入院患者にしか見えない壁
入院する度にいつも感じること。
窓から見える外の風景はちゃんと動いていて、なんとなくせわしく感じる。
それを見ている自分は、
ある時は少しも動く事が許されない安静
ある時は痛みにじっと耐え、うずくまるだけ
ある時はベッド上だけしか動くことを許されず
ある時は点滴チューブが何本もつながれ、動く気にならない状態。
そんな時に外を見る(それしかできないから)。
ほんの数日前までは人に負けないスピードで歩いていたのに・・・
ほんの数日前まではあちら側にいたのになぁ・・・
そんなことを考えてしまう。
見えないのにこうも厚い壁があるだろうか?と。
自分で杭を打ち込み、切り開くことができない壁。
杭を打ち込むことを試すことも許されない立ち塞がる壁。
この壁はなんなのだ?
そしてこう思い直す。壁。この壁は・・・
外にでることを阻止する壁ではなく、自分を護るためにある壁だ。
こんなに安心できる壁が他にあるか、と。
そもそもこの壁は打ち破る壁ではなく、乗り越える壁だと。
そして外ではなく空を見る。
空は雄大で、地上のできごとなど気にもとめず動いている。
自分の人生で計れば、この入院している時間などほんのわずかだ。
今はちょっとだけ、自分のいる位置が違っているだけじゃないか。
そう思うと元気になれる。
看護士の顔が空に輝く太陽に見える。
家族や友人たちが雨雲を吹き飛ばす風に思える。
いつの日か、皆さんに注いでもらったひだまりのような温かさを
私なりの方法でお返ししたいと考えている。