風邪だと思うが念のため血液検査をしておきましょうと医師から告げられ、
こんなことで血液検査するなんて田舎の医者は大げさだとおかしく思ったものだ。
しかもすぐには結果がでないと言う。
‘まったく話にならないなぁ’心でつぶやく。
下町育ちの私には何もかもが理解できなかった。
後日、否応もなく理解することになろうとは思いもよらなかった。
検査結果が出る日にふたたび病院へ行く。
ドクターが言う。
「非A非Bですね」
「ヒエヒビ?ですか?」
「そうです。早速明日から点滴に通って下さい」
「明日・・・、わかりました」
ヒエヒビとはなんだろう。聞いたことがない病名だ。
でも点滴をすれば治るだろう。
そんな軽い気持ちで帰宅する。
帰宅して妻に話しをする。
「ヒエヒビって病気、聞いたことある?」
「ヒエヒビ? 聞いたことないけどぉ」
「ま、いっか。明日点滴に来てくれってさ」
「そう」
妻も点滴をすれば治るのだろうという顔でうなずく。
とりあえず会社に連絡をして、そんなわけで休みだと伝えた。
病名がついている病気なら治る。
そう思うだけで安心できる。人間とは不思議なものだ。