
私には苦手なものがいくつかあるが、心理サスペンスはそのひとつ。この作品は本格的な心理サスペンスとは言えないだろうが、ミステリ技法のひとつとして使われていると感じる。
物語が、つねに主人公の一人称で語られるのも、技法のひとつ。
そして、以上の感想にもかかわらず、読み物として非常に面白かった、ということは強調しておきたい。この作者の作品は初めてだが、他にもいくつかの邦訳作品があるようだ。